最近「ゲノム」「遺伝子」といった言葉をよく耳にするようになりました。
医療機関においてはがんゲノム医療中核拠点病院やがんゲノム医療拠点病院が指定されており国としてもがんゲノム医療推進に向けて進み始めたところです。
今年に入って遺伝子パネル検査の初の保険適用もなされ今後の医療そして診療報酬において非常に注目していくべき分野となっています。
そうはいってもそもそもがんゲノム医療って何?という人も多いかと思います。
今回は今後に役立つ基礎知識としてがんゲノムの基本的なところを押さえていきます。
ごまお
目次
がんゲノム医療って何?
結論
実用面ではまだまだ課題も多いです。
がんゲノム
ゲノムとは?
古典遺伝学では「ある生物をその生物たらしめるのに必須な遺伝情報」として定義される。
遺伝子「gene」と、染色体「chromosome」あるいは
gene(遺伝子(ジーン)の)+ -ome(総体(オーム))= genome (ジーノーム)をあわせた造語
(ウィキペディア引用)
ゲノム・遺伝子・DNA
ゲノムの実体はDNAです。ヒトの細胞の核の中に23対の染色体が納まっています。
染色体はDNAがたんぱく質にまきついたものです。
DNAは、塩基と糖とリン酸からなり、二重らせんの構造をしています。
DNAの塩基は「アデニン」「チミン」「グアニン」「シトシン」の4種類あり、それぞれATGCの文字で表されます。
こうした文字列を塩基配列とよびます。
3文字分で20種類のアミノ酸のうちの一つを作る暗号になっています。
アミノ酸は、たくさん連なって「たんぱく質」となります。
DNAのうち、たんぱく質を作る指令をだす部分は「遺伝子」と呼ばれます。
しかし、遺伝子を作る領域は、DNA全体の2%以下。残りは、遺伝子の働きを調整するなど、さまざまな役割をもつことがわかってきました。
最近は、たんぱく質を作る指令を出す部分だけでなく、こうした働きをもつ部分も遺伝子と呼ばれるようになってきました。
がんゲノム医療とは?
がんゲノム医療とはがん患者のゲノムを調べて最適な治療薬の選択などに役立てる医療のこと。
同じがんであっても薬の効果や副作用の出方には個人差があるということが最近の研究で分かってきています。
がんゲノム医療では患者のがん組織などを遺伝子解読装置で読み解きがん細胞の遺伝子の異常を調べその異常に合った抗がん剤などを選択できます。
これによりがん細胞のみをピンポイントで攻撃するため、従来の抗がん剤より効果が高く副作用も少ないとされています。
[pdf-embedder url=”https://ijikano.com/wp-content/uploads/2019/10/がんゲノム-1.pdf” title=”がんゲノム”]がんゲノム中核拠点病院とは?
全国どこにいてもがんゲノム医療を受けられる体制を構築するため、がんゲノム医療を牽引する高度な機能を有する医療機関として全国11カ所のがんゲノム医療中核拠点病院が指定されています。
[pdf-embedder url=”https://ijikano.com/wp-content/uploads/2019/10/1-5.pdf” title=”1″] [pdf-embedder url=”https://ijikano.com/wp-content/uploads/2019/10/2-4.pdf” title=”2″]遺伝子パネル検査
遺伝子パネル検査はがんの発生に関わる複数のがん関連遺伝子の変異を一度に調べる検査です。
次世代シークエンサーとよばれる機械を使った新技術が使われています。
2019年6月より遺伝子パネル検査が健康保険の適用対象となりました。
[pdf-embedder url=”https://ijikano.com/wp-content/uploads/2019/10/シークエンス.pdf”]診療報酬
A232 がん拠点病院加算(入院初日)
1 がん診療連携拠点病院加算
イ がん診療連携拠点病院 500点
ロ 地域がん診療病院 300点
2 小児がん拠点病院加算 750点
注2 別に厚生労働大臣が定める施設基準を満たす保険医療機関であって、ゲノム情報を用いたがん医療を提供する保険医療機関に入院している患者については、250点を更に所定点数に加算する。
課題
遺伝情報の管理や活用の方法などがまだ確立していません。
遺伝情報という非常に難しい個人情報を病院がどう扱うか、またそれを患者にどう使えるかを確立することが必要です。
現在はがんの原因を調べることができても治療薬の開発が追いついていません。
見つかった遺伝子変異に対しては治験段階にあるものを含め対応可能な薬に迅速にアクセスできるシステムの整備などを進めていくことも必要です。
まとめ
がんゲノム医療は今後のがんの治療を大きく変えることになると考えられます。
これまでは救えなかったがん患者の新たな治療法に結びつけるために医療現場の態勢整備、そして法整備が急務になっています。
それに応じて診療報酬においても様々な対応が今後とられていくことになると思われます。
これからの動向に注目していきましょう。
ごまお