医療事務は無資格や未経験からでも働くことが可能な職業です。
そんな医療事務という仕事に、興味を持っている人も多いのではないでしょうか。
ネットで医療事務について調べてみると「資格がなくても働ける」という情報がある一方、「資格がないと就職に不利」という情報もあります。
そのため「医療事務って実際資格はあった方がいいの?なくてもいいの?」という疑問を持つ人は多いはずです。
この記事では医療事務歴23年の筆者の経験を踏まえ、実際、医療事務の仕事に資格はいるのか、いらないのか、という疑問を解決します。
ぜひ最後まで読んでもらって、医療事務という仕事の本質を知ってください。
目次
医療事務の資格はいらない?【医療事務歴23年医事課長の答え】
結論
医療事務の資格は必要ありません。
医療事務の資格と実務
医療事務の資格がなぜ必要ないと言えるのか?
それはなぜなら、資格で勉強した知識は実務とはまったく別物だからです。
今どきレセプトを手書きすることなんてありませんし、計算もすべてレセコン(レセプトコンピューター)で行います。
なにより各病院やクリニックごとに業務内容ややり方が千差万別なので、実際現場で覚えていくしかありません。
最低限保険の知識なんかはいるでしょうが、あとは実際に業務をしていきながら覚えていくことになります。
というわけで、資格があってもなくても大差ありません。
教える側からすると、そんなことは全然関係ないのです。
教える内容は有資格者だろうと無資格者だろうと変わらないのです。
医療事務の面接
資格がないと就職に不利ということを、聞いたことがある人もいるでしょう。
しかし、そんなことはありません。
でも面接の時、資格があった方がアピールになるのでは?
そう思う人も中にはいるでしょう。
でもそれも違うのです。
だったら面接の時って何を重視しているのか?
それは面接官によって違うでしょうが、一点共通して言えるのは実務経験の有無です。
やはりこの職種、経験値があるのは大きな強みです。
だったら実務経験なしの場合はどうなのかというと、これはもう面接官の好みです。
冗談で言っているわけではなく本当です。
好みというと語弊があるかもしれませんが、その人の印象、好感度です。
よく受け答えの内容であるとか、人柄とかすべてを加味した上での総合的な判断と言いますが、面接官にそんな能力はありません。
そもそも面接のごくわずかな時間で、そんなことまではわかりません。
ですので面接で受かった場合はその面接官にいい印象を持ってもらったと思えばいいのです。
反対に受からなかった場合は面接官の好みに合わなかっただけ、と思ってさっさと次を探せばいいのです。
ひとつだけはっきり言えるのは、未経験者の持っている医療事務資格は選考基準にはならないってことです。
ないよりはあった方がいい、その程度のことです。
医療事務資格のあり、なしよりも大事なこと
ここでひとつ誤解されそうな点について補足しておきます。
ここまで読んでもらうと「じゃあ、医療事務の資格って意味ないじゃん」って思われるかもしれませんが、資格を取るために勉強することには意味があります。
そして、資格を取った後も継続して勉強を続けていくことが最も大事なことです。
多くの人が勘違いしているのですが、医療事務の資格は就職するために取得する、とか就職するために必要などという理由で学ぶものではありません。
多くの医療事務関連企業が短期間で取得可能や就職に有利とうたって受講生を集めますが、短期間で取得可能なのは国家資格ではなく民間資格だからです。
またその資格のどれもが難易度が低く、誰でも取得可能な資格なので希少価値はありません。
唯一その中でも難関だとされているものに、診療報酬請求事務能力認定試験というものがあります。
しかしこれさえも必要ありません。
なぜかというと、例えば学生がこの資格を取得して就職したとしても実務には役立たないからです。
ただ病院、クリニックによっては資格手当として評価してくれる所もありますので、そういう場合は取得のメリットはあります。
しかしそれ以外の場合は、取得することのメリットはあるとは思えません。


まとめ
最後にもう一点補足しておきます。
僕は医療事務の資格取得のための学習を否定しているわけではありません。
否定しているのは、資格取得という行為です。
要するに、医療事務の勉強は必要だが資格はとる必要はない、と言っているのです。
医療事務ではあらゆる知識が必要になります。
保険、診療報酬の制度、保険請求、医学、薬学 etc…。
更に2年ごとの診療報酬改定。
つねに新しい知識を身につけていく姿勢が必要なのです。
しかし大部分の人は、医療事務という職に就くまででその勉強は終わっています。
医療事務の資格を取った、就職した、はい終わり、なのです。
それだと完全に資格ビジネスに搾取されているだけなのです。

大事なのは職に就いたそのあとです。
無資格だろうが未経験だろうが、学びを継続できる人は必ず伸びます。
ですが資格を取って入ってきても、そのあと何もしない人ならば成長することはありません。
だから資格を持っている優位性なんてみじんもないのです。
重要なのは仕事に就いたあとです。
医療事務員になったあとの勉強こそが最も必要なものなのです。
つまり、仕事に就く前の資格のあり、なしなんて大差のない、どうでもいい論争だということです。