コミュニケーション能力って何だ?【医療事務の基本スキル】

どんな仕事でもコミュニケーション能力というのは必須のスキルです。

医療事務という仕事はいろんな人(患者、家族、医師・看護師その他の病院スタッフ、外部機関、業者等)たちとコミュニケーションをとらないと一切仕事は進みませんし、また医事課内においても上手くコミュニケーションがとれていないと、全体のシステムとして円滑に流れていきません。

さらに人を育成する際においてもお互いのコミュニケーションが上手くとれていないと、なかなか人は育ちません。

今回は仕事のコミュニケーションという点にフォーカスします。

ごまお

診療報酬請求、接遇、コミュニケーションは医療事務の基本スキル

コミュニケーション能力って何だ?【医療事務の基本スキル】

結論

コミュニケーション能力が高い人=メタ認知力が高い人 です。

発信スキルより受信スキル

コミュニケーションがうまい、へた、またはコミュニケーション能力が高い、低いという分け方をよくしますが、そもそもどういった状態をコミュニケーション能力があると私たちは見ているのでしょうか。

これはホントに人それぞれです。

ですが多くの人は発信スキルが高い人をコミュニケーション能力が高い人と見ています。

話し方がうまい、伝え方がうまいと思われている人は、えてしてコミュニケーション能力が高いと見られます。

そして現にそのような人たちはコミュニケーション能力が高い場合が多いです。

ですので発信スキルが高い人はコミュニケーション能力も高い、これはそういえる場合もあるということです。

ですがそうでない場合もあります。

そして実際にはそうではない場合が意外に多いのです。

なぜならそれは当たり前のことですが、コミュニケーションというのは双方向のやりとりがあってはじめて成り立つものだからです。

いくら発信スキルが高くてもそれが受け手に正しく伝わらなければ、コミュニケーションがとれている状態にはなりません。

ですが私たちはその部分を誤解してしまいがちなのです。

実は発信スキルが高くてコミュニケーション能力が高いとされている人はそれ以上に受信スキルが高いのです。

話し方や伝え方がうまい以上に相手を察する能力が高いのです。

ですがはた目には相手を察する能力は目に見えませんから、話し方がうまいというところだけが強調されて印象に残るのです。

発信スキルって何?

職業柄今まで幾度となく接遇研修なるものを受けてきました。

医療事務は患者が病院に来て最初と最後に接するとても大事なポジションです。

特に受付はその病院の顔ともいえるところであり、受付の職員のレベルがその病院の評判を大きく左右するといっても言い過ぎではありません。

ですのでそこの担当者が残念な人だった場合、病院が受けるダメージは予想以上に大きいのです。

自分では日常のルーチンだったとしても、患者としてはたった1回きりの受診かもしれないわけで、その非対称性が非常に危ういという話も以前に述べました。

【残念な現実】患者と医療事務員の非対称性問題

何が言いたいのかというと、接遇研修では相手との接し方、話し方などは教わりますがそれはあくまで一般論だということです。

それはとても大事な核の部分ではあるが、汎用性はないということです。

しかし多くの人はそれが正解だと思っている場合が多いのです。

発信スキルは1種類だけ学んでおけば良いと思っているのです。

そんなことはないわけで、実際同じことを話しているのに伝わる人もいれば、そうでない人も出てきます。

だからいくら研修等で発信スキルを学んでも、そしてそれによって発信スキルを高めても、それでコミュニケーション能力が高まるかといえばそうではないのです。

そこには受信スキルという概念が抜けているのです。

そして本来発信スキルよりも先に高めておくべきは受信スキルの方なのです。

正しく伝える?

人って本来主観でしかものごとを見ていません。

当ブログは医療事務とメタ認知を追求し、幸せって何かを考えるブログなのですが(内容は貧弱ですが)、その観点からいくと正しく伝えるってどういうこと?っていう疑問がわくのです。

