医療事務において残業は昔からある切実な問題です。
レセプト残業という言葉が普通にあるように、レセ期間に残業するのは当たり前という風潮がいまだに強く残っているところも多いです。
当ブログでは残業についての記事を過去にいくつも書いてきました。











結局のところ、個人ごとのマインドセットを変えていかない限り、医療事務での残業というのはなくなっていきません。
そしてそれは非常に難しい課題です。
ですが言い続けることで今すぐにはムリでも、少しずつ影響を与え変化させていくことは十分可能です。
そのためにはやはりなぜ残業をなくそうとしているのか、そしてまたなぜなくならないのか、という根本を理解してもらわなければなりません。
そしてこれには職場自体がつくり出す空気感と個人のマインドセットが大きく関わります。
今回はこの点について述べていきます。
ごまお
目次
【なぜ帰らない?】そのレセプト残業は本当に必要なの!?
結論
レセプトマインドセットを変えないといけません。
同調圧力
職場の空気感、これは非常に大きな影響を及ぼします。
特に上司の働き方は強く影響を与えます。
上司が残業を良しとしていて、みずからも残業をいとわない人である場合、その職場は全体的に残業しがちな職場となります。
逆に上司が残業はしないという想いが強ければ職場全体が残業しない方向へ進みやすいです。
そしてえてして私より上の年代の人は残業を良しとはせずとも、悪しきものという見方もしていないという人が割と多いです。
そこには自分の過去の経験を重ね合わせて見ているのでしょう。
「毎晩夜遅くまでレセを見ていたなあ」
「あの時の経験が自分を成長させた」
という想いが美化された成功体験として残り、もうその呪縛からは逃れられないのです。
そして時代は違えど、やり方は違えどレセ業務には残業があるもの、必要なものという認識を刷り込まれているのです。
このような場合その部下はたまったものではありません。
つまり上司が残っているから帰りにくいという状況が出てくるのです。
これは別に誰も気にせず帰っていけば何の問題もありません。
ですが一人でもその状況に躊躇し帰らない部下が出てくると、それを感じとった他の人もまた残るという同調圧力と化していきます。
そしてそれはもはや同調圧力に屈して残っているだけというまるで仕事とは関係のない状況も生まれ得るのです。
これの怖いところは、当人は同調圧力に屈しているとは強く認識していないところにあります。
帰りにくいなという思いは持ってはいるのでしょう。
しかし、それを上回る理由づけを自分で行います。
「自分としては予定のところまでは進んでいる。
でも先輩達はまだ残っている。
ということは自分でできていると思っているだけで、全然できていないのかもしれない。
それならもう一度見直そう」
「ベテランの人がまだ続けるということは、自分が定時に帰りそれでレセが見れていないとなれば、何のいいわけもできなくなる。
少なくともベテランの人が続けている限り自分も残ってやらなきゃダメだ」
これは完全に日本社会の組織に所属する人たちが抱く悪しきマインドです。
私たちは非常に序列を気にします。
組織とは完全なる縦の関係です。
伝統的に年功的な性格が強く、組織というコミュニティ内での経験値がモノをいうところです。
特に医療事務においては、完全なる経験値の世界です。
簡単にいえばレセプト業務を何年してきたかで序列が決まります。
レセ経験2年目より10年目の方が圧倒的に上位なわけです。
その中で10年目の人が残業をしているのに、2年目の人がおいそれと定時に帰るわけにはいかない。
と多くの人は思っているわけです。
そんな気づかいは何の意味もないことなのに。
何の意味もないことなのにそういう行動をとってしまう、それが同調圧力の恐ろしさです。
そう思うとすべての発端はそこの上司にあります。
上司が残業容認派なのと残業ゼロ派ではそこの医事課は正反対の組織になってしまうのです。
無能な上司
以前に上司が無能だから残業がなくならないという主旨の記事を書きました。
そこでは管理職の問題点としてコミュニケーションの問題とマネジメントの問題をあげました。
基本的に残業問題は個人レベルと管理職レベルの2軸で考えていかなければなりません。
その中でも管理職レベルの問題はなかなかに根深いと見てその記事を書きました。
結局のところ、無能な上司というのは存在します。
ですがそこでも書いたのですが、管理職が長けている能力はリーダーシップ力、仕事のマネジメント力、人のマネジメント力、コミュニケーション力、保険請求能力など人によってバラバラです。
そして明らかにコミュニケーション能力、部下のマネジメント能力が劣っているという人もいるわけです。
そしてそのもとで働く部下の残業時間が減らないのは当然といえば当然なのです。
部下は上司を選べませんので。
何が言いたいのかというと、残業の問題は個人で解決できる部分と解決できない部分があるということです。
そしてすべてを改善していこうというのはムリな話で自分が取り組めて成果が見込める部分にのみコミットするべきなのです。
自分ごとではない上司、周りの思考や行動を気にする必要などまったくないということです。
なぜ残業?
レセ期間中の担当者にこの質問を投げれば「はあ?」という反応をされるかもしれません。
もしくは「現場のことを何もわかっていない」と判断されるかもしれません。
そういう反応になるぐらい担当者は麻痺しています。
何にか?
レセ残業自体にです。
もうこれは昔から続く固定化されたマインドセットです。
それは昔の紙レセの時代ならまだ許されたマインドセットだったかもしれない。
でもやり方も考え方も昔から変化してきて今があるのに、なぜマインドセットだけは固定化されているのか。
全然学習してなくねって思うわけです。
そこには誰もが抱く医療事務像があるわけです。
レセプト業務はこうあるべし、みたいな思い込みがあるわけです。
それがベストな方法ならそれでいいんです。
ですが誰も違う方法を試さない。
スピードアップを目指さない。
精度とスピードは両立する、というのが私のレセプト論です。
むしろ査定率に大して影響しないのであれば、スピードはどんどん上げていくべきです。
レセプトの生産性を上げる方法はそれしかない。
時間をかければかけるほど、生産性は落ちていく。
でもそもそも担当者に生産性の概念はない。
時間をかけてしっかり見ていくのがレセプト。
おおむねその理解で統一されています。
でもそこが違うのです。
あらゆる削れる時間は削って、できる限り見る手間を省き、定時帰りの中、行うのがこれからのレセプト業務です。
そこに必要なのは深い知識でも高いスキルでもなく、レセプト業務に残業は不要というマインドセットを持てるかどうかだけなのです。
まとめ
今回の内容はまったく刺さらない人もたくさんいるはずです。
理想論を語ってんじゃねえと。
ムリなものはムリと。
ですが認識していてほしいことが一つあります。
今のままの仕事のやり方はいずれなくなります。
それは遠い未来のことでもなくなってきています。
そして大事なことは、そうなった時生産性を上げる努力をしてこなかった人は淘汰されるということです。
やはり高めておくべきは市場価値なのです。

そこを意識せずもし仕事をしているのであれば、それはとても危険です。
もし自院の医事課では自分が一番レセプトが見れると思っている人がいるのであれば、そういう人こそ外に目を向けてください。
あなたは全然大したことはない。
上には上がいる。
だったら今よりもっと生産性を上げていかないといけない。
前月の点検時間からさらに短縮できるか、そういった意識づけが大事です。
あなたのレセプトマインドセットを変えていきましょう。
ごまお