一生医療事務でやっていくのなら勉強はマストです【医療事務と学びと生き方】

過去の記事で何度か勉強、学習について書きました。

また違う記事ではスキルを掛け合わせていくべきとも書きました。

結局それらの最終的な結論は1つで勉強をし続けましょうという主張です。

今回はなぜその結論なのかというところにフォーカスして述べていきます。

一生医療事務でやっていくのなら勉強はマストです【医療事務と学びと生き方】

結論

この先も医療事務で食っていくと心に決めたなら常に勉強し続けましょう。

勉強論

社会人と勉強

私達は社会人になるまでは入試や就職の為の勉強を多かれ少なかれやってきています。

ですが仕事に就いた後も継続して勉強している人ってごく一握りです。

総務省統計局が出している社会生活基本調査によると社会人が勉強(会社で用意された研修などを含まず自らの意志で行う学習)に充てる時間は1日当たり平均たった6分間です。

平均で6分って少なすぎじゃないって思うかもしれませんがそれもそのはずでこの平均には全く勉強をしていない人の数値も含まれているからなのです。

この調査は直近1週間の行動を対象としています。

その中で特定の行動をとった人のことを行動者、調査対象者全体に占める行動者の割合を行動者率といいます。

勉強の行動者率、つまり直近1週間で勉強していた人はわずか5%でした。

また、行動者だけを対象として計算した平均時間を行動者平均時間といいます。

行動者平均時間でみると全体では1日あたり2時間となっています。

ですが逆に残り95%は全く勉強をしていないのかというとそうでもなくて、このデータでは直近の1週間に限定しているだけであって直近1年間などで見てみるともう少し勉強している人の割合は増えるとのことです。

しかし勉強している人の割合が少ないのは変わらない事実です。

年齢と勉強

実は年齢を重ねても記憶力は低下しないことが最新の研究で分かっています。

大人は記憶力が低下したことをとても気にしますが実際のところ、度忘れの回数は大人も子供も変わりません。

大人はそれを老化の象徴ととらえることで深刻になってしまいますが子供は思い出せなくても特に気にしない。

ただそれだけの違いです。

ですので勉強出来るピークは20代とか歳をとってくると記憶力が落ちるなどということはありません。

大人の脳も子供の脳と同様成長するのです。

新しいことを学ぶと脳に情報伝達の回路が出来ていきます。

その速度は大人になると緩やかになりはしますが勉強を続ける限り回路は確実に増え続け新たな能力を身につけていくことが可能なのです。

勉強することの意味、目的

ここまで聞くと社会人で勉強をしている人は少ない、年齢を重ねていこうが勉強する効果は勉強する限りある、ということは分かったよ、でも、そもそもなぜ勉強しないといけないの?という疑問が残ると思います。

仕事が出来る能力があるのだから更に勉強する必要性を感じないとか一体何を勉強するのかという疑問があるかもしれません。

この点を見ていく時考慮しておかなければいけないことが2点あります。

それは将来像と市場価値です。ここをきちんと見定めておかないと勉強しなくても良しという結論に至ってしまいます。

将来像と市場価値

医療事務の将来像

この点については過去記事に書きました。

記事の通りですがICT、AIの波は遅かれ早かれ医事課に押し寄せてきます。

最終的にはそれに飲まれてしまうのか、波乗りするのかの2択となります。

そしてそうなるのはそんな遠い未来ではないと思います。

その時に現在のような1つに特化したスペシャリストではたしてやっていけるのかどうかということです。

私の結論はスペシャリストでやっていくことも可能ではあると思いますがその為には今よりもっと突出した能力で頭1つは抜き出ていないと苦しいだろうということです。

そんな競争激化の場所を取り合うぐらいなら現在持っているスキルにもう1つ新たなスキルを掛け合わせた希少性のあるゼネラリストを目指した方が現実的ではないだろうかということです。

