交通事故で怪我をして入院となった場合その費用は治療費として加害者に請求することが出来ます。
では、入院して個室を利用した場合はどうなるのか?
この件に関して先日非常に腹立たしいことがありましたので記しておきます。
目次
室料差額とは?
病室には複数の患者さんが同じ部屋に入院する大部屋と1人1部屋の個室があります。
病室に空きがあれば入院する患者さんは部屋を選択することが出来ますが、個室や特別室など人数が限られた病室を利用する際は個室利用料が発生するのが通常です。
この費用は差額ベッド代又は室料差額と呼ばれます。
室料差額を加害者に請求出来るのか?
もし個室を利用した場合室料差額は加害者に請求出来るのか。
この点についてですが交通事故の賠償金では室料差額は治療費の一部として加害者に請求する事は出来ず被害者自身が支払うのが通常となっています。
過去の判例から見ても個人的な理由で個室を利用した場合は室料差額の請求は認められない可能性が高いです。但し、例外があります。
室料差額の支払いが認められる場合とは?
1.主治医が個室の利用を指示した場合
2.重篤な怪我を負い個室対応する必要があった場合
3.入院時に大部屋の空きがなかった場合
つまり個室に入る必要性があると認められた場合にのみ請求が可能となります。
ただし保険会社は必ず主治医の個室証明書を添付して下さいと言って来ます。
個室証明証とは個室を必要とした理由が明記された証明書です。
個室証明書があっても絶対ではない
個室証明書が出ているからと言って100%請求が通るのかと言うとそうではありません。
この病名で個室管理の必要性があるとは見なされない、というように保険会社が認めてこない場合があります。
保険会社は出来る限り支払額を低く抑えようとしてきます。
またその基準は各保険会社ごとに差があって同じような症状、治療内容で個室利用をしていたとしてもA保険会社は請求を認め、B保険会社は認めないというようなこともあるのです。
患者側はいいように考える
患者さんの中には室料差額は一律払ってもらえると思っている人もいます。
また、事前にどういう話をされてきたのかはこちらは分からないのですが「保険会社は払うと言っている」と言われてくる方で実際に保険会社に確認すると患者さんの勘違いだった、ということもよくあります。
それで退院の時点で患者さんに請求すると払う気なん全くないとなっていて、患者さんと保険会社がもめるようなことも起こります。
ですので病院としては患者さんの言葉は鵜呑みには出来ず、保険会社に確認する必要があります。
ある事例
Aさんという方が交通外傷での再手術の目的にて整形外科に入院してきました。
入院する前段階で既に「今度の入院については個室代も全て保険会社が持つと約束した」と言われていました。
確認の為その保険会社に連絡をとります。その保険会社はCMでも大々的に宣伝している誰もが知っている所です。
そこの担当者B氏は「主治医が個室証明書を出してくれる(個室管理の必要性が明記出来る)のならば当社へ請求してくれれば支払う」と言いました。主治医に確認すると個室証明書を書くことは可能である(必要性は明記出来る)ということだったのでその旨をB氏に伝えました。
「それなら大丈夫です、当社で支払います」とB氏は言いました。ただこの時1点引っかかっていました。
以前にその保険会社から聞いた話だとその疾患での再手術では室料差額は患者さんの負担になるということだったのです。
そのことをB氏に伝えると今回の場合はそれとは要件(保険会社内での規定)が異なっており一緒ではないとのこと。
保険会社で支払うとの言質がとれたのでこちらはそれで話は終わったものと思っていました。
ちなみにこのB氏の発言は入院係の担当者、違う入院係の者、その上司の係長がそれぞれ聞き、それぞれ同じ認識であったので間違いのないものだとこちらは思っています。
話はそこから少し飛びます。
Aさんは退院され、月の請求をその保険会社へ送付してからしばらく経ったあとそこの保険会社のC氏から電話連絡が来ました。
内容は「来た請求のうちで室料差額はうちでは払えない」というものでした。
担当者が以前B氏に確認をとっておりOKの返事をもらっていると伝えました。
そこでC氏はこちらが唖然とする返事をしてきました。
C氏「そんな話は私は知らない。B氏はもう既に辞めており連絡はとれない。B氏がOKしたと言うが証拠はあるのか。録音はあるのか。」
ここからは担当者が何を言ってもらちが開かないので私が引き継ぎました。
しかし話は平行線のままで、私は知らない、B氏はもういないんだからそんな話はしても意味がない。録音もないのに言質をとったと言ってもそれは証拠にはならない、といった発言ばかり出て来ます。
これが大手の保険会社の担当者の発言とは全く持って信じられません。というか社会人としてどうよってレベルです。
まず、退職して間もないものと連絡が一切とれないなんてことは普通あり得ません。
その前に保険会社の人間が「私は知らない」なんてこと口に出してはダメでしょう。知らないんじゃなくて確認しろよって話です。
まずこんな受け答えでなんとかなるって思ってるのが信じられません。
そんなこんなで全くらちが開かない不毛なやりとりが幾度も繰り返されました。
そして数日後C氏からまた連絡が入ります。お互い歩み寄りましょうと言うのです。
こちらは歩み寄る気はない、そちらが支払うだけの話という姿勢でいると再び唖然とする発言が飛び出しました。
C氏「まけてもらえないか。値段交渉してくれるのならばこちらも考える」と言うのです。
もうお前は誰なんだ、家電量販店じゃないんだよ、入院費の請求なんですよって感じです。
こちらは最後まで譲歩出来ないという姿勢を貫きました。結局最後は全額支払うと保険会社は承諾しました。
しかしここまで膨大な時間が消費されました。
まとめ
今回の件はC氏個人の問題もあるでしょうし、そのC氏が担当者という保険会社の質の問題でもあると思います。
まず、当初B氏がOKした判断というのはB氏個人のものではない筈です。
それをのちに180度ひっくり返してくるというのは会社の意志決定がきちんとなされているのか甚だ疑問です。
また、それを知らぬ存ぜぬで話を進めようと決めた会社の姿勢に怒りどころかかえって心配になります。
ほんとにこんな所に任せてもいいのかなって。
私はB氏はいまだこの保険会社に在籍していると見ています。そうなるとほぼ詐欺と変わらなくなりますが。
保険会社とは任せて安心という信頼で成り立っている筈です。
ですが今回の件はそれとは真逆であり、信頼とはほど遠い行為でした。
実際は真摯な信頼に足る担当の方が大部分なのでしょうが、1人C氏のような人がいるだけでその組織全てという風に捉えられてしまうのでとても残念なことだと思います。
保険会社の方にはこちらもお世話になっているので良好な関係を築いていけるようお互い努力していかねばならないです。