【入院】身元保証人のあり方とは?【法的根拠や倫理、考え方】

以前に身元保証人(身元引受人)と連帯保証人についての記事を書きました。

身元引受人と連帯保証人について知っておきたい3つのこと【入院の基礎知識】

今回はその中でも特に身元保証人(身元引受人)というものにフォーカスします。

あなたは入院における身元保証人とは何か?ということをすぐに説明できますか?

その役割や必要性を簡潔に言えますか?

この記事ではその点を深堀りします。

もし身元保証人についての知識があやふやならば、ぜひ最後まで読んでください。

身元保証人のあり方がきっとわかるようになるでしょう。

【入院】身元保証人のあり方とは?【法的根拠や倫理、考え方】

結論

 

公的支援体制の強化が必須です。

身元保証人

身元保証人とは?

入院費用については昔は

①支払いに係る金銭保証

 

②死亡患者の引き取り等に係る身元保証

とを区別せず広く保証人として提示を求める医療機関もありました。

ですが最近ではほとんどの医療機関が両者を区別し

①身元保証人

 

②連帯保証人

の提示をそれぞれ求めています。

ですが中には、本来ならば連帯保証人という言葉を用いるべき金銭保証についても身元保証人に求めている場合も見受けられます。

これは契約社会の中で漠然とした不安に対して、慣習的に保証人等を求めている側面もあるからです。

ですので私達は今一度入院における身元保証人の役割、意味を確かめておく必要があります。

ということで見ていきます。

医療機関が身元保証人に求める役割としては、以下のことが考えられます。

1.緊急の連絡先に関すること

 

2.入院計画に関すること

 

3.入院中に必要な物品の準備に関すること

 

4.入院費に関すること

 

5.退院支援に関すること

 

6.死亡時の遺体・遺品の引き取り、葬儀等に関すること

上記のほかにも身元保証人に対しては、医療行為の同意をする役割を期待する向きもあります。

 

しかし医療行為の同意については本人の一身専属性(その人だけが持つ権利、他人が取得、行使できないもの)がきわめて強いものであり、身元保証人の第三者に同意の権限はないものと考えられます。

本来法律上では本人の判断能力の程度にかかわらず、医師等の医療従事者から適切な情報の提供と説明がなされ本人による意思決定を基本とした上で適切な医療提供を行うことが基本であり最重要です。

一方で現実の医療の場面では、一時的に意識を失った患者など本人の意思が確認できない場合も日常的に多くみられます。

現時点ではこのような場合における本人以外の第三者の決定・同意について法令等で定められている一般的なルールはありません。

 

その点については社会通念や各種ガイドラインに基づき、個別に判断されているものと考えられます。

成年被後見人等の認知症や精神障害・知的障害により判断能力が不十分な人についても、成年後見人等の第三者が医療に係る意思決定・同意ができるとする規定はありません。

よって成年被後見人等に提供される医療に係る決定・同意を行うことは、後見人等の業務に含まれているとはいえません。

ですので身寄りがなく成年後見制度を利用して身元保証人を立てられたとしても、それですべてをカバーできるわけではありません。

それでも病院としては、身元保証人は必ず立てるよう求めます。

そこには冒頭でも述べたように、漠然とした不安に対して慣習的に行っている側面も否定できないのです。

そもそも身元保証人が具体的に何をするかは、法律で決まっているわけではなくその契約書しだいです。

そしてそれは中身の説明がはっきり書かれておらず、あいまいなものが多いのも事実です。

またそれにサインした患者、家族等もどういうことに対するサインかをきちんと把握している人はいません、というか把握できないはずです。

そこまでつっこんだ説明を病院側もしませんし、患者側も要求しませんのですべてを理解できているはずがないのです。

つまり厳密に身元保証人とは何ぞやなんて考えてサインする人など、ほぼいないということです。

結局入院するには保証人が必要って言われているからとりあえず立てておく、という認識の人が大部分です。

というわけで、身元保証人は必要という前提をもう一度検証しておく必要があります。

身元保証人の役割、必要性

身元保証人等は患者が自己負担金を支払えないような場合に代わって支払いを行うことや、入院の必要がなくなったにもかかわらず患者が退院を拒否するような場合に引き受けを行う、などの義務を負います。

