医事関連のテーマを中心に感じたこと、考えたことを綴っていきます

【諦める力】諦めたくないから諦める【医療事務を諦めない】

これまでいくつもの過去の記事で医療事務の未来、将来像、キャリアのとらえ方ということで医療事務論、仕事論というものを述べてきました。

ざっくり言いますと次の5点になります。

1つ目に将来的にはAI、ICT化が進み医療事務が担う業務分野が現在のものとは変わってきます。

単純作業はコンピューター化がどんどん進みます。

レセプト関係もコンピューター化は加速していきます。

2つ目に中途半端なスペシャリストでは淘汰され生き残れません。

時代の変化に臨機応変に対応し、また変化の波に自ら飛び込んでいく挑戦心豊かな人が必要とされます。

3つ目に与えられた仕事だけをこなすのではなく自ら問題提起→院内スタッフを巻き込んでの改善活動→問題解決までを行える思考力、実行力を持った人が必要とされます。

4つ目にたった1つのスキルで勝負していくのならば市場価値として頭1つ抜き出ておく必要があります。

また別の戦略もあります。それは2つ以上のスキルを掛け合わせる方法です。

つまりスペシャリストではなくゼネラリストを目指していくやり方です。

5つ目に常に新しいことを吸収しようとする学習心、勉強習慣を身につけておくべきです。

かなりざっくりですが主旨としては上記のような感じです。

今回はそのようなことを考える場合とても参考になりまた改めて考えさせてくれる本がありましたのでその内容を踏まえた上で医療事務の仕事観についてもう1度考えてみたいと思います。

【諦める力】諦めたくないから諦める【医療事務を諦めない】

結論

医療事務において自分はどのフィールドで戦うか?

諦めることとは進むことなのです。

諦める力

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諦めるとは?

その本とは為末大さんの著書『諦める力』です。

知っている人も多いと思いますが為末さんは陸上の400mハードル日本記録保持者で元オリンピック選手です。

諦める力で為末さんは次のように語っています。

(一部抜粋)

”「諦める」という言葉の語源は「明らめる」だという。

人生は可能性を減らしていく過程でもある。

年齢を重ねるごとに、なれるものやできることが絞り込まれていく。

可能性がなくなっていくと聞くと抵抗感を示す人もいるけれど、何かに秀でるには能力の絞り込みが必須で、どんな可能性もあるという状態は、何にも特化できていない状態でもあるのだ。

できないことの数が増えるだけ、できることがより深くなる。

人間には変えられないことのほうが多い。

だからこそ、変えられないままでも戦えるフィールドを探すことが重要なのだ。

僕はこれが戦略だと思っている。

戦略とは、トレードオフである。

つまり、諦めとセットで考えるべきものだ。

だめなものはだめ、無理なものは無理。

そう認めたうえで、自分の強い部分をどのように生かして勝つかということを見極める。”

 

”100メートルを諦めたのは、勝ちたかったから。

勝つことに執着していたから、勝てないと思った100メートルを諦めた。

勝つことを諦めたくないから、勝てる見込みのない100メートルを諦めて400メートルハードルという勝てるフィールドに変えた。

つまりは、自分の腹の奥底にある本心を言語化することができた。

「AがやりたいからBを諦めるという選択」をしたに過ぎない。

多くの人は、手段を諦めることが諦めだと思っている。

だが、目的さえ諦めなければ、手段は変えてもいいのではないだろうか。”

 

”そもそも、自分は何がしたいのか。

自分の思いの原点にあるものを深く掘り下げていくと目的に向かう道が無数に見えてくる。

道は一つではないが、一つしか選べない。

だから、Aという道を行きたければBという道は諦めるしかない。

最終的に目的に到達することと何かを諦めることはトレードオフなのだ。

何一つ諦めないということは立ち止まっていることに等しい。”

 

