以前、医事課の上司に圧倒的なリーダーシップは不要という内容の記事を書きました。

今回はその点を深堀りします。
ごまお
医事課が成長するリーダーシップ、しないリーダーシップ。その違いとは?
結論
医事課が成長していくために必要なことはメンバー全員がリーダーシップを発揮することです。
リーダーシップ
リーダーシップの本当の意味
今回の内容を書くきっかけはある本を呼んだことによります。
それは 伊賀泰代 著「採用基準」です。
これは人事向けの本と思いきやリーダーシップについて深く書いてあります。
最初に結論を言っておくとリーダーシップは全員に必要だということです。
著者は日本ではまだリーダーシップについて問われる機会はごく限定的でその概念自体がよく理解されていないと懸念しています。
なぜ日本では、リーダーが雑用係になってしまうのでしょう?
その理由は、日本人が「リーダーは組織に一人いればよい」と考えているからです。
「一人のリーダーが、組織運営に必要なことはすべてやるべきだ」と考えているから、リーダーは本来求められる責務に加えて雑用まですべてを担当させられるのです。
本来のリーダーとは「チームの使命を達成するために必要なことをやる人」です。
プロジェクトリーダーである自分の意見よりずっと若いメンバーの意見が正しいと考えれば、すぐに自分の意見を捨て、その若者の意見をチームの結論として採用するのがリーダーです。
さらに「そんな若造の意見を採用するなんて」と不満を持つメンバーを納得させチームをまとめていくのがリーダーシップです。
こう考えればチーム内にリーダーが複数いることは決してマイナスではありません。
むしろ全メンバーがリーダーとしての自覚をもって活動するチームは「一人がリーダー、その他はみんなフォロアー」というチームより明らかに高い成果を出すことができます。
つまり
「リーダーシップ=目標達成のための行為、手段」
でありそれは特定の人が発揮するものではない、ということです。
リーダーシップは誰でも学んで使えるスキル
たとえば、マンションの管理組合の会合にお菓子の持ち寄りがあったとしましょう。
会合が終わり、帰り際になってもテーブルの上にはお菓子や果物が残っています。
貸し会議室なので残していくわけにもいきません。
お菓子の数は全員分には足りないので、ひとつずつ分けるのも不可能です。
みんながそれらをすごく欲しがっているわけでもありません。
この時「このお菓子、持って帰りたい人はいますか。お子さんがいらっしゃる方、どうぞお持ち帰りくださいな」と声を上げる人が、リーダーシップのある人です。
(中略)
こういった場面を目にした時の言動によって、人はふたつのタイプに分かれます。
最初のタイプは、何らかの問題に気がついた時、「それを解決するのは、誰の役割(責任)か」と考えます。
もう一方の人たちは、それを解くのが誰の役割であれ、「こうやったら解決できるのでは?」と、自分の案を口にしてみます。
この後者の人を、リーダーシップがあると言うのです。
大事なことは主体性。
そして普段の日常からリーダーシップをとる意識を持つことです。
なぜ全員に必要か?
答えはシンプルで一人だけのリーダーシップがある組織よりも圧倒的に効率的で成果が出るからです。
それはどうしてか?
それはリーダーシップ体験があることによってメタ認知が効くからです。
もっと簡単にいえば組織として全体を動かすことの大変さを実体験で学んでいることによって俯瞰したものの見方ができるから、ということです。
要は相手の立場で考えられるということ。
それが全員なら組織は爆速で成長します。
たとえば数人の飲み会があったとします。
自分が幹事となれば店を選んで日時を決めて、参加の可否を確認したりと結構大変なものです。
これは実際に自分でやってみないとその大変さは分かりません。
ですがやったことのない人にはそんなことは分かりません。
だから人数が確定したあとになって出席したいだの、ドタキャンだの、行ったら行ったで店について文句を言ったり食べ放題コースで注文しているにもかかわらず好きなのを頼みたいだの、自分の意見を言いまくりです。
これは自分が幹事をしたことがないから言えてしまうのです。
リーダーシップを発揮したことがない人にリーダーの立場になって考えてみて、と言ったところで響くはずがないのです。
そもそも自分の発言の何が悪いのかさえ分かっていないのですから。
ですのでリーダーシップを経験則として学んでいない人が組織にいるととんでもなく非効率なのです。
もはや足かせ意外のなにものでもないのです。
このブログではつねづねメタ認知が最も必要なスキルです、大事ですよ、ということを述べています。
そういう意味ではメタ認知とリーダーシップはイコールなのです。
リーダーシップの重要さとはまわりをひっぱっていくということよりもリーダーになった経験から学んだことによる高い俯瞰力と主体性を発揮できるということだと思うのです。
組織が高い成果を達成するためには各メンバーがチームの中でいかにふるまうべきか、体験的に理解している必要があります。
リーダーシップ体験がない人はえてして組織において適切でない行動をとることが多いのです。
ですのでリーダーシップというのはメンバー全員が体験すべきでありその機会を与えていくことはそのチームのトップの役目なのです。
まとめ
医事課が成長するリーダーシップとはすなわちメンバー全員がリーダーシップを持っている状態のことです。
そしてリーダーシップとはチームの目標を達成するために他のメンバーに及ぼす影響力のことです。
また自分がリーダーシップをとれていると思う行動と、他人から見たリーダーシップがとれている行動には差があります。
その差を埋めるためのメタ認知力の向上も必要です。
しかし全員がリーダーシップを持つというのはかなり難しいイメージがあると思います。
それは日本独自の縦割りでピラミッド型の旧来からの組織構造に問題があるからです。
ですが今回している話はそこまで大きなことではなく少しの変化、意識改革でちょっとずつでも良くしていきましょうということです。
医療事務という職種はその仕事内容が多岐に渡るがゆえ逆に個々がリーダーシップを発揮しやすいのでは、とも思います。
接遇が素晴らしい人、保険請求に強い人、ITに強い人などみんなどこかは割と得意だったり自信があったりします。
それらの人たちが自分の得意分野でリーダーシップをおのおの発揮しあえばまわりを上手く巻き込み高いアウトプットを出すことも可能です。
リーダーシップを身につける唯一の方法は自分で経験することです。
リーダー体験を通じて学ぶ以外の方法はありません。
その機会、環境を与えていくのが私たち管理職の役目です。
ごまお