【病院経営】エンゲージメントを高める5つのポイント【当事者意識】

以前エンゲージメントについて記事を書きました。

エンゲージメントって何?【病院と職員エンゲージメントと満足度】

その記事の最後では

「医事課の生産性ってどういうことなのかっていうことを個人個人にしっかり理解してもらった上でエンゲージメントを高めていくための方法を見つけていく必要があります。」

と述べました。

今回はこのエンゲージメントを高めるポイントとして5つ紹介し考察していきます。

ごまお

エンゲージメントは大切

【病院経営】エンゲージメントを高める5つのポイント【当事者意識】

結論

5つのポイントとは

 

1.ビジョン、目標の提示

 

2.欲求レベルの把握

 

3.権限委譲

 

4.ワークライフバランス

 

5.自己受容・他者信頼・他者貢献

 

です。

エンゲージメントとは?

まず言葉の意味を示しておきます。

エンゲージメント

言葉の意味としては約束、契約という意味です。

 

また広告などの各種マーケティング活動において顧客の興味や注意を引きつけ結びつきを指す言葉としてもSNSなどでも広く使われています。

従業員(職員)エンゲージメント

・職員が組織に対して愛着、信頼感を抱いている状態

 

・病院の掲げるビジョンや目標を適切に理解し自発的に自分の力を発揮する貢献意欲

本記事でいうエンゲージメントとはこの従業員(職員)エンゲージメントのことを指します。

エンゲージメントの必要性①

以前の記事でエンゲージメントは病院の評価と利益を上昇させるための要因の1つとして必要と書きました。

その中でも病院利益の上昇という点を深堀りしますと、つまりは病院経営を良くするための必須項目の1つだということができます。

日本病院会や全日本病院協会などが実施している病院経営定期調査によりますと2018年6月における経常赤字の病院は53.8%にのぼり半分以上が赤字経営におちいっています。

公立病院に至っては繰入金を含めなければ9割、含めても6割が赤字経営とのことです。

そんな中であってもその赤字経営の危機感というのが現場まで届いていないのが実情です。

幸い当病院はなんとか黒字経営でここまで来ていますが、近隣の赤字経営の病院の方に聞いてみても現場レベルではそのような危機感が全くないとのことでした。

誰もがまさか自分が勤めている病院がつぶれるなんてことは想像もしていないのでしょう。

そしてそこに足りないものは、自分たちで何とかしなければいけないという当事者意識とその動機づけです。

いくら上層部が経営改善が必要と判断してもその決定が職員の目標として受けとめられなければ何も変わることはありません。

そこには必ず思いの共有が必要なのです。

そしてそのためには職員のエンゲージメントを高めていくことが必要不可欠なのです。

エンゲージメントの必要性②

エンゲージメントを高めることによって職員の主体性を高める効果はもちろんのこと、離職の減少、人材の定着率を高めることができます。

エンゲージメントと離職率には相関関係があります。

エンゲージメントの高い従業員の離職率は1.2%、エンゲージメントの低い従業員の離職率は9.2%とその差は歴然です。

エンゲージメントの向上は離職率を下げることにつながるのです。

(CEB社 Corporate Executive Board 「Driving Performance and Retention Through Employee Engagement」レポート より引用)

エンゲージメントを高める要素

ではどうやったらエンゲージメントが高まるのかということで5つのポイントを紹介します。

1.ビジョン、目標の提示

 

2.欲求レベルの把握

 

3.権限委譲

 

4.ワークライフバランス

 

5.自己受容・他者信頼・他者貢献

1.ビジョン、目標の提示

病院の将来のビジョン、そしてそのための現在のミッションを明確に示す必要がありまます。

その前提として病院理念の共有が必須です。

そしてその理念は覚えるものでなく理解して行動に落とし込むためのものです。

その点を職員一人ひとりにまで届ける努力を上層部は行うことが大切です。

また職員一人ひとりにはそのビジョン、ミッションを理解してもらった上で個人としてどうなりたいか、何を成し遂げたいかという目標を持ってもらうことが大切です。

2.欲求レベルの把握

ここで出てくるのが「マズローの欲求段階説」です。

これは知っている人も多いと思います。

人間の欲求は5段階のピラミッドのように構成されています。

低階層の欲求が満たされるとより高次の階層の欲求を欲するとされています。

第1階層 生理的欲求

 

