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支払基金改革は本物か?【外見だけ変えてもダメ】

少子高齢化が進行する中では、医療保険制度を効果的、効率的に運用していくことが重要となりますが現在の法律では大きな制約があります。

そこで厚労省は「医療保険制度の適正かつ効率的な運営を図るための健康保険法等の一部を改正する法律案」(仮称、以下、健保法等改正案)を国会に提出するために現行の運用体制を変える為様々な見直しをはかっています。

その中の一つに「社会保険診療報酬支払基金」改革(以下、支払基金改革)があります。

次の下記の事項の見直しを行い効果的かつ効率的な審査の実現を目指します。関連した見直しが国民健康保険団体連合会でも行われる予定

です。

はたしてこの改革で良くなるのか、という点を見ていきます。

見直し点

以前から支払基金の都道府県支部の存在が、いわゆるレセプト審査における地方ルールなどを生み、非効率を招いていると指摘されていました。

そうした中、社会保険診療報酬支払基金法について次のような見直しを行うとされています。

現行法上の支部の都道府県必置規定を廃止し、支部長が担っている権限を本部に集約することで、本部によるガバナンスを強化する(法改正事項2021年4月施行)

支払基金職員によるレセプト事務点検業務の実施場所を「全国10か所程度の審査事務センター」(仮称)に順次集約していく(基金内部規程事項2022年4月以降に順次施行)

現在、47の都道府県支部に設置されている審査委員会を、本部のもとに設置する(法改正事項)。ただし、「地域医療の特性」等を踏まえ、設置場所はこれまでと同様47都道府県とする

支部の集約化

支部の集約化についてはコスト削減の重要性と合わせて、ICT技術の進展により必ずしも全都道府県に支部を置く理由がなくなってきています。

さらに専門医の確保など集約化によるメリットが大きいとされています。

これに対し審査側の反対意見としては「医療には地域性があり、そもそも審査の一元化には反対している。支部と地域医療機関とで顔の見える状況が支払基金への信頼関係を醸成してきた。」「疑義などを支払基金に伝える際、隣の県にしか支部がないというのでは困る。」というものがあります。

支部の存在意義

そもそも昔は紙レセプトを手渡すことが困難という物理的な理由で支部の存在意義はありました。

ですがICTが進展する中でその点に合理性は見いだせなくなってきています。

また地域間格差においてはなんの合理性もなく一元化しない理由がありません。

そもそも支部と地域医療機関とで顔の見える状況が信頼関係を作ってきたという認識は支払基金側から見た単なる思い違いです。

顔を突き合わすから信頼関係が築けるなんてそんな論法はどこの社会でも通用しません。

別に電話でも信頼関係は築けます。それはこちらが投げた疑問に対し真摯に対応してくれていると受け取れれば信頼感は持てる訳であり、たとえ顔を合わせて話していてもうわべだけで対応されている、理解しようとしてくれていないと感じれば信頼感なんて持てる筈がありません。

支払基金の効率化

効率化の為にはコンピューターチェック体制の強化と人員体制のスリム化を上げています。

具体的には審査委員会の中立性をより強化する為に、利益相反ルールの厳格化、明確化を図り将来的には審査委員会にかけるレセプトは重点審査分に限り、レセプト全体の1%以下を目指すとしています。

レセプト様式は、コンピュータチェックに適したものに見直すとしています。

また、職員の業務体制や支部のあり方など現体制を全面的に見直し業務体制の徹底的なスリム化を図るとしています。

人員体制は遅くとも2024年度末の段階で現行定員の20%程度約800人の削減を計画的に進めます。

同時に、医療専門職やICTなどの専門人材の採用拡大などにより自ら考え、自ら行動する頭脳集団に相応しい人材の高度化を進めるとしています。

なお、支払基金の改革と同時並行で国保中央会と国保連合会においても取組みを進めていくとのことです。

そして厚労省が進める保健医療データプラットフォームが本格稼働する2020年度以降に順次具体化を図り、2024年度には、支払基金と国保中央会の双方の業務が整合的、効率的に機能することを目指し審査システムのコスト削減を図っていくとしています。

まとめ

本項には、支払基金職員によるレセプト事務点検業務の実施場所を「全国10か所程度の審査事務センター」(仮称)に順次集約していく、としながらも現在、47の都道府県支部に設置されている審査委員会を、本部のもとに設置する(法改正事項)。ただし、「地域医療の特性」等を踏まえ、設置場所はこれまでと同様47都道府県とする、となっています。

はたしてこれは真の一元化となり得るのでしょうか。

現行と劇的にどう変わるのかが見えてきません。看板だけ変えて支部はそのまま残すというだけにしか思えません。

コンピューターチェック体制の強化によりレセプト処理の効率化が進むことは大変いいことですが、それなら人員削減ももっと出来る筈です。

現在職員数が4500人ぐらいいるのですから800人程度削減した所でまだかなり多いとは思うのですが。

おそらく私が思いもよらない重要なマンパワーの必要な業務がまだまだたくさんあるのでしょう。

改革とは要は結果です。本気で結果を出すつもりであればうちうちで満足するのではなく外部から見られても納得出来るような結果を残して頂きたいなと思います。

 

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