私はコミュ障です。
以前にそのことに関連した記事を書きました。
またコミュニケーションについてもいくつか記事を書いてきました。


医療事務は事務とはいいながら完全なるデスクワークで完結する仕事などまずありません。
それこそいろんなコミュニケーションを必要とされ、仕事ができる人になろうとすればそれなりのコミュニケーション能力が求められます。
患者、その家族、同僚、他部署、保険者、役所などさまざまな人たちとコミュニケーションをとっていかないとまったく仕事になりません。
事務だからあまり人と話さなくていいんだ、と思っていた新人の私はそうではないという現実を知ったとき驚きとショックを受けたものでした。
それから長い年月が経ちなんとか人並みなコミュニケーション能力は持てるようにはなりましたが、それでもコミュニケーションって難しいなって思うことばかりです。
今回は「言ってないことは伝わりません」という至極当たり前の話が当たり前になっていないよねってことを述べていきます。
目次
もうコミュニケーションで悩まない!言ってないことは伝わらない
結論
基本的にコミュニケーションはズレます。
伝えると伝わる
「伝えることと伝わることは違います」と言えばそんなのわかってる、と言われるかもしれません。
しかし多くの人はわかっていません。
多くの人の認識は「伝えたこと=伝わったこと」です。
これは明らかに自己完結しています。
自分はわかっている、だから相手もわかっていて当然という恐ろしく傲慢な考えで成り立っています。
だから「なぜわからないの?」という疑問を抱くのです。
これは特に教育係と新人との関係でよく見受けられます。
確かに教育係は伝えてはいるのです。
ですが伝わってはいない。
そして思うのです。
「なぜこれだけ説明しているのにわからないの?」と。
そこには自分の伝え方が悪いんだという認識はこれっぽちもありません。
すべて受け手の問題と決めつけています。
これの真に怖いところは、教育係は本当に自分には非がないと思っていることです。
教育係は新人がなぜわからないのかが、わからないのです。
なぜ伝わっていないのかがわからないのです。
この場合の非は100%教育係にあります。
自分がきちんと伝えきれていないことを認識する能力が必要なのです。
でもほとんどの人はそんなところは気にしない。
というか気づけない。
なぜなら気づくためにはメタ認知力が必要だからです。
自分を俯瞰で見ない限り自分に非があるなんて絶対わかりません。
ですので伝わっていないのは受け手の理解力に問題があると思ってしまうのです。
特にその相手が新人ならなおのこと知識不足、勉強不足による理解力不足と結論づけています。
確かにそのような場合もあるでしょうが、半分以上は伝え方の問題です。
そもそも伝わっていないのです。
なぜこうなるのかといえば、理由は明快です。
・メタ認知力不足
・自分と違う視点や価値観があることが前提になっていない
簡単にいえば自己中なのです。
自分視点でしかものごとをとらえられない。
相手の立場に立って考えることができない。
私たちは子どもの頃、相手の身になって考えましょう、相手がどう受け取るか考えてみましょう、などということを先生から言われましたが、大人になってそれが実践できている人って正直そんなにいないなというのが実感です。
そういう私もできていない人かもしれませんが。
ともかく、自分視点の人が多すぎます。
以前の記事で紹介しましたが、相手に憑依して話すということができている人はホントに少ないです。
(引用「1分で話せ」伊藤羊一著)
そしてそれはベテランになればなるほど少ないです。
年齢が上がれば上がるほど柔軟な考え方、多面的な見方をすることは難しくなります。
これはもう人間の特性です。
積んできた経験値によってその人の今が築かれているので、当然自分の思考、信念は歳を増すごとに確固たるものになっていきます。
そしてものごとの見方はすべてバイアスがかかった状態になる。
そんな状態の人に相手のことをおもんばかれと言ってもムリなのです。
伝わっていないのはあなたのせいなんだと言っても響かないのです。
しかしだからといってベテランの教育係のことは諦めてくださいというつもりはありません。
教育係を教育するのは私たち管理職の役割です。
また今メタ認知力がないとしてもそれは後天的に身につけることは可能です。
