以前の記事でスペシャリストスキルを持ちなおかつゼネラリスト視点を習得した者が最強の病院事務職員になれるという主旨のことを述べました。
⇒⇒⇒医療事務のキャリアアップを考える【スキルと経験とキャリアラダー】
そしてその為には2つ以上のスキルを掛け合わせることが重要であると言いました。
今回は具体的に医療事務には何を掛け合わせればより効果的なのかという点について述べていきます。
目次
医療事務とスキル
結論
掛け合わす内容は目指すキャリア像によって大きく異なります。
自分が将来どうなりたいのかをよく考え掛け合わすスキルの習得にはげみましょう。
スキル
掛け合わせる意味
そもそも医療事務自体が特殊スキルです。
一般事務とは一線を画しています。
だからこそ資格取得して就職、転職へという宣伝が横行しているのです。
これは資格があれば医療事務という特殊スキルの一定の習熟度の証明となるという理由だからです。
ですがこれは完全に医療事務講座を持つ企業の誘い文句なだけであって実情とはかけ離れたものとなっています。そもそも医療事務資格は必要ないというのが私の持論でそのことについては過去に書きました。
⇒⇒⇒診療報酬請求事務能力認定試験の資格は必要か?【医事課長の答え】
ひとまず資格の話は置いておきまして、それでも医療事務というのは結構特殊な分野な訳です。
その道を目指さなければまずお目にかかることのない分野の事務です。
ですがその敷居は限りなく低くやろうと思えば誰でも入ってこれる職種です。
国家資格もなく独学であっても全くの未経験であっても働くことが可能な職種です。
ですのでそれなりに目指す人も多いのです。
しかし昔と比べて最近は医療事務ならでわのスキルを問われる場面というのがだんだん少なくなってきています。
昔は完全なアナログ業務でした。
全て人の目、頭、本を駆使して請求につなげていくということが普通でした。
しかし時代は進みオーダリングシステムにより入力の手間は大幅に減り、コンピューターチェックによりレセプト点検の労力は軽減され、総括業務もなくなり電卓をたたく業務などもうない状況です。
そして今後はますますその流れが加速していくことは明らかで将来的には医療事務者だからこそ出来る業務というのはほぼなくなってくるのではないかとさえ思えてしまいます。
しかしそうなるのはまだかなり先だという意見もありそれは確かにそうかもしれません。
ですがいずれはやってくるのです。
だとするならばこの先5年、10年をたった1つの医療事務スキルだけで乗り越えていくのかという話です。
明らかにそれは無理です。理由は2つあります。
まず、今言ったように本来意味している医療事務という職種の業務がどんどん効率化されていくからです。
その結果当然余剰人員が出てくることになります。
歩く解釈本や診療報酬の鬼と呼ばれていた人達がいなくても特に問題なく回る状況というのが生まれてきます。
今でも現にそうなってきつつあると思います。
解釈本の内容をよく知らなくてもググるのが上手い、早いという人の方が仕事が出来るという評価を得るようになります。
このように先を見据えた場合医療事務スキル1本でいくというのはかなりリスキーだということは誰の目にも明らかです。
2つ目は希少性の問題です。
たとえ上記で述べたことがまだかなり先のことですぐにはそうはならないとしてもリスキーさは変わらないのです。
なぜかというと医療事務だけのスキルなら持っている人はいくらでもいるからです。
つまりあなたの代わりはいくらでもいますよという状況は避けなければならないということです。
いくらでも代わりがきく仕事というのは給料を上げずとも人は集まる訳ですし、自分のポジションがいつまで保証されているかなんて分からないのです。
必要なのは他人との差別化です。
自ら希少性を作り出さなければ自分の市場価値を上げることは出来ません。
よって医療事務ともう1つのスキルを掛け合わせることによって希少性を作り出し自分の存在価値を高めていく必要があるのです。
そしてそれは掛け合わせることによって一気に希少価値が上がりオンリーワンの存在になることさえも夢ではなくなるのです。
何を掛け合わせる?