刺さる本

この本は多くの人が評価していてネットで書評しているブログなども見かけます。

それほどいろんな立場の人達の心に刺さるのだと思います。

私も読んでいて自分の立場に照らし合わせていろんなことを考えさせられました。

100メートルを諦めて400メートルハードルに転向したとありました。

それは勝つ為に。

つまり目的を達する為に1つの手段を諦めたにすぎないと。

こう聞くと分かるのです。

諦めるってことは前に進むことなのだと。

とかく私達は諦めるという言葉をマイナスにとらえがちです。

日本社会では諦めずに努力することが美化されています。

しかしそれは正しいのでしょうか。

諦めずに努力しても成功しない人は世の中にごまんといます。

そもそも努力が報われないなんて常識です。⇒⇒⇒努力は報われる?報われない?【医療事務の努力の仕方】

それならば大事なことは諦めないことではなくて諦めることなのです。

何を諦めるか?

ここまで聞いて間違った解釈をしてしまわないように本書ではこうも言っています。

”こういうことを言うと「じゃあ、別のフィールドに移ろう」と安易に流れる人も出てくる。

さしたる努力もせずに移動を繰り返すのは、諦めていいということを何もしなくていいことだと解釈しているからだ。

「諦めてもいい」が、「そのままでいい」にすり替わっている。

僕が言いたいのはあくまでも「手段は諦めていいけれども、目的を諦めてはいけない」ということである。

言い換えれば、踏ん張ったら勝てる領域を見つけることである。

踏ん張って一番になれる可能性のあるところでしか戦わない。

負ける戦いはしない代わりに一番になる戦いはやめないということだ。

「どうせ私はだめだから」と、勝負をする前から努力することまで放棄するのは単なる「逃げ」である。”

これは普遍的な話ですので当然医療事務にも当てはまります。

そして医事課目線で読むとまさに自分達のことを言っているのではないかと思えるのです。

手段は諦めていいけれども、目的を諦めてはいけない。

つまり目的達成までの道筋、方法は取捨選択すればいいけれども目的自体を放り出すなということです。

さてここで質問ですが医療事務の目的とは何なのでしょうか。

これは広義すぎるのでもう少し絞った質問に言いかえます。

医事課の目的とは何なのでしょう。

病院内での医事課の役割は様々ですが最も大きい役割、目的は医療行為を収益化し、なおかつ最大化することです。

いくら質の高い医療、サービスを提供していてもそれが収益として反映出来ていなければ経営として成り立たなくなりいずれはその病院は立ち行かなくなります。

ですのでどれだけ高い請求能力を有するかが医事課に問われてくるのです。

そしてそのようなプロフェッショナル集団を目指すことが目標であり、その為にそれぞれの個を成長させることが大切なのです。

そこにたどりつく道は無数にあります。

これは医事課全体と医事課員個人の両方にいえます。

ですが結局のところ医事課員の集合体が医事課全体となる訳ですから個々の医事課員が成長することが全てにおける源なのです。

そうなると肝となるのが個々人の目的なのです。

そして現実にはどうせ無理、出来ないといって勝負をする前から努力することを諦めている人が多く存在しています。

努力することを諦めていると聞くとピンとこないかもしれません。

だったらこう言いかえましょう。

挑戦しようとしない、と。

逆にそういう人達はすごいなと違った意味で感心します。

この先も今している業務が残り続けると思えているという点とそれを自分が担当しているものとして見ている点がすごいです。

これは今回の主旨の諦めるとは全く違う範疇の話です。

その話をする前の段階の話です。

医療事務員と一括りに言いますが仕事への温度差は千差万別です。

これは勤めている病院の規模にもよるでしょうし、個人の価値観にも大きく左右されます。

いわゆる大病院に勤めている人ならばこの先も病院が潰れるなんてことは微塵にも思わないでしょう。

かたや中小の病院に勤めている人であれば常に危機感を持って仕事と対峙しているかもしれません。

また個人の価値観の問題として給料重視の人、プライベートの充実重視の人、人脈重視の人など様々なタイプがいます。

しかしどんなタイプの人であれ仕事に1番何を求めるべきか、最重要視すべきかといえばたどりつく答えは1つです。

それはお金とかでは全くなく自己の内面の成長なのです。

⇒⇒⇒仕事って結局お金の為?【医療事務の本音】

そしてその為には常に上を目指す気持ちが必要なのです。

その気持ちは自分が負け続けているような状況下では芽生えてきません。

1度も上手くいっていないような状況で上を目指して頑張れと言っても当人に響くはずがありません。

そこでさきほどの本書の言葉が響くのです。

 