ですので伝える能力が低い人でも徐々に伝えるのが上手くなることは十分に可能です。
ただ、伝えたつもり、教えたつもりで全然伝えきれていない人はかなり多いというのが現実なのです。
言われなくてもできる
特に細かい所まで指示しなくても、こちらの意図を汲んできっちり仕事を仕上げてくる人というのがいます。
いわゆる「言われなくてもできる人」です。
だいたいこのような人は仕事ができる優秀な人という見方をされます。
ですがこの「言われなくてもできる人」がなまじ部署内にいると部署にいい影響を与えません。
というか上司にいい影響を与えません。
なぜならきちんと言わなくてもやってもらえるからです。
つまり、きちんとした指示じゃなくても伝わっていると勘違いしてしまうのです。
そしてそのできる人を基準として見てしまうので、「言われなかったらできない人」をホントにできない人と見なしてしまうのです。
これはとんでもないことで、言われなかったらできないなんて普通です。
それはきちんと言ってない方が悪いのです。
ですが上司はそうは思わないのです。
先ほどの教育係と同様自分を俯瞰で見れないのです。
きちんと伝えていない自分に非があるとはまったく思わないのです。
だからきちんと指示していないくせに、「上手い具合に仕上げてこい」という無茶ぶり上司も出てくるのです。
こうなると「言われなくてもできる人」の存在には利はなく害だけなのです。
だから私たちは肝に銘じなければいけないのです。
「言われなくてもできる人」は特殊なんだと、例外なんだと。
普通の人は言われなかったら間違いなくできないんだということを。
言われてもできない
言われなかったらできない、それはわかります。
ですが実際は言われてもできない人ってたくさんいます。
そしてこの場合、その受け手側の理解力が足らないのかといえばそうではない場合も結構あります。
それは理解力ではなくて、価値観や考え方の違いです。
おのおののバックボーンが違い過ぎて、その前提とするところがバラバラなのです。
こちらが当然と思っている前提が相手のアタマには一切ないっていうことも普通にあります。
これは事前に持っているお互いの知識量や情報量が違うということもありますし、思考方法が違うということもあります。
ですがそれは目に見えないのでお互いがわかった風なんです。
「はい、わかりました」と言いつつも全然かみ合っていない会話なんて山ほどあります。
それは相手の話を理解していないから起こるんじゃないのです。
理解しているつもりになっているから起こることなのです。
ここでの教訓は、ほとんどの日常会話はきっちりとはかみ合っていなんだということを前提として持っておくということです。
そうすれば丁寧な説明にもなりますし、細かい説明にもなります。
それぐらいでちょうど良いのです。
私たちはあまりにも会話をはしょり過ぎているのです。
相手が「はい」「わかりました」と言っていたらわかってくれていると思い込み過ぎているのです。
100%自分の考えや思いを伝えようとすれば、そんな1回こっきりの会話で伝わるはずがないのです。
というかそもそも100%伝わるなんてことはまずないと思っておくべきです。
そう思っておかないと間違いなくコミュニケーションは雑になるのです。
まとめ
基本的にコミュニケーションはズレます。
その前提が大切です。
そう思うからこそきちんと伝えようとします。
何回も伝えようとします。
コミュニケーションは濃くなるのです。
患者さんとでも職員間でもあとになって「そのようには言った覚えはない」とか「そうは思ってはいなかった」という声を聞くことがよくあります。
でもこれはそう言った覚えはなくても相手にはそう伝わっていたということです。
まずここを認識しなければいけない。
間違いなくコミュニケーションはズレるもの、という認識をつねに持っておくべきです。
そして言ったことでもズレるんだから、言ってないことなんか何にも伝わらないと思っておくべきです。
以心伝心とか「こちらの意図を汲め」とか「文脈を読め」ということは一切期待しないことです。
言ってないことは絶対伝わりません。
伝わっていないことは絶対行動してもらえません。
相手の理解力を責める前に自分の伝達力のなさを責めるべきなのです。
あなたの伝達力は高いですか?
コミュニケーションはズレたことはないですか?
もしどちらもYESなのであればコミュ障管理者にその秘訣をぜひご教授願いたいものです。
ごまお