よく「私はちゃんと言いました」とか「きちんと伝えました」という文言を聞くことがあるのですが、そもそもその言葉の使い方は不適切です。

何をもってちゃんと言ったといえるのか。

きちんと伝えたといえるのか。

いってみればそれはあなたの思ったことです。

ただの感想なんです。

きちんと伝わっているかどうかは、その相手に確認しないとわからないことです。

ですが多くの人はそのような断定した言い方をします。

そして自分が意図しているように行動しなかった場合、その相手のコミュニケーション能力は低いという決めつけを行います。

これは自分は正しい、間違っているのは相手という完全主観の論理なのです。

そこには発信スキルの概念しかなく、受信スキルは抜け落ちているのです。

たとえば、受付できちんと説明したのに患者にはうまく伝わっていなかったという場合。

それも10人に同じ説明をして、そのうちの9人はこちらの意図どおりに動いてくれたのに、1人だけがそう動いてくれなかったという時。

説明者は明らかにその人のコミュニケーション能力が低い、理解力が足りなかったんだという判断をします。

これはホントにそうである場合もそうでない場合もあります。

そしてそうでない場合、つまり、その患者のコミュニケーション能力が決して低いわけでも、理解力が足りないわけでもない場合であっても、説明者が自分を疑うということは決してありません。

これは完全主観であることから生じる弊害です。

また違う例でいうと、新人教育の場面でもこれはよく起こります。

つまり、覚えが悪いのは新人自身のせいだという決めつけです。

「私はちゃんと教えている」

「きちんと伝えた」

なのにできてないということはもうその子自身の問題でしょ、っていうやつです。

これも先ほどと同様です。

何をもってちゃんと教えたといえるのか?

それは教育係の感想です。

そこには一切の客観的視点がない。

コミュニケーションの目的は伝えることではありません。

自分が意図しているように行動してもらってはじめて伝わったといえるのです。

そこには相手を察する高い受信スキルが必要なのです。

ですが教育係にはその視点はない。

ベテランになればなるほどその傾向は強くなります。

正しく伝えるということ、正しく伝わるということとはどういうことなのかを今一度よく考えてみる必要があります。

コミュニケーションスタイル

そもそもコミュニケーション能力うんぬんを語る前にコミュニケーションスタイルの違いを理解しておくことが先決です。

ここについては以前に記事にしています。

【対人スキル向上】ソーシャルスタイル理論とは?【医療事務のコミュニケーション】

大事なことはコミュニケーションのスタイルが違えばかみ合わないのも当然ということを知っておくということです。

そして世の中には話が通じない人が一定数の割合で存在するという事実を認識することです。

「自分はきちんと伝えているのになぜわからないのか」ではなくて「あなたは私のいうことがわかりにくいんですよね。理解しにくいんですよね」

という意識が働けば、どう工夫すればもっと伝わるのかということをもっと考えることができるようになります。

まとめ

コミュニケーション能力って伝える能力、聞き取る能力の両方とも、とても大事な能力であることには間違いないのですが、その根底には高いメタ認知力が必要です。

要は自分を俯瞰した上で相手の立場にたってものが言えるか?ということです。

たまに「私間違ってないですよね」「私の言っていることおかしくないですよね」と同意を求めてくる人がいるのですが、そもそもそう聞いてくること自体が間違いです。

自分の言っていることは間違っていない、それなのに自分が思ったように動いてくれないのはもうその相手自身の問題なのだという考えがダメなのです。

それだとメタ認知力が効いていない。

「私間違ってないですよね」と第三者に同意を求めることには何の意味もありません。

それは自分を正当化したいだけの保身行為です。

間違っているか間違っていないかなんて誰にもわかりません。

それはあなたと相手との問題です。

一般論で「常識的にみてあなたの言っていることが正しい」なんて返事をもらったところで何の解決にも近づかないのですから。

それは聞く相手が間違っています。

なぜ自分の言ったことが意図したように伝わっていないのか、そのように行動してくれないのかは、その相手本人と向かい合うことでしか解決しません。

そしてそのためには相手目線が絶対必要です。

主観は完全に排除しないといけないのです。

相手のコミュニケーション能力のせいにする人は間違いなく自分のコミュニケーション能力に問題があります。

そのことすらもわかっていないので相手のせいに平気でできてしまう、ともいえます。

他責思考は楽ですがそれだと自分の成長は一切ないです。

自責思考 VS 他責思考、 仕事での正解はどっちだ?

そしてそんなマインドセットでコミュニケーション能力を上げられるはずがないのです。

コミュニケーションスキルは医療事務の基本スキルであり必須スキルですが、それは研修うんぬんで上げられるものではありません。

もっと土台のマインドセットを変えていかない限りあなたのコミュニケーション能力は上がってはいかないのです。

ごまお

俯瞰できないと仕事ができる人にはならへんで

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