中医協の「入院医療等の調査・評価分科会」は10月30日の会合で急性期入院医療や地域包括ケア病棟入院料などに関する検討結果の報告案を大筋で了承しました。
今後は報告案を修正した上で11月6日に開催予定の中医協・診療報酬基本問題小委員会に報告を行います。
そして了承を得た上、総会で点数改定の具体的な議論が進められる予定となっています。
今回はこの検討結果報告案の中で気になる点をピックアップして見ていきます。
ごまお
目次
【2020診療報酬改定】第2ラウンドを見る【中医協ウォッチ⑱】
結論
重症度、医療・看護必要度の動向に注目です。
入院医療等の調査・評価分科会における検討結果 報告(案)
入院医療等の調査・評価分科会における検討結果 報告(案)
1-1.一般病棟入院基本料の算定病床の動向及び施設の状況
1-2.入院患者の状態
1-3.重症度、医療・看護必要度の評価項目
1-4.特定集中治療室管理料等
1-5.短期滞在手術等基本料
1-6.急性期入院医療に関するその他の事項
2.地域包括ケア病棟入院料・入院医療管理料について
2-1.算定病床の動向及び施設の状況
2-2.入院患者の状態
2-3.地域包括ケア病棟・病室の利用に係る現状
3.回復期リハビリテーション病棟入院料について
3-1.算定病床の動向及び施設の状況
3-2.入院患者の状態
3-3.リハビリテーションの提供状況
3-4.リハビリテーション実績指数等
4.慢性期入院医療について
4-1.療養病棟入院基本料の算定病床の動向及び施設の状況
4-2.入院患者の状態
4-3.療養病棟入院基本料に関するその他の事項
4-4.障害者施設等入院基本料及び特殊疾患病棟入院料
5.横断的事項について
5-1.入退院支援
5-2.診療実績データの提出に係る評価
5-3.その他の事項
6.医療資源の少ない地域について
7.入院医療機能の適切な評価指標や測定方法等に係る中長期的な検討について
8.DPC/PDPS について
8-1.DPC 対象病院の要件
8-2.医療機関別係数
8-3.退院患者調査に関する事項
重症度、医療・看護必要度
ポイント
①評価項目(A・B・C項目)をどう見直すか
・A1・B3は、急性期入院医療の評価指標としてふさわしいのか
→「心電図モニター」の妥当性も含めた指標基準の検討へ
→ なくなるか?
・A項目について内服の抗がん剤は入院医療の評価指標としてふさわしいのか
→評価対象からはずすなどの整理を行う方向
・B項目について患者のADLと介助実施の有無とを整理してはどうか
→患者の状態と介助実施の有無を分けて患者の状態を正確に把握できるようにする方向
・C項目についてより広範な手術を評価対象とすべきではないか
→生検などの入院の必要性が高い処置や一定の条件にもとに手術を追加する方向
②基準値を何%とするか
現状を維持するのか、引き上げるのか、引き下げるのか
→入院医療分科会では基準値の数値については話し合われていない
③看護必要度Ⅱをどう推進するか
看護必要度Ⅱの届け出状況が2019年度調査では急性期一般入院料1が29.8%特定機能病院(一般病棟7対1)が46.2%
→ⅠからⅡへ移行の流れは加速する
④ICUの評価指標
→必要度とSOFAスコアを組み合わせたものへ
地域包括ケア病棟
ポイント
①急性期後の自院の一般病棟からの転棟患者の受け入れが依然多い施設がある
→入院料引き下げなどの見直しを行うか?
②DPC病棟から地域包括ケア病室(入院医療管理料)への転床とDPC病棟から地域包括ケア病棟(入院料)への転棟での算定方式
のズレを解消するか?
③入院料1、3に導入された実績要件のうち在宅医療に関する実績の届出項目に偏りが認められることから要件を見直すか?
回復期リハビリテーション病棟
ポイント
不適切なFIM評価とクリームスキミングの疑義
→入棟時のFIMを不適切に低くつけているのではないか?
→FIM利得が大きくなるであろう患者を選別している(クリームスキミング)のではないか?
入退院支援加算・入院時支援加算
ポイント
専従、専任の配置要件・施設基準を緩和する必要があるのかどうか?
データ提出加算について
ポイント
・50床以上200床未満の回復期リハ5・6や療養にもデータ提出を義務化してはどうか
・提出データ評価加算は厳格化へ
入院医療機能の適切な評価指標や測定方法等に係る中長期的な検討について
ポイント
看護必要度に代わる急性期入院医療の評価指標医療区分に代わる慢性期入院医療の評価指標については引き続き検討を行う
DPC
ポイント
①退出ルールをどう構築するか?
→次期改定ではなく2022年度以降の改定に向けての継続検討へ
②すべてのDPC病院個々に医療資源投入量、在院日数、転棟した症例の占める割合、「手術なし」かつ「手術・処置等1なし」の症例が占める割合について全体の分布のうちどのような位置にあるのかベンチマークし改善をうながすために情報提供を行う
今後の流れ
年内
中医協議論→とりまとめ→総会報告
12月20日前後→改定率決定
年明け
諮問・公聴会・パブリックコメント・答申
ごまお