【医療事務】入院係は5年で卒業すべき論

医療事務には入院係という仕事があります。

入院の一切の事務業務を行うところです。

病院経営において入院収入は全体の7〜8割を占めます。

入院係はそこの請求業務を行うわけなので、非常に重要な役割を担っています。

また入院請求はとても内容が濃いので、1年やそこらで一人前になることは非常に困難です。

ということで一度入院係に配属されれば、ある程度の年数はかけないといっぱしの担当者にはなれません。

ですがかといって入院係歴は長ければ長い方がいいのかといえば、そうではありません。

医療事務の世界においては、長い入院係歴をひとつのステータスとして見る向きも一部にあります。

「入院係歴10年です」とか「入院係で診療報酬改定を3回経験しました」など、それらがあたかもすごい武器であるかのように自分で思い込んでいる担当者も多くいます。

しかし実際それらはそんなにすごいことではないのです。

というか、そんなに入院係にいてはダメなのです。

今回はそんな話をします。

あなたがもし入院係歴が結構長くなってきているのであれば、ぜひ最後までお読みください。

なぜ入院係は5年で卒業すべきなのか?

その意味を知り、今後のあなたのキャリアアップに役立ててください。

【医療事務】入院係は5年で卒業すべき論

 

結論

 

入院係はあがりではありません。

 

もっとその先を見すえましょう!

入院係とは

医療事務と入院係

僕は医療事務の業務では、入院係をやっていた期間が一番長いです。

ですので入院係への思い入れも人一倍強いです。

この記事を読んでいる人の中には、それこそ現役の入院係の人もいるかもしれません。

今回話すことは僕の経験則としてのことと、今の立場から見た入院係という両方の視点をミックスしています。

というわけで自分が感じていることとはだいぶ違うなあ、ということがあるかもしれませんが、それはあくまで僕個人としての意見なのでそこはご了承ください。

さすがに僕が現役バリバリで入院係をやっていた頃とは、状況も変わっています。

診療報酬改定も幾度となく行われ、時代の流れはICT化へと進んでいます。

しかしながら率直な感想として、その中身は昔と大して変わっていないように感じています。

それこそ紙請求からオンライン請求へという大きな変化はありましたが、その他はあまり変化しているとは思えません。

入院業務の全体像は昔も今も同じ印象です。

これは良いことなのか、悪いことなのか。

その答えは、良い点もあり悪い点もある、となります。

良い点は業務がマニュアル化、標準化しているからこそ同じ印象だということ。

業務の方法が細かいところまで、しっかり引き継がれてきているともいえます。

しかしそれが悪い点にもつながります。

つまり、どこも変えてきていないということです。

変えずとも不都合な点は出てこなかった、またはそんな疑問すら持たなかったか。

ここまで聞けば入院係の全体像、もっといえば医療事務の全体像が見えてきます。

つまり、徹底したマニュアル主義、ルーチン業務の連続ということです。

そして一番の特徴はクリエィティブ性を発揮する職種ではない、と担当者本人が思っているということです。

医療事務は何かを生み出しているわけではない、だから給料が低いんだというのはよく聞く話です。

しかし何も生み出していないのは、その個人であって医療事務ではありません。

医療事務にクリエィティブ性がないというのは、バイアスがかかっています。

もちろん何も考えずたんたんと決められたことをこなしていれば、そこにはクリエィティブ性はみじんもありません。

ですがそうなると、それは仕事ではなく作業です。

仕事と作業は別物です。

ただ単にやらされている事務作業から脱却して、いかに病院収益に寄与できるか、患者サービスに貢献できるかという問題解決へ思考をめぐらしシフトしてはじめて仕事といえます。