これらの未収金の発生や退院困難患者の発生は、病院としてはなんとしても避けたい問題です。

ですので、そこに大きな必要性を見ているのは確かです。

また手術等に関する医療行為の同意についても、身元保証人等に求められる大きな役割とされています。

しかしこの医療行為の同意については、身元保証人に求められる他の役割を質的に異にすることに留意する必要があります。

たとえば支払い関係については、病院と保証人の両者の契約によって成立可能です。

しかし本人に関する医療同意については、病院と身元保証人が合意しても本人に代わって身元保証人が原則行うことはできないとの本質を有しています。

なぜなら本人自身に対する医療の決定権は、本人に一身専属的に帰属し代理・代行になじまないものであるからです。

本人の代わりに家族が医療の同意ができる場面があると一般的に言われていますが、これは家族が本人の意思を推測することが可能との理由にもとづいてのものです。

 

ですので身元保証人だから医療同意できるのではなく、本人の意思が推測できる家族が身元保証人だからこそ医療同意が可能とされるのです。

したがって医療同意の問題は、身元保証人のありなしの問題ではありません。

本人が判断できない場合に誰が判断するのかという問題は、依然法的には解決されておらず確立された見解はありません。

そうした中現在においては人生の最終段階における医療・ケアの 決定プロセスに関するガイドラインを参考にした上で各医療機関の倫理、考え方に委ねているところが大部分なのです。

保証人がいない問題

今後ますます問題視されてくるのが「保証人がいない問題」です。

身元保証人を立てようにもひとり暮らしである、離れて暮らしている家族とも疎遠、そんな患者が今後増えてくると予想されます。

現在単身高齢者は600万人以上で、その数は今後もどんどん増えていきます。

厚労省は身元保証人等がいないことのみを理由に医療機関において入院を拒否することについてにて身元保証人等がいないことのみをもって入院を拒否した場合、医師法第19条第1項(いわゆる応召義務)違反となる旨を明確にしています。

ですが実際病院側からすると身元保証人がいない患者が入院した場合の意向、意思、特に医療同意の問題にどう対応するかを考えると、なかなかすんなり入院へという流れに持っていきにくいことは確かです。

厚労省が言っていることはあくまでたてまえ論であって、現場の実情とは合っていません。

だからといって公的に全国的にバックアップ体制が強化されたのかといえばそんなことはなく、型通りの正論を言っているだけにすぎません。

また厚労省は身寄りがない人の入院及び医療に係る意思決定 が困難な人への支援に関するガイドラインを作成し、成年後見制度の利用等をうながしてはいます。

ですが手続きに時間がかかりすぎたりと迅速な意思決定が求められる場面で十分機能していない事例なども成年後見制度には見られ、まだまだ現状で存分に使える手法とはいいがたいのも実情です。

そんな状況の中、入院は拒んではいけない、あとは自助努力でなんとかしなさいでは医療機関はたまったものではありません。

このあたりの問題解決をどうしていくのかが、今後の大きな課題です。

まとめ

 

家族の単位が大きく変わったこの時代、これまでのような家族の存在を前提とした身元保証人というやり方がもう限界に来ているという声もあります。

根本的に仕組みを見直す時期に来ていると。

ですが病院側が仕組みを見直すには、まず前提として法の整備と公的な支援体制の構築が必須です。

そこがないまま仕組みを考えて下さいと病院単位に課題を投げられても、それはもはや病院単位でどうこうできるものではありません。

病院側からすると身元保証人を立ててもらうことは、当然でありそれがないと困るのは確かです。

それは医療費の問題もそうですし、医療同意などの倫理の問題もしかりです。

これはすでに自病院でどうするかというところをこえていて、地域として国としてどうするかという問題です。

病院単位で見れば、それぞれはできうる手は打っています。

使える手段を常に模索しています。

しかし今後このままでは、手詰まりになるのは明らかです。

独居の高齢者がますます増えていく中で、様々な判断をすべて病院単体の裁量に任せている現状ではできることは限られます。

身元保証人というやり方が限界だと言われても、具体的な現状に即した代替案が示せないのであればその意見は無責任すぎます。

確かに見直す時期には来ているのでしょう。

しかし身元保証人は不要とかもう時代遅れなどと言って切り捨てるのではなく、もっと建設的で段階的に使えるような方法を国レベルでもっと議論すべきです。

そして、まずは国民レベルでもっと声を上げていく必要があります。

身寄りがない人が増えてきてる。

保証人が立てられない人も増えてきている。

これはれっきとした事実。

この現状を国そして私達は、もっと重大に受け止めないといけない時期に来ているのでしょう。

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