医療事務員のやる気スイッチの入れ方【マインドセット】

今回はかなり理想論というか達成するのが難しいことをあえて述べていきます。

ですがそれは非常に大事なことで、見てみぬふりをしていたところで何も変わらないので、今一度よく考えていきたいと思います。

そのテーマとは「医療事務員のモチベーション」です。

このことについては以前にも記事にしたことがあります。

モチベーションの高い医療事務員は絶滅危惧種?【仕事とモチベ】

その記事での結論では

・個人に頼るのではなく医事課として、全体のシステムとして円滑に回すことが大事

 

・たとえモチベーションの高い医療事務員が絶滅したとしても医事課として機能し、質の高いアウトプットを出し続けられるのであればそれでいい

としました。

ですがそうは言ったものの、モチベーションが高いことに越したことはなく、高いモチベーションを維持する方法を個人としても管理職としても模索することはやり続けないといけません。

そしてまた、そもそもモチベーションの高い医療事務員が絶滅してしまって質の高いアウトプットを出し続けることなんて可能なのか?という疑問もわくわけです。

ですのでもっともらしいことを言っていますが、その記事の結論は穴だらけです。

読み返してみると結構メチャクチャな論法です。

現場を知らない人が書いた机上の空論のようにも思えてきます。

ですがその時点では私はそれが自分のベストアンサーとして書いています。

ここからもわかるように、このモチベーションの問題はその時の現場の状況や自分の考え方によって導き出される結論がいろいろと変わってきます。

よって今回も数カ月後に読み返したときに、また全然違う意見を持っている可能性は十分あります。

しかし今の時点での自分の考えを整理する意味でも備忘録的なものとして書いておきたいと思います。

ごまお

モチベーションは永遠のテーマ

医療事務員のやる気スイッチの入れ方【マインドセット】

結論

成長マインドセットを身につける。その一点です。

成長マインドセット

マインドセット最重要論

今回の内容は 「やる気が上がる8つのスイッチ」 ハイディ・グラント・ハルバーソン著 を参考にしています。

著者はコロンビア大学教授の社会心理学者でモチベーションと目標達成研究の第一人者です。

昨日紹介した「やり抜く人の9つの習慣」とも通ずる部分が多いです。

まずマインドセットとは思考傾向、考え方のくせ、と定義しておきます。

さてさっそく本題に入っていくのですが、その前にそもそもなぜモチベーションを上げるためにはマインドセットが最重要なのかというところを説明しておきます。

簡単にいえばマインドセットこそがすべての土台となるから、ということです。

以前に記事にしていますが、アイスバーグ理論をもう一度ここで説明しておきます。

「自分には医療事務しかない」なんて思わない方がいい【成長マインドセットとアイス バーグ理論】

アイスバーグ理論は目標達成するためのプロセスを4段階に分けて解説しているものです。

 

 

 

 

 

 

 

 

そのプロセスは次の4つです。

①成果・結果

 

②能力・スキルの向上

 

③思考・行動の積み重ね(=習慣)

 

④意識・思い・人生哲学

アイスバーグ理論は①~④の4つが順番に積み重なっています。

これが意味するところは

①成果を出すためには

 

②能力やスキルの向上が必要であり

 

③能力やスキルが向上するための思考や行動の積み重ね(=習慣)が必要であり

 

④そのような習慣を継続するための意識や思いが必要

ということです。

成果を出すためには?


成果を出すための、「能力やスキル」の向上


「能力やスキル」の向上のための、「習慣」


「習慣」継続のための、「意識や思いや価値観」

つまり結果を出し目標を達成するためには努力や行動以前にまずは④の「意識・思い」を変える必要があるということです。

そしてこの④の部分こそがマインドセットにあたるのです。

多くの人は、結果を出している人を見たとき①「成果・結果」を注目しがちです。

本当は①「成果・結果」のもととなっているものは②〜④のような行動・思考なのにもかかわらず多くの人は①「成果・結果」のみ見てしまいます。

アイスバーグ(氷山)も海面上に見えるのは一部分で、氷山の全体のほとんどは海面下に隠れています。

そのように氷山のほとんどが目に見えない様子と上の図の①〜④のうち②〜④が見えない様子の関係にちなんでこの目標達成の考え方を「アイスバーグ理論」と呼んでいます。

結局1番大事なことは1番下の土台となる部分であるマインドセットをどう構築するかということです。

そのマインドセットしだいで成果は変わってくるということです。

そしてその成果が出れば出るほどモチベーションが上がるのは当然の話です。

ですので一番大事で一番はじめに着手すべきはマインドセット改革なのです。

成長マインドセット

本書ではマインドセットを2つにわけています。

・証明マインドセット

 

・成長マインドセット

それぞれ説明します。

証明マインドセット



・自分の能力の証明に焦点を当てている

 

・人に自分の能力を見せつけ認めさせようとしている

 

・自分と他人をいつも比べている

 

・「すごい人と思われたい」

証明マインドセットの特徴にはこう書かれています。

何かがうまくいかないときは、そのことが自分には向いていないのだと考えがちなのも特徴です。

ミスをすることをいつも恐れていますし、自分にはできない、自分には無理だということが人にも自分にもわかってしまうことが怖くてしかたがありません。

だからこの人たちがやりたがるのは、いつも自分がうまくできるとわかっていることだけです。

 

