【医療事務】15年後には91%の仕事がなくなります【診療情報管理士】

先日AIと医療事務ということで記事にしました。

AIが支配?10年後に医療事務の仕事は残っているの?

それに対しツイッターにて「論文の中身をもう少し深堀りすれば面白いかも」的なご意見を頂きましたので早速見てみたいと思います。

将来医療事務がなくなるというこの話のそもそもの根拠は2013年、英オックスフォード大のカール・B・フレイ博士とマイケル・A・オズボーン准教授が発表した「雇用の未来」という研究論文

THE FUTURE OF EMPLOYMENT: HOW SUSCEPTIBLE ARE JOBS TO COMPUTERISATION? Carl Benedikt Frey and Michael A. Osborne September 17, 2013

が元となっています。

今回はその中身を詳しく見ていきます。

医療事務の将来性を占ってみましょう。

今回の記事を読むことで医療事務の行くすえがわかり、そのことで今後自分がすべきことが見えてくるはずです。

【医療事務】15年後には91%の仕事がなくなります【診療情報管理士】

結論

 

仕事を奪われるという発想は捨てるべき。

 

大切なことは人間にしかできない仕事を想像しそのスキルを磨いておくことです。

医療事務の将来性

雇用の未来

この論文の最後には資料としてAIに置き換えられる可能性をランクづけした一覧表がのっています。

「medical」とつく職業を検索すると以下のようになりました。

21. 0.0045 Medical Scientists, Except Epidemiologists

 

36. 0.0073 Medical and Health Services Managers

 

139. 0.049 Emergency Medical Technicians and Paramedics

 

232. 0.27 Medical Equipment Repairers

 

239. 0.3 Medical Assistants

 

251. 0.35 Diagnostic Medical Sonographers

 

284. 0.45 Medical Appliance Technicians

 

288. 0.47 Medical and Clinical Laboratory Technicians

 

426. 0.78 Medical Equipment Preparers

 

447. 0.81 Medical Secretaries

 

523. 0.89 Medical Transcriptionists

 

533. 0.9 Medical and Clinical Laboratory Technologists

 

550. 0.91 Medical Records and Health Information Technicians

頭にある数字が順位(全702職種中)です。

その次の数字が置き換えられる可能性の確率(%)です。

たとえば232位のMedical Equipment Repairers(医療機器修理業)だと置き換えられ率27%ということになります。

ここで事務職に関係しそうなところを見てみます。

すると

239位「Medical Assistants(医療助手)」30%

 

447位「Medical Secretaries(医療秘書)」81%

 

550位「Medical Records and Health Information Technicians(医療記録・健康情報技術者」91%

となっています。

ここで注意しないといけないのは職種の適応範囲です。

そもそもここには医療事務という職種はありません。

まず英語圏で医療事務というのは何に当たるのかが分かりません。

ですので調べてみました。

Receptionist - 患者さんの受付や予約をとる

 

Medical Record ー 診察記録や患者さんの情報などの管理

 

Transcriptionist - 医療記録転写士 (お医者さんからの情報をもとに診察記録を作成)

 

Medical Coder ー 医療事務(診察記録をもとに病気名・患者さんがうけたサービス等を記号化)

 

Medical Biller ー 医療事務(保険会社への医療請求のコーディネイト)

まず分かることは私たちがイメージする医療事務とは全く違うということです。

そして職種がより細分化されているということです。

上記はアメリカの例なのですがそもそもアメリカと日本では請求システムが全く違います。

アメリカに日本の国民皆保険制度のようなものはありません。

ですので医療費の請求は患者本人や保険会社へ行うことになります。

その保険会社への請求のためのメディカルコーディングというものが必要になります。

それをmedical corderと呼ぶのかClinical coderと呼ぶのかMedical Records Techniciansと呼ぶのかはさまざまのようです。

私自身よく分かっていないのであまり深堀りはせずに進みます。

あと「Medical Assistants(医療助手)」というのもその守備範囲が違います。

日本でメディカルアシスタントといえば医師事務作業補助者のことですがそのことではないようです。

医師事務作業補助者は「Medical Secretaries(医療秘書)」のくくりです。

ここでいう「Medical Assistants(医療助手)」は電話への応答、手順の説明、傷の包帯の交換など、臨床と管理の両方を担っている職種のようです。

ですので私たち事務職が注目すべきなのは

「Medical Secretaries(医療秘書)」

 

「Medical Records and Health Information Technicians(医療記録・健康情報技術者」

です。

81%と91%

「Medical Secretaries(医療秘書)」81%

 

「Medical Records and Health Information Technicians(医療記録・健康情報技術者」91%

これを簡潔に言うならばいわゆる医療事務と呼ばれている職種は8割以上の確率でAIに置き換わるということです。

そしてそのXデーは10~20年後。

ですがオズボーン論文自体は2013年のものであり、野村総研とオックスフォード大の共同研究の発表でも2015年とおおよそ5年前のことです。

だとするならば1番長く見積もっても15年後ということになります。

結論としては「医療事務は15年後には91%の確率でAIに置き換わります」となります。

あくまで予測

この予測値は専門家が設定した特定の職業における自動化の傾向をAIに学習させ他の職業に当てはめることで導き出しています。

そして未来の仕事のデータは存在しないため、調査においては現状の仕事が未来永劫変わらないとの前提で計算されています。

そんなことはありえません。

テクノロジーの進化と共に消えていく業務があれば新たに生まれる業務も当然あるのです。

ですので定量的予測にはどうしても限界があるということも前提として知っておく必要があります。

またいくら自動化が進んでも実際には職業そのものが機械に置き換わるわけでありません。

AIでは絶対にできない分野というのが出てきます。

置き換わるという表現がプレッシャーを与えかねませんがAIと人間で役割を分担する、すみ分けするといった表現の方が合っていると思います。

医療事務は変わらなければならない

AIが得意なことは以下のことです。

・記憶すること

 

・データをロジカルに分析すること

 

・単純なルーティンワークをやり続けること

 

・膨大なデータに基づく判断

 

・単純な仕事・作業

これは完全に医療事務業務です。

記憶すること→保険制度・診療報酬

 

分析・膨大なデータに基づく判断・作業→レセプト

ですのでこの分野は完全にAIが担当する分野です。

人間では勝負になりません。

ですのでまかせましょう。

念のため断っておきますがこれは早くても15年後のことを言っています。

それはもっと早まって10年先ぐらいのことかもしれません。

だったらその頃にはそのあたりの知識はもう必要ないのか?というとそうではありません。

AIにまかせるということはそのノウハウや考え方などのさまざまな情報をAIに教える役割を担う人が必要です。

必ずAIティーチャーなる人材が必要ですのでその分野のエキスパートである必要性は今とは変わりません。

あと前回の記事でも述べているのですがこれからの事務職に必要なのは思考する力、創造する力、判断する力です。

主体性がない人材は淘汰されていきます。

まとめ

前回も同じことを言っていますが繰り返します。

自分が望んでいなくとも世界は変わっていくものです。

だったらみずからその変化の波に飛び込んでいくべきです。

その勇気さえあれば大丈夫です。

挑戦する心さえあればやっていけます。

その気持ちさえあれば10年後、15年後に医療事務の仕事が残っていようがいまいが関係ありません。

そんなことは気にならないはずです。

そしてそのための準備はもうすでに始めておくべきです。

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