そうした医療事務の付加価値を追い求めない姿勢では、高いモチベーションも生まれないということは以前にも書いたことがあります。

医療事務は決して何も生み出していないわけではありません。

請求のもととなる診療行為はもちろん生み出すことはありませんが、その素材を材料に請求という料理をするのが僕たちなのです。

そこには料理人の腕というのが、大きく影響するのです。

マニュアルだけでは生み出せないプロの技術、付加価値というものが求められるのです。

ですが多くの請求担当者は、そのような意識を強く持っていません。

それよりも重視しているのが正確さです。

行った診療行為を漏れなくきちんと請求する、その一点に注力しています。

もちろん、それはとても大事なことです。

しかしあまりにもそこに固執しすぎていないだろうか、そう思うのです。

正確さを追い求め残業する。

入念に何度もチェックを行う。

それは一見正しいように見えますが、生産性の視点がない。

これは医療事務全般にいえますが、仕事をするに当たり高い生産性を目指すという概念がそもそもない、もしくはかなり弱い。

いうまでもなく、医事課の最大のミッションは病院収益の最大化です。

それを目指すには、生産性の向上を目指すという視点が絶対必要です。

そしてそのためには、どうタイムマネジメントするかが非常に大事なのです。

しかしいまだにレセプト残業信仰が残っている世界です。

レセプト残業やむなし、そう思う人がいなくならない限り高い生産性なんてのぞめないのです。

入院係のポジション

話を入院係に戻します。

冒頭で入院収入は全体の7〜8割を占めるといいました。

そうすると、そこの請求を担当する入院係ってかなり重要なポジションになります。

ですのでそこを任せるのは、それなりの経験者というのが通常です。

新人をいきなり入院係にもってきて病棟担当をさせるとなると、かなりハードルが高くなります。

だからその場合なら完全に独り立ちできるまで、教育係をきっちりつけてフォローしていく以外にありません。

ですが普通よくあるのはある程度の経験者、それもほどほどにレセプトが見れる人を入院係に配置換えをするパターンです。

これだとあとは入院特有の業務やレセプト請求の注意点などを覚えていってもらえれば、新人を育てるよりも早く育成することができます。

どちらにせよ入院係を育てるには、それなりの時間と労力が必要になります。

僕のことでいいますと、もともと外来レセプトを見ていてその後入院係という流れでした。

そして当時入院係に行く前に思っていたことが、「入院係は難しい」ということでした。

なんかとんでもなくややこしいのではないか、と思っていたと記憶しています。

また当時はDPC導入前でしたので、すべて出来高レセプトでした。

そして配属直後感じたのが「やっぱり難しい、内容が超濃い」ということでした。

ですがそれは単なる入院係バイアス、入院係アレルギーだったのではないかと感じています。

要は慣れの問題でした。

慣れるまではそれなりに時間はかかりましたが、やっていることは外来レセプトの延長線上のことです。

一つひとつ分解していけば、外来も入院もやっていることに大差ありません。

「いやそれは言い過ぎ」

「今はDPCだから」

という意見もあるかと思います。

ですが僕の結論は変わりません。

外来レセプトよりも入院レセプトの方が数段難しい、それは幻想です。

外来レセプトよりやさしいことはありえません。

ですが数段も難しいものではない。

そもそも医療事務は、そんなに難易度が高い仕事ではありません。

ただしこれには条件がつきます。

それは「つねに学習できる人」「変化することをいとわない人」であればということです。

過去に外来係の人を、入院係に配置換えしようとしたとき拒まれたことがありました。

「私には無理です。外来レセプトしか見れません。」

その人はそんなニュアンスのことを言っていました。

しかし無理なのはその人の能力なのではなくて、その思考なのです。

僕にはその発言は「学習意欲も向上心、成長意欲も何もないけれど楽して給料は貰いたい」としか聞こえませんでした。

入院係は簡単だよというつもりはありません。

ですが学ぶ意思さえあれば、医療事務員なら誰だってできる業務です。

それは本当にそう思います。

そして入院係を経験する意味はとても大きい。

DPCがわかる、手術算定がわかるというのは大きなアドバンテージになります。

その知識と経験は、自分の武器となります。

