【レセプトスキル向上へ】あなたは診療報酬改定を活用できているか?

いよいよ次期診療報酬改定の告示日が迫ってきました。

今月上旬に答申があってから、いろんなメディア、媒体にて診療報酬改定についての情報が発信されています。

私も中医協ウォッチャーの一人として第1ラウンドから内容を追ってきて今に至っています。

当ブログで昨年の春からアップしてきた診療報酬改定関連の記事は70を超えています。

記事の一つひとつはボリュームが多いものも少ないものもあります。

ですがそれらすべてはどこかで上がっている情報をコピペして終わりといった作り方はしていません。

自分なりに理解して必要だなと思ったものを随時上げています。

そしてこれはその情報を多くの人に知ってもらいたいという面はもちろんあるのですが、自分自身の学習という側面も強いです。

今回はそういった内容のことを述べていきます。

【レセプトスキル向上へ】あなたは診療報酬改定を活用できているか?

結論

診療報酬改定は自分自身をステップアップさせる絶好のチャンスです。

必死になるべきなのは誰?

「診療報酬改定の時期に必死になるのは誰ですか?」という問いには「関係者全員です」というのが理想的模範解答です。

ですが実際そんなことはないのです。

現実はホントに関係している一部の人たちに限られています。

悲しいかなそれが実情です。

それは経営トップでもなければ現場の担当者でもありません。

経営にたずさわる中間管理職の人たちがどうしても多くなります。

それはそれで自然なことです。

その中間層の人たちが2年に1度大変になるのは彼ら彼女らもわかっています。

想定の範囲内です。

ある意味それが医療事務の中間管理職の醍醐味といったら語弊があるかもしれませんが、逃れられない宿命です。

やるしかない。やってやるぜという気概がないとそもそもお話しにならない。

ですが今回話したい部分はそこではないのです。

そのゾーンの人が診療報酬改定に強く関心があり、必死になるのは当然です。

それが仕事なのですから。

だから「診療報酬改定ってめんどくせえな」と思っているそこのあなたでもその立場になればやらざるをえないのです。

関心がある、ないの次元ではないのです。

そしてここからやっと本題なのですが、私の経験則からいくと本来必死になるべきなのは中間管理職ではなくて現場の担当者なのです。

一番診療報酬改定に興味を示さなければいけないのは一人ひとりの医療事務員たちなのです。

必死になる担当者なんていない

いくら私が熱弁したところでこれを聞いて現場の担当者は「ああそうだよね」とは思いません。

担当者のホンネは

「算定可否なんて知ったこっちゃない。

病院として何を算定し、何を算定しないかを決めてくれればいい。

私たちはそれに従って請求するだけなんだから。」

ということです。

だから病院の方針も定かでないのに、改定内容だけを読み込むなんて意味ないし、効率悪すぎ、と思っているのです。

そしてそもそもそんなことは自分たちの役目と思っていない。

だから何の興味もないし、みずから情報を取りに行こうだなんて1ミリも思わない。

これはレアケースだと思いますか?

まったく逆で大部分がそうなのです。

ここで「そんなんだから医療事務のレベルが疑われるんだよ」とか「もっとしっかりしろ」と思うのもまた違うのです。

だいたいはそうなってしまうのです。

なぜなら上が必死にやっているからです。

上司はまったくやる気がないし、何もしない。

そして自分も何もしていない。

そんな医事課はありません。

上司が無能なら部下がやるし、上司がやる人なら部下はそこまで必死になってやる必要がない。

だからいたって自然な流れではあるのです。

そして世間の医事課の上司は総じて診療報酬改定にマジメに取り組みますので、その部下が全然取り組まない、関心がないというのは十分ありえることなのです。

現に私も昔はそうでした。

診療報酬改定の情報は3月になってから知るものだと思っていました。

答申?告示?官報?みたいな改定に一切の興味なしという医療事務員でした。

3月末になって「ああ点数変わるんだよね。うちの病院で関係するところってどこかな。」みたいな医療事務員としてはかなりヤバいレベルでした。

ですがだからといって4月に入って何か困るかといえば、そんなことはほとんどないのです。

算定可否、運用方針、マスター設定などすべてができていれば一人の医療事務員として困ることなんかまずありませんでした。

だったら

「1月、2月にヒートアップする必要なくね?」

「担当者レベルで何ができるの?」

っていう思いにもなるわけです。

「診療報酬改定って誰かが対応してくれるもので自分は直接関係しない」

そんなことを感じていたなあと遠い昔を振り返って思うのです。

診療報酬改定って何?