成長マインドセット

 

・自分が向上することに焦点を当てている

 

・能力を高める、新しいことを学ぶ、そして時間とともに向上していく、それらが重要だと思ってる

 

・自分と他人をあまり比べない

 

・「すごい人になりたい」

成長マインドセットの特徴にはこう書かれています。

このマインドセットの人は、困難に直面したときも粘り強く頑張り続けるという特徴もあります。

なぜなら、時間をかけて成長していくということが大切なのですから、その道程で失敗はしかたがないし、困難だって当然あるだろうと考えられるからです。

 

本文はこう続いています。

どちらのマインドセットで人が動いているか(あなたも含めて)はモチベーションにおいてとても重要です。

成果をさらに上げるための重要な要素の1つになるからです。

しかも、それは固定的なものではなく誰でも変えられるものです。

マインドセットをシフトさせる

証明マインドセットの人は極度に失敗を恐れます。

人に自分の能力を見せつけ認めさせようとしているのですから、失敗することによって自分の評価が落ちることが怖いのです。

だから自分で上手くいくと思えないものは一切したくないのです。

証明マインドセットの一番の負の部分がここにあります。

何度も言っていることですが「挑戦」という言葉をもう持ち合わせていないのです。

リスクをとれないというリスクを抱えているのです。

その人たちは大きな思い違いをしています。

「失敗はしてはいけないんだ」と。

ですが実際は反対です。

失敗はするべきです、というかするものです。

成長するにはそれが当たり前。

挫折なしで成長なんかできない【倒れても起き上がればいい】

そして人間は失敗しても大丈夫だと思うと、実際失敗を犯す確率はとても低くなるという研究結果も出ています。

だったら余計に失敗してもいいと思うべきなのです。

でもそういう考えを実際にする人がどれくらいいるかというと、ほとんどいないでしょう。

冒頭に今回は理想論だと述べた理由がここにあります。

著者はマインドセットは自分の努力で変えることができるとしています。

つまり証明マインドセットから成長マインドセットへのシフトは可能であると。

そして他人のマインドセットをシフトさせる方法として以下のような点を示しています。

・ゴールとプロセスを成長マインドセットを使って設定する

 

・ミスをしても大丈夫だと伝える

 

・成長マインドセットのロールモデルを示す

 

・正しいフィードバックを行う

 

・ほめるのは能力ではなく、やり方や工夫、粘り強さ、ポジティブな態度

これらの書いてある意味は本書を読み進めていけば理解はできます。

ですがここで思うのです。

「はたして現場に落とし込んで使えるのか」と。

私の答えはこうです。

「人による」

これはテキトーに考えて出しているわけではなくマジメに考えた結果です。

ホントに人によると思っています。

ですので全体に落とし込むのはムリな話だと。

もっと具体的にいえば、入職3年目ぐらいがそのラインじゃないかと。

確実に5年目以降だと変わらせることはほぼムリです。

そこで証明マインドセットならば退職するまで証明マインドセットです。

成長マインドセットに変わることはない。

これはそもそも論なのですが、他人のマインドセットをシフトさせるということ自体がかなりムリのある話なのです。

本人が自分でシフトしようと思わなければ変われるはずがないのです。

上司ができるのはあくまでそのための「うながし」だけです。

他人をコントロールすることなど100%不可能。

だからこそ、他人のマインドセット、モチベーションに頼らずにシステム、しくみ作りで対応すべきというのが以前の結論だったのです。

しかしそれはどうなんだろう?という疑問から今回の話は始まっているわけです。

堂々巡りになってしまいますが、ここを打開するにはもっと他の視点が必要なのでしょう。

まとめ

医療事務員のやる気スイッチの入れ方の答えは、成長マインドセットを身につける、もしくは身につけさせる、これは間違いではありません。

ですがその落とし込みは容易ではない。

成長マインドセットの人はそのマインドセットをベースにしたロジックだからこそ成長マインドセットでいるわけです。

その論理構造がない証明マインドセットの人が成長マインドセットを身につけるということは、ある種の価値観、仕事哲学の破壊なわけです。

難しくて当たり前。

そして医療事務においてそれは中堅以上であれば、変わることはほぼ不可能。

それが私の経験則からの結論です。

またこれは当の本人からすると無意識に行っている思考なので、自分が証明マインドセットか成長マインドセットかという自覚さえないのです。

さらにいえば証明マインドセットの何がいけないの?と思う人もいると思います。

ですのでここまで来ると収拾がつかないのです、対応できないのです。

少なくとも自分は成長マインドセットでいようと思うぐらいなのです。

ですがこれではいけないのだと思います。

一人の医療事務員としてだけならそれでいいのかもしれません。

しかし上に立つものとしてそのマインドではリーダー失格です。

証明マインドセットから成長マインドセットへ完全にシフトさせられなくても、ほんの一部分でもそのマインドを持ってもらえるように努力することが必要なのでしょう。

医療事務員のやる気スイッチはもとより、医事課全体のやる気スイッチをどう入れていくのか、日々自問自答しつつ正解を探し続けたいと思います。

「今日は何を学びたい?」

 

「今日は何を教えたい?」

 

「他人にどんな影響を与えたい?」

毎日自分に向かって尋ねていきます。

ごまお

365日成長志向!

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