当ブログでは、つねづね自分の市場価値を高めましょうと言っています。

その高い市場価値の要素の一つが、入院請求に精通している、ということです。

将来自分のキャリアがどこに進もうとも、一度は入院係を経験してほしい、そう思います。

やはりこの業務には、医療事務の大事な蜜が大量につまっています。

そこを吸わずして医療事務を語ることなかれ、と思うのです。

「そうは言っても配属は上司が決めるものなので」

と思う人がいるはずです。

ですが「入院係をやりたい」と上司に伝えるのは、あなたの自由です。

そしてそんなことを言ってくる人はまずいません。

逆にいえば、そんなことを言ってくる人に対しては「おっ」と思うのです。

そして少なくとも上司の頭の片隅には、そのことは残り続けます。

僕ならベテランだがモチベーションが低く惰性で仕事をしている入院担当がいるくらいなら、その希望者とチェンジします。

最初は大変かもしれない、でも先を見すえると間違いなくプラスに働きます。

入院係はあがりなのか?

入院係を長くやっていると、おちいりやすい思考があります。

それは「自分はできるんだ」思考です。

特に外来レセプトを経由して入院係、さらに自賠も労災も経験した人にとっては、レセプトのフルコンプリートなわけです。

そりゃできるって思ってしまいます。

できるの定義があいまいですが、確かにそれ相応にできるはずです。

ですが一点言っておきたいのは、そこにはもう伸びしろがないってことです。

入院係というのは最初の1,2年はすごく成長します。

ですがたとえば担当病棟が変わらないとすると、3年目以降の成長具合はガクッと落ちます。

そしてそのまま5年目までいくと、もはやそこに成長はありません。

惰性です。

これは当たり前の話で、新しく学ぶことがないからです。

改定は少なくとも2回経験しますが、それも点数が変わる、算定方法が変わる程度の認識。

受け持っている病棟が一緒なら、基本やっていることは同じ。

わからないことがあっても人に聞いたり、ググればだいたいはわかる、できる。

もう経験に100%依存なのです。

これはその先を見すえた場合非常にまずいのです。

今をプラマイゼロの状態とするならば、その惰性の人が将来プラスに働くことなんてまずありません。

惰性でモチベが低い人なら個人としてはマイナス、かつ周りへの影響を考えてもマイナスです。

結局このような惰性の人は、入院係をあがりと見ているわけです。

ですがそれは「あがり」どころか「さがり」です。

そもそも仕事にあがりなんかありません。

ですがベテランの入院係担当者には、この傾向が強いです。

僕は入院係は、最長で5年が限度だと思っています。

なぜなら、それ以上いても成長しないから。

もし仮に5年以上続けるのであれば、担当病棟は変わる必要があります。

それこそ全診療科を経験しますということで、2年ごとに担当を変わり続けるのであれば10年以上いても意味はあります。

それ以外であれば5年が目安です。

本当は3年ぐらいでもいいかもしれません。

もともと僕は医療事務のキャリア論としてはゼネラリスト推しなので、こんな考え方をしています。

そもそも論として、僕はこの先そこまでレセプトスキルを追い求めてもあまり効率的ではないと思っています。

今まではそれでやってこれたのかもしれませんが、今後はもっと経営的視点、スキルを高めていく方が本流になっていくはずです。

入院係を重視しないというわけではないのですが5年後、10年後を見すえれば、入院係一本で食っていくのは結構リスキーだと思います。

入院係のスキルを持っていながら他のスキルも併せ持っている、そんなハイブリッドな医療事務員がきっと将来活躍するはずです。

 まとめ

 

もし読者の中に入院係を5年以上経験している人がいるのでしたら、一度この先のキャリアのことを考えてほしいなと思います。

5年でいっちょあがりと思っていればもうそこに高いモチベーションなんて生まれません。

知っている範囲で今までどおりに働くのはそりゃ楽ちんです。

でもそれって楽しいですか?

仕事の楽しさって自分が成長しているのを実感できるときに感じるのではないでしょうか?

楽ちんだがモチベは低い仕事。

チャレンジングで大変だけどもモチベは高い仕事。

あなたならどちらを選びますか?

ぜひ自分の成長を優先してほしいな、と思います。

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