「診療報酬が変わることです」

この答えだと正解とはいえません。

確かに点数が変わる、算定基準が変わる、それはそのとおりです。

ですがそれはあくまで結果に過ぎません。

極論をいえば他の職種ならそれでもいいです。

今回どこが変更になったのか。

そこを押さえているだけでも十分役に立ちます。

ですが私たちは医療事務員です。

レセプトで飯を食っているのです。

そうなると点数の変更、内容の変更を追うだけでは不十分です。

もっといえば点数の上下に一喜一憂しているようではアマチュアだということです。

もちろん点数の上下は病院収益に直結する話なので大事なポイントではあります。

でも医療事務員が注視すべきところはそこじゃない。

医療事務員はもっと大局を見ないといけません。

つまり、なぜこの点数は上がっているのか、下がっているのか、新設されたのか、削除されたのか、という意味を理解しておく必要があるのです。

診療報酬には国の政策誘導という側面と医療機関の経営安定という側面があります。

ですので新設、変更、削除それらすべてには明確な意味があります。

そこを読みとっていく必要があります。

なぜならそれがわからずに請求していると、診療報酬請求はすべて点数の集まりに過ぎません。

レセプト1枚から読み取れるのは、各診療行為の内容と点数だけです。

ですがその診療報酬の成り立ちやそれにまつわる議論を知っていれば、レセプト1枚からさまざまな情報が引き出せます。

そしてそのことによってレセプト点検のスピードが確実に早まります。

「この診療報酬はそもそもの主旨から考えると、この疾患で算定するのはおかしいんじゃないか」とか「そもそも想定している診療行為とずれてるんじゃないか」ということもわかるようになります。

それはその診療報酬の生い立ちを知っているからこそわかることです。

名称と点数を知っているだけでは絶対わからないことです。

そういう意味では告示内容の結果はもちろん重要なのですが、そのプロセスも同じぐらい注視しておくべきことなのです。

診療報酬の理解

診療報酬についてはみんなが思うことがあります。

内容ありすぎだろと。

その内容は改定ごとに増えていて2018年の診療点数早見表だと総ページ数が1700ページもあります。

これ十分凶器になりえる分厚さの本に仕上がっております。

もはや辞書です。

覚えるレベルのものではない。

そして覚える必要もない。

これは前にも書いたことなのですが、診療点数早見表というのはその中身というより引き方を習得すべきものです。

ここがポイント!診療報酬点数表の使い方

中身なんて覚えたってしかたがないです。

だって改定ごとに変更されるのですから。

それよりかは、どこに何が書いてあるのか、知りたい内容の根拠がどこに示されているのかという構造を知っておくことの方が大切です。

「ああそれは注に書いてある」とか「事務連絡で読んだ」「施設基準で読んだ」という経験値、引き出しが多ければ多いほど知識が関連づけられていくので、覚えておくのも容易になります。

そしてその下地があると中医協での議論の内容がよりわかります。

何を前提としているのか、過去のどういう経緯を踏まえてこの議題となっているのかがわかってきます。

そしてそうなると診療報酬って社会情勢や政治と密接に関わっているなってこともわかりますし、国の方針、自院の進むべき方向性というのも見えてきます。

私は診療報酬改定ってその外枠の理解こそを最優先すべきだと思っています。

枝葉の内容や点数を覚えていく必要は一切ありません。

というかホントに必要なら勝手に覚えていきます。

しかしそのためには、全体を理解しておく必要があります。

それは今回の改定という意味での全体でもありますし、過去、現在、未来という意味での全体でもあります。

新設100点を新しくできたんだ、とそのまま受け取るのと、どのような背景があり、何の目的で、どういう議論を経て新設されるに至ったのかを理解しているのとでは天地の差があるのです。

待つんじゃなく攻めろ!