以前の記事では最後におすすめの掛け合わせといくつか示しました。
・医療事務 × プログラミング
・医療事務 × 経理(簿記等)
・医療事務 × 組織マネジメント
・医療事務 × 英語
・医療事務 × システム情報管理
上記のほかにも考えられるものはいくつもあります。
たとえば統計学、心理学、哲学などです。
具体的にはどういったことに役立つのか、どういうキャリア像となるのかというところをいくつかピックアップして見ていきます。
医療事務 × △△△
例1. 医療事務 × プログラミング
今後ますます伸びていく産業がIT分野です。
そしてまだまだ不足していると言われているのがプログラマーです。
そもそも医療事務とプログラミングと聞くと畑違いもいいとこだと思われるかもしれませんがそうではありません。
厳密には医療事務ではなくて医療情報分野と言った方が適切かもしれません。
この分野はまだまだ伸びていくところですが人材が圧倒的に足りていないと言われています。
特に今後注目されてくるだろうという職種の1つにヘルスデータサイエンティストがあります。
⇒⇒⇒ヘルスデータサイエンティストって何?【食いっぱぐれること0%】
この職種を医療事務から目指すとなるとハンパない難易度ですが可能性はゼロではありません。
そして掛け合わせがものすごいので希少価値は抜群です。
医療事務・医療情報 × プログラミング × 統計・確率 × データ解析 etc
例2. 医療事務 × 経理(簿記等)
医療事務に関係なく社会人なら簿記3級程度の知識は持っていて損にはならないだろうと思います。
医療機関でキャリアアップを目指していくといつか医療経営を学ぶ時が来ます。
その時簿記の知識は役に立つと思います。
原価計算や会計知識、B/S、P/Lを読む能力などは経営分析に大いに役立つはずです。
例3. 医療事務 × 組織マネジメント
近年医療経営におけるMBA的なビジネススクールも増えています。
その理由はやはり組織の課題を見つけ思考し解決していくというプロセスが大事というのは病院も企業も同じという考えだからでしょう。
一般のビジネスパーソンがどのようなフレームでものごとを考えて進めているのかを理解することは病院職員にとってもとても意義があることです。
そのようなことを学ぶことは将来的に大いに自分のプラスになりますしひいては組織にとってもプラスになります。
例4. 医療事務 × 心理学
一部では役に立たない学問の1つにあげられることもある心理学ですが学ぶ価値は十分にあると私は思っています。
アドラー心理学で有名なアルフレッド・アドラーは「人間の悩みは全て対人関係の悩みである」と言っています。
今までも幾度となく医療事務とストレス、メンタルについて述べてきました。
やはり医療事務とストレス、メンタルは切っても切れない関係です。
それならばどういう対策が効果的なのか、ものごとをどのようにとらえればいいのかを知る為に心理学を学ぶことは有効だと思います。
特に対人関係のトラブルを解決出来る「課題の分離」
は知っておいて損はありません
例5. 医療事務 × 哲学
これは冗談で入れている訳ではありません。
哲学って何かものすごく難しくとらえてしまいがちなんですが要はその学問を通じて自分で考える力を身につけるということなんだと思います。
哲学に対峙することで自らの考えに気づきそれを鍛えどういう精神を持っておくべきかを知ることが出来ます。
そういう生き方を学ぶことは必ず仕事にもいい影響を及ぼしてくれるはずです。
まとめ
今回は5例取り上げましたがほかにもまだまだあるはずです。
とりあえず何でもどんどん掛け合わせることです。
一見医療事務とは何の関係のないものと思えてもプラスに働くものもあるはずです。
掛け合わすことによって希少性が増すことがポイントと言いました。
これには2つ意味があって、1つは希少価値が高ければ高いほど待遇面は良くなります。
簡単に言えば給与は上がります。
もう1つはオンリーワンに近づくほど自信もつき、モチベーションが高まるということです。
つまり自分の役に立ちます。
そしてひいてはそれが法人の役に立ち患者さんの役に立ちます。
自己成長にはスキルと経験の2軸を上げていくことが必要です。
そしてそのスキルは掛け合わせることによって大いに自分の価値を高め、なおかつ周りの役に立つのです。
試さない手はありません。
あなた独自の素晴らしい掛け合わせをぜひ見つけて下さい。