医事関連のテーマを中心に感じたこと、考えたことを綴っていきます

仕事を断る技術って必要?【医事課の働き方改革】

働き方改革という言葉も結構聞き慣れてきて私達の生活に定着してきているような感もあります。

ですが実際は残業を減らしましょう、早く帰りましょうというようなことだけがクローズアップされていて本質的な部分ってあまり何も変わっていないんじゃないかって思ってしまいます。

医療事務を本業にしている身としては次期診療報酬改定での医師の働き方改革に関連する部分の今後の議論がどうしても気になります。

ですがその前に医事課の働き方改革を考えていかないといけません。

自分達の働き方改革もままならないのに医師の働き方改革に注目するというのは笑い話にもなりません。

今回はそこを考えていく上での1つとして仕事を断るということについて述べていきます。

ビジネスマンの通説として「仕事が出来る人ほど仕事を断るのが上手い」というのがあります。

このたぐいの記事はググれば山ほど出てきます。

要は時間が限られている中できちんとした成果を出す為には頼まれた仕事でも断ることが時には必要だ、という主旨です。

またよく「仕事が出来る人は時間に余裕がある」「忙しくない」ということも言われます。

そしてそれも断ることが出来ているから、というような理由づけがされています。

結局のところ優先度と重要度の問題に帰結していくのですが、なんでもかんでも受けるのは良くないという意見は一貫して主張されていることです。

そして「そうなんだけど実際断りづらい」とか「理想ではあるんだけども」という意見に対しては上手な仕事の断り方という内容の記事がいくつも存在します。

それらの内容を読んでみると言っていることの本質はほぼ一緒で

①受けるべきもの、断るべきものの選別

②断る理由の伝え方

③代替案の提示

などが大事とされています。

私はここまでの話については大筋では同意します。

どこかの部分に対して反論するといったことはありません。

ですが今回の話は少しそれとも違うのです。

本質的には前述の話と方向性は同じなのですが方法が少し違います。

なぜそうなるのか、メリットは何か。

そこにフォーカスして述べて行きます。

仕事を断る技術って必要?【医事課の働き方改革】

仕事を断る技術は必要ありません。

大事なことは仕事を受けたその後の手順を整備しておくことです。

断るということ

頼まれる仕事

本来仕事を頼まれるというのは良いことです。

なぜならそれは信頼されている、実力を認められているという証であるからです。

テキトーな人、いい加減な人と見ている人にわざわざ仕事を頼んでくる人はいません。

しかし色んな人から仕事を受けているうちにキャパオーバーになってどれも満足に仕上げることが出来ないとか、残業しないとさばけないとなれば何をやっているか分からない訳でそうならない為に時には断ることが大事なんだという論調が多数を占めています。

ここまで聞けばなるほど、そうなんだよって思います。

ただこれは一般のビジネスマンだと多数派だと思うのですが、こと医療事務に関して言えば少し違ってくる部分があります。

それはこれは特に中小の病院に多いと思うのですが断ってしまうと他にする人がいなくなる、という場合です。

たとえば他部署から健診業務の現行運用の見直しをかけるので手伝ってほしいとか前年度分のとある入院データを集計、分析してほしいと頼まれればその業務が出来る人が他にいなければどんなに忙しかろうとせざるをえないのです。