日本社会の将来像

ご存じの通り今後は人生100年時代に入っていきます。

現在小学6年生の子供は50%の確率で107歳まで生きるという驚異のデータもあります。

更にいえば50%の確率で生存する年齢は現在20歳で102歳、40歳で98歳、60歳でも94歳です。

そう考えると定年後もまだ残り40年の人生が待っています。

そしてここで大事な考え方は加齢と老化は違うということです。

新たに学ぼう、勉強しようと常に思って行動している人は何歳までも若々しく充実した人生を過ごせる可能性は高いですが、勉強しようと思わない人は単なるお年寄りになってしまうと過去の偉人達は言っています。

今までは定年までは一生懸命働いて定年後は余生を過ごすというモデルが一般的でしたが今後はその余生が長すぎます。

その為人生のピークを70歳から80歳ぐらいにもってくるライフスパンで人生を考える必要があります。

その為には学ぶという行為が絶対必要なのです。

自分の市場価値

2025年とその先を見据え全国の医療機関には診療報酬改定や地域医療構想をふまえた経営戦略が求められています。

今後は地域の医療ニーズを敏感に察知しながら機能分化や他医療機関との連携を進め計画的に集患していける経営モデルを構築していかなければなりません。

こうした中での医事課職員としての役割は漫然と与えられた業務をこなすということではなく、組織の中で課題を見つけ出し他部署をも巻き込みながら解決に近づけていくということです。

そして実際に現場ではそういう人材を必要としています。

そうした状況の中自分の市場価値というものを1度見直す必要があります。

しかしこれは実際にはなかなか難しい作業です。

まず客観的に自分の業務レベルを認識することが非常に困難です。

そして上司から適正に評価されているのかを知ることは余計に困難です。

ですが自分はどの仕事をしていてその業務は部署全体の何%を占めているのかというような視点で自分の業務を振り返るだけでも様々なことに気づくかもしれません。

また他病院とのつながりを持っておき情報交換が出来るのであれば他院との比較でたとえば「自分がやっている仕事は主任クラスの仕事だ、課長クラスの仕事だ」などというような判断も出来るようになります。

ここで大切なことは自分の現在の立ち位置を知るということです。

どのレベルの仕事が出来てそのスキルやノウハウがどれぐらい必要とされているのか、また今後もその需要は続いていくと予測出来るか、という点を知っておく必要があります。

要は自分が強みと思っているところは本当に市場価値のある強みと言えるのか、また今の自分に足りない点は何かということを知ることです。

そこを明確にすることで勉強する必要性が理解出来ます。

学ぶということ

何を学ぶのか?

まず何を学ぶのかと言う前に自分の将来のキャリア像を明確に描いておく必要があります。

まずはスペシャリストかゼネラリストか。

そして強みをより押し出していくのか、それとも更なる強みを作っていくのか。

その理想像を作った上でそこに向けた勉強を進めていけばいいのです。

そしてそれは決して直接的な勉強でなくてもいいと思います。

診療情報管理の勉強がシステム管理に役立ったり、広報に役立ったり、経理に役立ったりと勉強を始めた時には考えもしなかった副次的な効果でプラスとなることは往々にしてあります。

特に医事業務と一括りするとその範囲はかなり広いものになります。

スペシャリスト、ゼネラリストどちらを目指すとしてもある特定分野しか役に立たないということは決してなく後になって線となってつながることもありますので、あまり線引きせず広い視野で向かった方が得だと思います。

具体的に何を勉強すべきかは目指す資格でもいいですし、目指すスキルの方向性でいいと思います。

勉強が楽しい!?

上記にもあります通りスキルアップには独学が最強だと思います。

しかし独学は最も継続するのが難しいのも事実です。

ここで大切なことが2つあります。

まずは習慣化です。

つまり勉強する時間帯を決めて毎日同じリズムで学習サイクルを回すということです。

社会人の独学が挫折しがちなのは「今日は残業だったから」「仕事で疲れたから」といった言い訳をしやすいからです。

それでも探してみれば「これなら毎日続けられる」という時間帯が必ずあるはずです。

それを見つけ決まった学習パターンを作って習慣化することがとても重要です。

「起床後1時間は机に向かう」「通勤の1時間はオーディオブックでインプットを行う」などこの時間はこれをやるという習慣が出来てしまえば当たり前のように勉強を続けられるようになります。

