4月に新人が入職してきて5ヶ月が経ちました。
そして近々中途採用者も入ってくることが決まっています。
ここで現場が直面する問題が人材育成です。
どう教育していくかということです。
今回は新人教育について見ていきます。
目次
新人教育には何が必要?【新人教育のコツとは】その①
結論
教育係のメタ認知力向上がマストです。
新人教育
2つの側面
新人教育の問題には2つの側面があります。それは教わる側と教える側のことです。
ここについては以前にも書きました。

教わる側についてはまた別の記事で書きますので今回は教える側だけにフォーカスします。
教育係の葛藤
その以前の記事でも述べたのですがもう今の時代に厳しく指導するというスタイルは通用しません。
逆に私が新人の頃はほめて伸ばすなんて方法はほぼありませんでした。
今だと確実にパワハラだと言われるようなことでもまかり通っていました。
一概にそれを非難することはできません。
厳しいからこそ這い上がってやる、これが当たり前という風潮、土壌は確かにありましたし、そこをなんとかして乗り越えていったからこそ成長できたともいえます。
これは良い悪いの問題ではなく事実としてそんな時代だったのです。
ですが今それをやると今の子たちは確実に辞めます。
それをもって今の子たちはメンタルが弱い、根性がないなどの決めつけはしません。
中にはメンタルが弱い人もいるでしょう。
ですがそれはまた別の話であって、そんなことは関係なく厳しく指導すれば確実に辞めるのです。
これは動かしようのない事実です。
ならば厳しく教えるのではなくて丁寧に教えていくというやり方になるのは当然のことなのです。
そうなるとストレスがかかってくるのが教育係のほうです。
ひとつひとつ丁寧に教えてはいるものの本人のやる気が感じられないとか、もう指導するのに疲れてしまったとか、どう指導していくのがいいのかよく分からないという思いが出てくる場合があります。
自分は本当はこう言いたいけど抑えている、けど言いたい。
いったいどう教えていくのがいいのかという葛藤があるのです。
人材育成の本質
太平洋戦争時に連合艦隊司令長官だった山本五十六の言葉に次のものがあります。
「やってみせ、言って聞かせて、させてみせ、ほめてやらねば、人は動かじ」
これは現代にも通じる人材育成の名言とされています。
そしてこれは心理学的にもその通りだと証明されています。
アルバート・バンデューラという心理学者が提唱した自己効力感(セルフエフィカシー)というのがあります。
自己効力感とは「やる気」のことです。
バンデューラによるとこの自己効力感(やる気)を高めるためには
1.モデリング(代理的経験)
2.言語的説得
3.情動的喚起
4.成功体験(遂行行動の達成)
が重要だということです。
つまり
1.やってみせ→モデリング(代理的経験)→自分でもできそうと感じる
2.言って聞かせて→言語的説得→やれば出来ると思う
3.させてみせ→情動的喚起→チャレンジしたりリラックスして「これならいける」と思う
4.褒めてやらねば→成功体験(遂行行動の達成)→成功体験が自信につながる
となります。
そしてつまりこの一連の作業を通じて「私は無力でない」ということを学習させ自己効力感(やる気)を持たせていくのです。
メタ認知
山本五十六の言葉と併せて意識しておくべきなのがメタ認知です。
教える側のメタ認知力向上は必須です。
仕事は慣れと経験で早く正確にできるようになるので、どうしても最初のうちは遅くて不正確なものです。
自分でやれば10分でできる内容でも新人にとっては30分かかることなんてザラにあります。
この時に遅いし間違っていると今の自分と比較することには何の意味もありません。
よく考えれば分かるはずなんです。
自分が新人だった頃を思い返せば分かるはずなんです。
ですが今の自分基準で考えものごとをとらえている人ってかなり多いです。
つまり新人目線でものごとを見れていない人ってことです。
そもそもなぜ遅いのか、間違うのか、覚えてくれていないのかの原因を考えないといけません。
全体像、目的、背景などの説明は足りていたか、理解度を随時確認しながら進めているか、一緒に行わず説明だけになっていないか。
専門用語や院内特有の言葉を多用していないか。
どれもメタ認知が効いていなければ何の疑問にもあがりません。
そしてできない原因は新人にあると思うのです。
少しでもメタ認知が効けば改善できる点はたくさんあるのです。
まとめ
新人教育のコツとは「やってみせ、言って聞かせて、させてみせ、ほめてやらねば、人は動かじ」の実践による新人の自己効力感向上と教育係のメタ認知力向上の2点です。
医療事務での新人教育、人材育成は業務が煩雑で多岐に渡るため長期的な取り組みが必要になります。
現場の担当者にとっては大変はことではありますが医事課の将来を考えればそれはとても価値の高い取り組みであり、大切な種まきです。
日々思考錯誤しながら一歩一歩進んでいけばいいと思います。