そこには断るという選択肢は存在しません。

先に出てきた上手な仕事の断り方の記事では忙しくない時期の提示や他の適任な人材の紹介などが方法として示されていますがそんなことは出来ない訳です。

これは医事課特有といえます。

以前の記事にも書きましたが医事課の働き方改革という点でいえば理想はジョブローテーションです。

⇒⇒⇒医療事務のキャリアアップを考える【スキルと経験とキャリアラダー】

それが出来ていれば断るという選択肢もあります。

しかし実際ジョブローテが出来ている病院の割合はそれほど高くないと思います。

まして退職者が続いている職場ではそんなことは夢のまた夢でしょう。

結局なんとか回っているという医事課も少なくないはずです。

先の例でいうと健診担当者は1名のみとかデータ集計出来る者が1名しかいない、というような状況で回しているところはあります。

そこの職員にとっては仕事を断っていいものだという認識はないのです。

他部署から頼まれた仕事はやらなければいけない仕事となってしまうのです。

であるならば「仕事を断る技術って必要?」という今回のテーマは何の意味も持ちません。

ですので一般論と医療事務論は一概には同一の事象として扱えないということです。

断るメリット、デメリット

それであってもメリット、デメリットの点は共通しますので紹介しておきます。

まずメリットですが本来の自分の仕事に集中出来るということです。

これにつきます。

目の前の自分が今やるべきことに専念出来るというメリットは医療事務においてもその効果は絶大です。

次にデメリットですが、最も多い理由が人間関係悪化への恐怖です。

頼まれたのを断ってしまうと、嫌われてしまうのではないか、怒られてしまうのではないかという意識を持ってしまいます。

その為その人間関係に振り回されてしまうことも多くまた断りづらいと感じることも多い訳です。

断らないということ

1人業務の危うさ

医療事務はスペシャリスト、医事課はその集団と聞けばかっこよく聞こえますが前述したようにジョブローテがその前提にないといけません。

それがなく何年も今の仕事しかしていない、そこしか知らないとなればかっこいいどころかかっこ悪く、なおかつとても危うい状況です。

そして断るメリットである自分の仕事に集中出来るというのとは真逆の状態に陥ってしまいます。

これは病院規模が小さくなればなるほどその傾向が顕著になります。

診療情報管理業務が自分1人だけとかシステム管理業務が1人だけとか労災が分かるのが1人だけとかいろいろと1人業務で行っているところはあると思います。

そこにはもうリスクしかない訳です。

業務の質、チェック体制、業務負荷全てにおいてプラス要素は見当たりません。

頼まれたら全部受ける

結論で仕事を断る技術は必要ありません、と言いました。

だとすれば頼まれた仕事は全て受ける、となるのですがこれはこのまま読まれると間違いなく誤って解釈されてしまいますので説明しておきます。

まずもう1度断るメリット、デメリットを見ておきます。

ですがここで先に述べた通り1人業務がありうる医事課においては断るメリットにたどり着かないパターンがある訳です。

そうなるともう選択肢は頼まれたら受けるという一択になります。

すると今度考えるのは受けるメリットとデメリットです。

受けるメリットとしては3つあります。

まず1つ目は人間関係悪化への恐怖がないということです。

むしろ信頼感、安心感の強化につながります。

これは当然のことです。

頼めばいつもきちんと引き受けてくれるとなれば信頼感が増すのは当たり前のことです。

次に2つ目が断る技術を身につける手間がいらなくなるということです。

断る理由を考えたり、言い方を考えたりという余計な時間が省けます。

最後に3つ目については後で述べます。

逆にデメリットなんですがそれはありません。

ちょっと待った、あるよって言う人はある意味正しいです。

その人達が思うことには主に次の2つがあると思います。

まず1つ目に本来すべき仕事が進まないということです。

そして2つ目になんでもかんでも頼まれるということです。

先に2つ目の何でも屋に成り下がるのではという懸念については誤解のないように言っておきます。

最低限の前提として頼まれた仕事の内容、期限、医事課で受ける必要性はちゃんと吟味しましょうということです。

頼まれたから思考停止でなんでも受けるというのとは全く違う話です。

そして1つ目の本来すべき仕事が進まないということが1番の問題になるかと思います。

1人業務だとなおさらです。

ここでの考え方は仕事を断るという話と近いものです。

つまり仕事は受けるが自分でしない、ということです。

「時には仕事は断るべき論」と言おうとしていることは同じになります。

「時には仕事は断るべき論」においてはむやみやたらに断るというようなことは言っていません。

まずは、頼まれた仕事が断るべきものか、断ってはいけないべきものかを判断すること。

急を要するもの、非常に重要なもの、自分でないと出来ないものであれば今現在している自分の仕事の優先順位を下げてでも引き受ける必要がある、とあります。

逆にそれほど優先順位が高そうではない、急を要していない、自分である必要性がない場合は断り自分の仕事を優先すべき、とありつまり引き受けるべきなのか、そうでないのかは依頼された仕事の内容できちんと判断するように、という至極真っ当な結論に至っています。

