医事関連のテーマを中心に感じたこと、考えたことを綴っていきます

意志力なんかあてに出来ない~禁煙外来~

現在我が国の喫煙者人口は男性が約1400万人(成人男性の約28%)、女性が約470万人(成人女性の約9%)で全体として約1870万人(成人の約18%)となっています。

昔に比べると随分減ったなと思う半面、まだこんなにいるんだなという所が率直な感想です。

国の政策としては平成18年度診療報酬改定にてニコチン依存症管理料を創設し、禁煙を保険診療の中の治療として位置づけています。

一般的には禁煙外来として知られていますが今一度喫煙のリスクを再認識し、禁煙の大切さ、大変さを知っておいてもらいたいと思います。

自力ではほぼ無理!?

意志の力で禁煙を成功する人の割合は1割程度しかいないというデータが出ています。

これからも分かるようにタバコをやめるという強い意志や我慢するという方法では禁煙は上手くいきません。なぜなら意志力というのはあっけないほど簡単に自らを裏切り、習慣化されたものと欲求心というものは自制心では抑えきれないからです。

意志力はあてにならない

タバコは体に悪いというのは誰もが知っています。でも、吸うのはよくないのは分かっていてもやめられないという喫煙者が大多数です。

医療機関関係者でも愛煙家の人は一定数います。医療機関の敷地内は完全禁煙ですので勤務中は一切吸えない訳ですがそれでもやめらない、というか余計にやめられないという人も結構います。

ちなみに私も元愛煙家です。もうやめて10年経ちました。私の場合は自力でやめられましたのでラッキーでした。ダメだったら禁煙外来を受診するつもりでした。

なぜやめられないのか?

「喫煙は肺がんのリスクを高めます」「喫煙による血管の劣化は脳梗塞や心筋梗塞のリスクを高めます」とたとえタバコのパッケージ書かれていてもそれが禁煙のトリガーとしては大きく作用しません、なぜなのか。

その理由はリスクを自分が認識出来るのが数十年先だからです。

それは未来の損だからであって今は関係ない、むしろそんなことを考えて現在の欲求を抑えることのほうがよっぽどデメリットだと考えてしまうのです。

人って常に正当化するものです

「認知的不協和」というものがあります。

これは都合の悪い情報にふれた場合、自分の都合のよい解釈をもって自分の行動を正当化する、ことをいいます。

タバコのパッケージには喫煙によるデメリットが表記され、公共機関や飲食店でもますます喫煙場所は規制され喫煙者には風当りが強い社会です。それでもタバコをやめない人には認知的不協和が働いています。

例えば、外で吸うのは控えよう、でも家なら喫煙所なら気にしなくてもいいだろう、と行動を変えたことで正当化したり、1日に数本しか吸っていないからヘビースモーカーと一緒ではない、と情報を自分なりな解釈で正当化したりというようにです。

恐怖管理理論

すこし脱線しますが、タバコのパッケージの警告文というものは逆効果であるという研究結果が出ています。

これはどういうことかというと、この警告文を見て買った人はストレスを受けます。そしてそのストレスから逃れる為に自分にとっての1番のストレス解消に走ります。そう喫煙となる訳です。

これは恐怖管理理論と言って、人は死を連想するものを意識したとき、ありとあらゆる誘惑に負けやすくなるという脳の性質に起因しています。

タバコ会社はこのことを知った上で警告文を載せています。表向きは社会的な行動のように見えて実は用意周到なマーケティング戦略なのです。

吸わないだけで避けられるリスク

喫煙者の肺がんのリスクは吸っていない人に比べて4.5倍。夫が1日20本吸っている家庭の妻の肺がんによる死亡率は非喫煙者家庭の1.9倍。

これだけみても禁煙することによるメリットは非常に大きいことが分かります。

自分の体は自分だけのものではない。このことを意識するだけでも禁煙する意義というものが感じられるでしょうし、禁煙する意欲もわく筈です。

そして、その禁煙が自分の意志力では難しいことは最初に述べた通りです。ですからぜひ禁煙外来を受診して頂きたいと思います。

禁煙外来

現在全国の医療機関で禁煙外来を設けている所は診療所で約13%、病院で約30%です。そしてその禁煙外来を受診して禁煙に成功した人の割合が30~40%です。

決して高くはないですが自力では1割程度なのでそれを思うと受診の効果はあるといえます。

まとめ

私も昔吸っていたので分かるのですが、そもそも吸う深い理由がある人ってそんなにいません。なんとなく吸っている人が非常に多いと思います。

いやいやそうではない、ストレス解消だよ、とか、おいしいからという答えもあるでしょうが、本当に1本1本おいしいと思っている人ってそんなに多くないように思います。

それは吸うのが習慣化しているだけであって大部分はなんとなく吸っているんだと思います。通勤途中の喫煙スペースに着いたら一服、車に乗ったら一服、家に帰ったら一服というように。

タバコはニコチン依存症というれっきとした病気です。そしてそれは習慣化されていることによって自分の力だけで治すのは非常に困難です。

喫煙者の人はとりあえず禁煙外来を受診して頂きたい、そう思います。それがひいては医療費の削減にも繋がりますし、なにより自分自身、そして家族の為に出来るすばらしい行動だということに気付いてほしいと思います。

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