コンビニの24時間営業の是非が話題となっています。
事の発端はあるセブンイレブンの店主が人手不足を理由に営業時間を短縮したところ、セブンイレブン本部に契約解除と違約金1700万円を要求されたというニュースでした。
これが明るみに出た後世論の批判を受けセブンイレブン本部は24時間営業の見直しに向けた検証実験に入るなどの検討を進めています。
この経緯の中で出てきたのが24時間営業擁護論です。しかしその理由は正しいのでしょうか。
フランチャイズ店
まず擁護論を見ていく前に現在のコンビニ業界の実態を見ておきます。
セブンイレブンを例にとると総店舗数は全国で2万店を超えており98%がフランチャイズ店です。本部の直営店というのはほとんどありません。
例えば脱サラをして一国一城の主となるべくコンビニ経営を志願した人がいるとします。
コンビニオーナーになる最も手早い方法はセブンイレブンなどとフランチャイズ契約を結びフランチャイジー(加盟者・加盟店)になることです。
一方セブンイレブンの商標や商品・物流システムなどを利用するために、ロイヤリティをフランチャイザー(本部)に支払う必要があります。
ロイヤリティは売上総利益(粗利)の〇〇%を本部に支払うとなっているのですがここの部分が店舗によっては40~50%、もしくはそれ以上支払う契約になっている場合もあるとのことです。
売上からロイヤリティを差し引かれた後、そこから更に家賃、光熱費、人件費、廃棄費、雑費を差し引いた金額がオーナーの手元に残ります。
そうなると手取りとしてはいくらも残らないのです。
そして先日の大阪のセブンイレブンオーナーの場合だと共同経営者だった奥さんが亡くなり、更にバイトが集まらず自分でシフトに入り続けなくてはならなくなり1日20時間労働のような日々が1週間休みなく続いていたといいます。これはもういつ死んでもおかしくない状態です。
非情な本部
更にひどいのは、まずセブンイレブンの商品しか取り扱えないのでセブンイレブンが用意した割高の商品を仕入れないといけません。
本来問屋から直接仕入れれば安い商品でもセブンイレブンの物流に乗っかった方法でしか仕入れられません。
また独自商品を開発して売ることも出来ません。
ですので販売に関しては本部の思うがままでおまけにロイヤリティで半分近く持っていかれることになります。
次に仮に客足が伸びて順調に売り上げが伸びている場合です。
ここからがえげつないのですがその売り上げが伸びている店舗の周辺に同じセブンイレブンを作ってしまうのです。
こうしてそこの店舗同士で競争させるのです。
エリアの総売り上げ高というのは一定なので店舗が増えれば当然売り上げは分散してしまい1店舗当たりの売り上げは落ちてしまいます。
ですが本部はそんなことはいいのです。なぜなら本部は儲かるから。
フランチャイズ店の売り上げが落ち込もうが知ったこっちゃないのです。
そして疲弊したオーナーが今回のように営業時間の短縮という契約違反をすると違約金として1700万円支払えなどという暴挙を当然のように遂行してくるのです。
そこには対等な関係などあるばずもなく、自らの利益を増やす為だけの歯車としか思っていません。
フランチャイズ店とは奴隷と一緒のようなものなのです。
24時間営業擁護論
ここまでの前提を分かった上でも擁護論者は同じことを言えるのでしょうか。
コンビニの明かりが女性の夜道の為の明かりを担っているなんて暴論です。
夜道が怖くて防犯上も良くないのならばその地域の役所に言うべきです。
コンビニにその役割を勝手に託されても困るだけです。
また、夜中に子供が熱を出した時に氷を買いに行けるという意見。
まず子供がいるならいざという時を想定しておいて冷蔵庫で氷ぐらい用意しておきましょう。
もし冷蔵庫がないんですという家庭があるのならばすぐ買って下さい。
子供の為に冷蔵庫も買えない稼ぎならば子供を持ってはいけません。
そもそも氷にこだわる必要はなく水で冷やしたタオルでもこまめにかえてあげれば十分効果はあります。
確かに頭を氷で冷やすとひんやりとして気持ちよく感じますが直接熱を下げるという効果はありません。
熱が出た時は首の回りや脇の下、そけい部(太ももの付け根)などリンパの集まる部分を冷やした方が効果的です。
あと、そもそも熱が出ている子供をおいてコンビニに買い物に行くという発想がおかしいです。
またそのような時に体温計がなかったらコンビニで買えるという意見もあるのですが子供がいる家庭であるのならな基本常備しておいて下さい。
大人ならまだしも幼い子供がいる家庭であるならば普段の用意を怠っていなければ深夜にコンビニに走る必要などないのです。
普段何も準備していないくせに私が急に困った時の為にコンビニは24時間開けておくべきだなどというのは身勝手はなはだしいです。
擁護論はなぜ出るのか
これはおそらくコンビニのフランチャイズ店の実態が知られていないからだと思います。
擁護論者の人はその意見をセブン&アイ・ホールディングスに向けて言っているのではないのでしょうか。
儲かっている大企業なんだから世間の為に24時間開けておいてくれと。
しかし、それはフランチャイズ店のオーナーに向けて言っていることになりそれは私達の為に死ぬまで働けと言っているのと同じなのです。
まとめ
社会のインフラとして24時間開けておかねばならない所はあります。病院も然りです。
しかしコンビニが24時間営業である必要性はありません。
絶対必要だという根拠があるのならば逆に教えてほしいです。
コンビニは便利だからコンビニという名ですがその裏では疲弊しきったオーナーがたくさんいるということを忘れてはいけません。
そしてその原因を作っているコンビニ本部という実態。
店同士の削りあいというどうみても破綻の行く先しか見えない状況をまだ続けていく気なんでしょう。
擁護論も1つの意見なのでそれでいいのですが、物事を語る時は必ずその背景、裏側がどうなっているのかという想像力を働かせてからでないと本質を見失ってしまうと思います。