”言い換えれば、踏ん張ったら勝てる領域を見つけることである。

踏ん張って一番になれる可能性のあるところでしか戦わない。

負ける戦いはしない代わりに一番になる戦いはやめないということだ。”

 

これが正しい諦めです。正しい逃げです。

大事なことは目的は固定したまま手段だけ変えているということ、そしてあくまでてっぺんを目指して戦う姿勢はゆるめていないということです。

 

たとえば、医療事務で働き始めて5年だがレセプトスキルでは10年、20年選手にはどうやったって勝てない。

この時それでも一生懸命し続ければ成果が出て報われるはずだ、と思うことは自由ですがそれではあまりにも客観的な視点が足りません。

ここでレセプトスキルを上げる努力を諦めると聞けばマイナスイメージしか抱きませんがそうではなく、今後のレセプトのコンピューター化を見据えてITスキルに特化して伸ばしていく。

その為にレセプト点検能力の向上は捨てる、諦めるとすればそれはマイナスでもなんでもなく、むしろトータルで考えると大きくプラスな行為な訳です。

そもそもレセプトの目視点検能力は今後それほど重要視出来るようなスキルではなくなってきます。

逆にITスキルは高ければ高いほど医療事務の人材としての需要もあり、能力値が高いと判断されていくことが予測されます。

であるならばITに特化する為にレセプト分野を諦めるという選択は正しい諦め方なのです。

医療事務ってある種かなり変わったスキルだとも言えます。

同じ事務でも通常の一般事務とは相容れない要素が随所にあります。

違う言い方をすれば一般事務のスキルを医療事務の中で活かすことは出来ますが、医療事務のスキルを一般事務で活かすことは出来ません。

エクセルスキルが高い人が医療事務に転職してくればすごく重宝されます。

しかし反対に査定情報に詳しい人が一般事務に転職してきても何の役にも立たない訳です。

そういう意味では医療事務の能力は医療事務でしか発揮出来ません。

そしてそんな人達の集まりが医事課なのですからそこで自分の価値を高めていこうとすればスペシャリスト具合を深めていくしかないのです。

その為には必ずどこか諦める、捨てる部分というのを作る必要があるのです。

そしてこのフィールドなら戦えるという部分を持つ必要があるのです。

誰しもこの自分が戦えるフィールドを持つことがとても大切です。

その為には自分は何を諦めるのか、それを自分に問う必要があります。

まとめ

私はスペシャリストよりもゼネラリスト推しなのですが医療事務員の将来像としてはどちらもありだとは思います。

ただ、スペシャリストで戦うフィールドは戦いが激化していくことが目に見えているのでゼネラリストの方が戦いやすいのではと思うだけです。

あとここでいうゼネラリストは広く浅くまんべんなくというものではありません。

それは医療事務では最も使い道がないゼネラリストになってしまいます。

私のイメージは、たとえばレセプトのスペシャリストがMAX10のレベルだとするとレセプト×IT×経営のゼネラリストはオールレベル8というような具合です。

そしてレセプトのスペシャリストだと市場での競合相手は多数いますがレセプト×IT×経営のゼネラリストだとほぼ競合しないんじゃないかと思います。

まずそのタイプがなかなかいないのといても高いレベルで揃っている人材はまずお目にかかれません。

どちらが戦いやすいか、生き残りやすいかは明らかでしょう。

しかしどちらにもいえることは軸となるものを残す為に必ず何かを諦めているということです。

すなわち諦めたくないから諦める、なのです。

医療事務を諦めたくないのであれば必ずその業務の中で何かを諦める必要があるのです。

それが何かが分かっているか、分かっていないか。

知っているか、知ろうとしているか。

ここがポイントです。

諦めることは進むことなのです。

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