医療経営士という資格があります。
医療経営士とは
一般社団法人日本医療経営実践協会が医療機関をマネジメントする上で必要な医療と経営に必要な知識、経営課題を解決する能力を有し、実践的な経営能力を備えた人材に発行する民間資格(ウィキペディア)
とあります。
受験層は病院の事務職や医療スタッフも一定数いますが、最近は医療業界関連の製薬会社(MR)、取引金融機関社員の取得が急増しています。
さて医療事務員にとって、医療経営士の資格を取得することにメリットはあるのだろうか?
そう思っている人もいるでしょう。
この記事では、医療経営士とはどんな資格なのか?取得することでどんなメリットがあるのか?という点を解説します。
医療経営士という資格に興味はあるけど詳しくは知らないという人は、ぜひ最後までお読みください。
目次
医療事務員が医療経営士の資格を取得することにメリットはあるのか?
結論
医療事務員が医療経営士の資格を取得することにメリットはあります。
医療経営士資格が生まれた背景
これからの医療業界と医療経営士
今後2025年問題から2040年問題へと話が移っていく中で、医療機関はまさに淘汰の時代に入っていきます。
増加の一途をたどる医療費、国による診療報酬の抑制、アウトカムや診療密度が重要視される診療報酬など、病院経営は今後ますます厳しくなっていきます。
実際高齢化社会に対しては地域包括ケアシステムの構築、又増税や働き方改革をはじめとした労働環境へのメスが着々と入れられています。
このような環境変化に伴い、医療業界は急激な変化に見舞われています。
近年医療業界においても、国の施策に応じた経営という視点が必要不可欠になっています。
そんな中、医師は医療のエキスパートではあっても、経営のエキスパートではない場合が多い。
そんな中登場してきたのが医療経営を支援する有資格者、それが医療経営士です。
医療経営士はどういう役目、能力を期待されているのか
医療機関をマネジメントする上で必要な医療、および経営に関する知識と経営課題を解決する能力を有し、実践的な経営能力を備えた人材。
長らく経営不在と指摘されてきた医療界においてこれからの医療現場を担う重要な人材、それが医療経営士です。
医療といえども慈善事業ではないので、利益が出ないと潰れてしまいます。
そういう点では一般の企業と変わりません。
要は医療機関をマネジメントする人材が、これからの時代には必要なのです。
そういう点ではMBAや中小企業診断士の医療版といった所でしょうか。
MBAや中小企業診断士は難関な修士や資格ではありますが、医療経営士は3級からあるので比較的目指しやすい資格といえます。
医療経営士資格取得のメリット、デメリット
医療経営士資格取得のメリット、デメリットには以下のことが挙げられます。
医療経営士資格のメリット
・医療施策や制度をより深く理解できるようになる
・医療経営という新たな視点を付加することで、医療現場の働き方改革等の問題にも違った見方、解決方法を探れるようになる
・医療経営に関する金銭の流れが把握できる
・医療経営情報に敏感になる
・医師や経営層との話題が豊富になる
・病院経営知識のレベルアップをはかれる
・病院経営幹部を目指す上でのキャリアアップにつながる
医療経営全体について体系的な知識の習得を考えているのならば、各分野に渡り知識の吸収ができるいい機会になります。
そして医療事務の知識だけでなく医療法や医師法、労働基準法、また介護保険制度など、普段身近ではないけれど関連性が高い分野の理解を深めることができます。
メリットは十分あるといっていいでしょう。
医療経営士資格のデメリット
・資格取得や資格の更新など、こまめにお金が必要となる
受験費用を始め、学習テキスト代、登録料、年会費など資格取得に加え、資格維持においても費用がかかります。
それを高いと見るか、安いと見るかはあなたしだいです。
まとめ
医療事務員が医療経営士の資格を取得することにメリットはあるのか?という問いにはメリットはあると答えることができます。
ただいくら診療報酬や医療経営に関する深い知識を有していても、それによって病院経営が改善したなどという価値を生まなければ宝の持ち腐れです。
これは一般的な医療事務の資格と同様のことが言えます。
つまり資格取得が成果ではないということです。
資格取得を最終目的にしてしまうと取得後、道を見失います。
まず持つべきことは自分の将来像、キャリア像です。
何に特化した医療事務員になるのか?
またはゼネラリストとしてやっていくつもりなのか?
そのためには今自分には何の知識、スキルが必要なのか?
その逆算をした先に医療経営士があるのならば取得を目指せばいいのです。
周りがとるからとか上司に勧められてというのもきっかけとしてはいいですが、やるからには自分の目的を明確にし、将来のビジョンを持ち合わせていなければ単なる取得だけに終わります。
そうではなく、資格取得のために学習した知識を各業務で活かしたいという志の人ならば、医療経営士資格にチャレンジしてみてはどうでしょうか。
資格取得を目指す価値は十分あります。