これには全面同意です。

だったら「仕事を断る技術は必要」となりそうですがそこの結論だけが違ってきます。

なぜそうなるのかといえば断らずに受ける方がメリットが多いからです。

そこで受けるメリットの3つ目になります。

それは経験値がスキルとして蓄積される、ということです。

つまり断ることは簡単ですがそれではみすみす人材育成やマニュアル化といったプロセスを経験する機会を自分で失くしているに等しいということです。

要するに仕事を振り分けるスキルを習得出来る、出来ないかの差です。

仕事を振り分けることにスキルなんかねえと思う人もいるかと思いますがそれは仕事を断るということにもとづいた誰かに仕事を振るという考え方によるものです。

確かにそれでは何のスキルもアップしません。

それはそもそも拒否から入っているのでその仕事のことを全て知った上でどうこうするといったことではないのです。

ここで言う仕事を振るとはそういう意味ではなくて自分の代わりに仕事をこなしてくれる分身を育てるということなのです。

いうなれば消極的な振りではなく積極的な振りということになります。

つまりは人材の教育、育成の経験値がスキルとして蓄積されるということです。

しかし実際は積極的な振りより消極的な振りの方が多い状況です。

なぜならそちらの方が楽だからです。

積極的な振りを行うにはまずノウハウをツールやマニュアルにまとめ他の誰でも出来るように可視化する必要があります。

その上で自分が全く介入せずとも完璧に出来るまで教育していく必要があります。

この過程にかなりの時間がかかります。

普段から時間に余裕があればこの方法で進められます。

しかしそもそも時間に余裕があれば仕事を振るということもしなくていい訳でそこに矛盾が生じます。

ですのでこの方法をとらないといけないという場合は間違いなく時間に余裕がない時なのです。

時間がない中わざわざ人を教育、育成する手段を選ぶかというとそれはなかなか難しい選択な訳です。

目先だけを考えるとそんなことに割く時間がないと感じてしまいます。

そしてその結果自分でやってしまうか消極的な振りをするかのどちらかになってしまうのです。

ですがそれでは1か月後でも1年後でも状況は変わらないのです。

必要なのはある一定期間はとても忙しく大変になりますがそれでも分身作りに労力を費やす時間をとらないといけないということです。

見ないといけないのは目の前ではなくてもっとずっと先の状況なのです。

常に考えておかなければならないのはいつ自分が抜けたとしても平然と当たり前のように回るシステムを作り整備しておくことなのです。

その前提があった上での「仕事を断る技術は必要ありません。」ということなのです。

まとめ

仕事を断る技術は必要です、ということと頼まれた仕事は全て受ければいい、という本書の内容は真逆の文章ですが意味している方向性は同じ向きなのです。

であるならばよりメリットが多い「頼まれた仕事は全て受ける」という考え方を選択する方が得策なのではないかと思う訳です。

またそれは一旦受けた上でその先を自分でやるのか、振るのか、そしてそれは積極的な振りなのか、消極的な振りなのかということを考えることが大切なのです。

結局のところ、引き受けることも断ることもどちらも正解です。

しかしそれは思考した上での選択でないと意味がないのです。

常に考え常に先の先を読む、そのような仕事のやり方でなければいつまでたっても自己成長は出来ないのです。

仕事は何の為にしているかというと自分の成長の為です。

⇒⇒⇒仕事って結局お金の為?【医療事務の本音】

であるならばより成長出来る選択肢を常にとっていける仕事のスタイルを確立することが大切なんじゃないかと思うのです。

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