「起床+勉強」「通勤+オーディオブック」など毎日の生活に勉強をうまく組み込めばより習慣化しやすくなります。

自分にとっての勉強のゴールデンタイムを作ることが肝要です。

もうひとつは目標を設定することです。

これは必須です。

自分の理想のキャリア像を描いたところでそれだけでは当然ながら勉強のモチベーションは維持しづらいです。

漠然とした願望や主体性のない動機でスタートすると自分は何を実現したいのかが明確ではない為結局勉強が続かずに終わってしまいます。

そうならない為には超具体的な目標設定が必要です。

「今ある診療報酬請求のスキルに加えて施設基準管理のスキルをプラスして経営戦略や監査対応に強い事務職員となる為に半年以内に施設基準管理士の資格を取得する」

とすればやるべきことが明確でモチベーションも維持しやすいと思います。

重視すべきは継続のしやすさです。

大きな素晴らしい目標を立てても続かないものでは意味がない訳です。

ですので日々少しずつでも続けられることを徐々に進めていくのがいいと思います。

そして少しずつでもいいので続けていくと勉強の楽しさが感じられるようになってきます。

それは新たなことを知る喜び、学ぶ喜びです。

知的好奇心を満たすという行為は楽しいのです。

それは能動的な学習だからこそ生まれる楽しさです。

学生時代の受験勉強が苦痛なのはそれが受動的学習だからです。

仕事も勉強もやらされているものは何でも苦痛です。

対して自分でコントロール出来ている、自分から向かっている仕事、勉強は本来楽しいものなのです。

まとめ

上記の知的好奇心を満たすという行為は楽しい、ということが大事だと思います。

この知的好奇心を大切にするマインドがあるかどうかが医療事務を仕事とする上できわめて重要です。

なぜなら知的好奇心を大切にするとどんどん新しい知識や経験を吸収していくことが出来るからです。

常に新しいことを吸収していける為、世の中の早い変化にも対応していけるようになります。

そして知的好奇心が原動力となってどんどん行動出来る人になります。

どんどん挑戦していける人になります。

この先医療事務でやっていく人に1番必要な資質とは何か?と聞かれれば私は挑戦心と挫折を恐れない心と答えます。診療報酬の知識、医療事務のノウハウは学べば身につきます。

ですがこのマインドは学んでもなかなか身につきません。

ですので逆に言えばこのマインドを持っている医療事務員が最も必要とされており、しかしながらマイノリティだということです。

 

 

ここからは完全私見ですので聞き流して下さい。

医療事務員の能力というのはぶっちゃけ大差はないです。

さすがに経験年数による補正は必要ですがそれもあまり関係ありません。

入院係3年目と5年目とではどのくらいの差があるのか。

そこにはもう差なんてありません。

むしろジョブローテしていない入院係一筋の5年選手にはもうプラス要素は残っていないと思います。

医療事務という業務の中で入院係は難易度的には上位です。

ですが1年目、2年目は分からないことが多くて吸収率が高いですが3年目ぐらいだとそこから更に飛躍的に吸収率を高めていくなんてことはありません。

そして5年もしていれば本人が現状維持で満足しているようではもはやスキルアップする要素は何もないです。

これは一例ですがある特定の業務を長くしていると最初こそ伸び続けますが必ず頭打ちになります。

その時に新たなステージへとチャレンジしなければ自己成長はストップするのです。

そして現実に自己成長がストップしたままの人って数多くいます。

ですがそれは外からの力ではもはや変えることは出来ません。

自分が必要と感じ勉強し、挑戦し、道を切り開いていく。

そういう人しかこの先生き残っていかないと思います。

医療事務で与えられた業務をこなすだけというスタイルはもう過去のものです。

これからは自分で考え、切り開き、周りを巻き込みながら問題解決へ導いていくという人材が必要とされます。

その為の素養となる下地の学習というのが絶対必要なのです。

一生医療事務でやっていこうというのなら勉強はマストなのです。

5年後、10年後に振り返った時、「あの時の行動があったから今があるんだよな」と思える行動を1つとってはみませんか。

それはたった1ページ本を開くことから始まることなのかもしれません。

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