厚労省はマイナンバーカードで被保険者の資格確認が出来るようにする健康保険法改正案を国会に提出しましたが、政府としては次の段階としてマイナンバーカードの健康保険証との一体化を目指していることが分かりました。
2月15日のデジタル・ガバメント閣僚会議にて佐藤ゆかり総務副大臣が「健康保険証との一体化」を含めたマイナンバーカードの普及策のとりまとめを示指されていたことを明らかにしています。
これにより今後どのような流れをたどっていくのか、医療機関としてはどのような対応が必要になってくるのかを見ていきます。
目次
デジタル・ガバメント閣僚会議とは
デジタル・ガバメント閣僚会議は国と地方公共団体のデジタル化を機動的に進めることで社会全体のデジタル化を推進することを目的として設置されています。
官房長官を議長とし副議長には情報通信技術政策担当相と総務相が就きほかに厚労相や財務相を含め関連する大臣など11人が構成員となっています。
2014年に設置され、2018年に再スタートし2019年2月15日にその第3回会議が開催されました。
マイナンバーカードが保険証として使えるように
政府は2021年3月から原則全ての医療機関でマイナンバーカードを健康保険証として使えるようにします。
マイナンバーカードが普及していない
そもそもマイナンバーカードと健康保険証の一体化はマイナンバー制度開始時から政府では検討されていました。
ここにきて大々的に一体化を推進すると明言している理由の1つにマイナンバーカードの普及が少しも進んでいないことがあるようです。
現在の普及率はまだ12.6%とのことです。健康保険証との一体化によって普及を推し進めたい意向です。
一体化による医療機関の対応
従来の健康保険証の現物確認と違いマイナンバーカードでのオンライン確認となると少なくともカードリーダー、認証確認用のソフトウェアとハードウェア、専用回線のシステム構築が必要となります。
国は予算として、医療機関のシステム整備費への補助金など約300億円を来年度予算案に盛り込んでいます。
マイナンバーカードには何の情報が入る?
健康保険証との一体化によってマイナンバーカードに医療情報が集約されるのではとの懸念もありましたが、マイナンバーカードのICチップ内の電子証明書で認証が行われるだけなので本人の医療情報がそこに格納される訳ではありません。
メリット
メリットとしては次のようなものがあります。
①資格喪失受診に伴う事務コスト等の解消
現行では保険証の資格を失った後でも保険証を返還せずに利用した場合、診療を受け続ける事が可能でいざレセプト請求を行う際に初めてわかるケースがあります。
この誤請求に要する事務負担は年間30億円程度になります。この部分の問題が解消されます。
②高額療養費限度額適用認定証等の発行業務等の削減
マイナンバーが活用される事により、世帯状況が判明し実現されるものとなります。
③特定健診結果や薬剤情報を紹介できる仕組みの整備
④保健医療データの分析の向上
まとめ
政府は是が非でもマイナンバーカードを普及させたい意向だということは分かりますがはたしてそこまで普及するのかは疑問です。
そもそも常に携行することは紛失の可能性もありますしリスクもかなりはらんでいるのではないかと思います。
現在でも保険証を病院へ出したのに返してもらってないと言われることがたまにあります(結局は患者さん側から見つかる)がこれがマイナンバーカードになれば余計に預かりたくはないものです。
将来的にはマイナンバーカードにクレジットカードやポイントカードなどと連携させ個人番号カード1枚に多くの機能をもたせるいわゆるワンカード化を目指しているとも聞きますが、利便性は高まりますがセキュリティ面が懸念されますしリスクは分散した方が良いのではとも思います。
また、医療機関でのオンライン確認においても安全性をどのように担保するのか、セキュアな認証プロセスの構築などクリアすべき点はいろいろあります。
そしてマイナンバーカードの健康保険証一体化が実現し開始されたとしてもすぐに今までの健康保険証が使用出来なくなる訳ではなく、徐々に一本化へと進んでいく筈なので政府が見越しているほどすぐには普及してはいかないと思います。
そうなると当分は病院窓口では通常の保険証とマイナンバーカードの両方を取り扱うことになる訳であまり業務軽減にもならないのではとも思います。
どんな場合も過渡期は大変なものですが将来的には利便性が高くセキュリティも高くリスクが限りなく低いカードとして普及してくれることを願っています。