(生きていくための必要な基本的な本能的な欲求)

 

おなかがすいたから食べたい、夜になったから寝たい

 

第2階層 安全欲求

 

(危機を回避したい、安全・安心に生活がしたいという欲求)

 

風雨にさらされない家で暮らしたい、健康に元気に生活したい

 

第3階層 社会的欲求

 

会社、家族、国家など集団・グループに所属したい、趣味における仲間が欲しい

 

第4階層 承認欲求

 

認められたい、尊敬されたい

 

第5段階 自己実現欲求

 

自身の力を発揮しあるべき自分へなりたい

組織としてはその個人が今どのレベルにあるのかを把握することが大切です。

でないと組織が求めていることと個人が感じていることにズレが出てくるからです。

また個人個人も自分が今どのレベルにいるのかを把握することが必要です。

そうすることで今どうやって欲求を満たしていけばいいかが分かります。

それが分かれば組織のビジョンと自分の目標との整合性もとれてくることになります。

3.権限委譲

担当者に権限委譲することによってモチベーションがアップし成長マインドが伸び生産性がアップします。

ただし注意すべき点はこれはタスクを増やすということではないということです。

ミッションとイニシアチブを与えるということです。

4.ワークライフバランス

ワークライフバランスを重視しておかないとエンゲージメントうんぬんは語れません。

特に医事課においてはレセプト残業なるものがいまだに多くのところで残っていますのでその対策は必須です。

ごまお

充実したプライベートあっての仕事

5.自己受容・他者信頼・他者貢献

自己受容とは自分に存在価値があると気づくこと。

自分が必要とされていると感じられればそれは医事課で働く理由になります。

他者信頼は自分はもっとできるかもしれないと期待し行動すること。

他者貢献は誰かの役に立ちたいと思い行動すること。

それが患者さんのため、他部署のため、組織のためになります。

このような内発的動機を引き出すためのサポートを組織は行う必要があります。

結局のところ内発的動機づけとは人と人との対話に起因しますので日頃からの円滑なコミュニケーションが大切ということです。

まとめ

病院という組織のエンゲージメントを高めていくことはもちろん大切ですが、そのためにはまず医事課のエンゲージメントを高めていくことが先決です。

このブログでつねづね言っていますが医事課とは1つのチームです。

しかしいくらチームを組成しても個々に仕事をする人たちの集まり、つまり足し算では意味がありません。

足し算ではなく掛け算にならないといけないのです。

(出典:アニメ ハイキュー!! 第1期5話「小心者の緊張」より)

それぞれの仕事が最終的には1つの大きな目標につながっていればそれはとてつもないパワーとなり圧倒的な生産性が生まれます。

それこそが掛け算の力です。

そこにもっていくには自らがこの医事課をもっとよくしていくためにはどうすればいいのかという当事者意識を個々人がしっかりと持って自発的に動けるような組織にしていかないといけません。

そこにおける管理職の責任は重大です。

どうすれば内発的動機づけが行えるか?

それにはやはり個人個人ときちんと向き合う必要があります。

どうしても「この上司は私のことを分かってくれていない」「私を評価していない」「自分のことしか考えていないんじゃないか」という想いをいだいている人は少なからずいると思います。

私自身部下からいい印象を持たれているなんてこれぽっちも思っていません。

それは自分がその立場だったときのことを思えば分かります。

だったらそのとき自分と上司には何が足りなかったのか?

やはり対話なんだと思います。

最後は人と人です。

個人の目標を持たせそのレビューを行い自身の成長を実感してもらう。

そうして内発的動機づけを行いエンゲージメントの向上につなげていく。

そこを愚直に地道に積み上げていくことが大事なんだと思います。

ごまお

少しづつでもいいから前進あるのみやな

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