今回診療報酬改定について書くきっかけになったのは、改定への認識がどこもかしこもバイアスかかりまくりじゃねって思ったからです。

つまり、それに対する行動はそれなりに経験を積んだ者、特に管理職が行うものであるという認識です。

たしかにそれなりの知識と経験値がないと「改定対応」はできません。

ですが「改定学習」は誰でもできるはずです。

改定情報は中堅以上が知っていればいいなんて誰が決めたのでしょう。

1年目の新人が改定情報を勉強していることは無意味ですか。

それはむしろ逆でしょう。

意味大ありです。

そもそも診療報酬の勉強って普段している人っているのでしょうか。

毎日診療点数早見表を5ページ読んでいます、という奇特な人は少ないでしょう。

趣味でレセプト模写してますなんて人はまずいないわけです。

だとするならば、普段行っている診療報酬の勉強って実務そのものです。

そしてその実務は自院にある診療科しか学べないし、行われていない診療行為は学べないのです。

ですので厳密には診療報酬の一部分の勉強なのです。

すべてを体系的に学ぶ機会なんてまあ来ません。

そしてほとんどの医療事務員は実務以外で診療点数早見表を見ることなんてないはずです。

要は勉強する機会はないのです。

だから余計に改定はチャンスの時なのです。

改定情報を追っていくことで診療報酬の知識が増えます。

浅い知識から深い知識に変わります。

これは絶好のチャンスなのです。

特に新人で改定の勉強をする人なんてまあいません。

まず「なんのこっちゃようわからん」というのが先にあるとは思いますが、それでも勉強すべきです。

そのメリットは絶大です。

まず引き出しが増えるということ。

今すぐ使えない知識であってもそれはどこかでつながる時がやって来ます。

そのための下準備の意味はとても大きい。

次に、知らないことだらけだからこそ調べるということ。

ただ診療報酬点数早見表を読んでいても多分身につかないです。

それは単なる座学だからです。

永遠にインプットし続けても自分の力には全然ならない。

そこにはアウトプットがないからです。

受動的な勉強はやった気分なだけであって、その中身は伴わないことが多いです。

勉強は能動的でなければならない。

だとするならば、答申内容を読み、わからないところを調べ、そしてそれを誰かに説明する、教える。

この一連の流れでめちゃめちゃ身につきます。

理解が進みます。

最後の説明する、教えるという部分は別に人じゃなくてもいい。

SNSで発信する、でもいいのです。

だから冒頭の話に戻るのですが、私が当ブログで日々アップしている診療報酬改定の記事は半分は自分の勉強のために行っているということです。

答申内容を読み、調べ、中医協の議論を読み返し、そして記事にする。

これめちゃめちゃ勉強になります。

かなり忘れにくく、思いだしやすい。

そしてもちろん実務に直結する。

大事なのは受け身じゃなく攻めること。

改定情報を待つんじゃなくて自分から取りに行くこと。

みずから行動を起こすことがすべてをプラスにしていきます。

まとめ

あなたは診療報酬改定を有効に活用できていますか。

特にまだ経験が浅いという人。

そんな人こそ改定の勉強を始めてください。

確実に周りより一歩先を行くことになります。

繰り返しになりますが、まずそんな人はいませんから。

そんなこと言ったってどこから情報を得ればいいのかわからない、という人。

もうGemMed一択です。

厚労省の資料を読み、GemMedにて詳細を確認する、これだけで十分な情報が手に入ります。

あとは補足的に自分で検索しながら情報を集めていく。

それで十分です。

あと動画で何かという人には、長英一郎氏の youtubeがおすすめです。

通例だと改定セミナー乱立となるこの時期ですが、今年はコロナウイルス対策で中止となるところも数多く出てくるはずです。

そういった場合には別にわざわざ出向かなくても有益な情報は探せばいくらでも見つかります。

高いお金を払ってセミナーに行き、それだけでありがたがっている人も中にはいますが、そんなことをしなくても無料で十分な情報が手に入れられる時代です。

要は自分の料理の腕しだいです。

セミナーもネットもそれらはあくまで材料です。

どう切り取るかは自分しだい。

どう活かすかは自分しだい。

ぜひみずからのステップアップに使えるように診療報酬改定をフル活用しましょう。

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