先日こんなツイートをしました。
管理職だから部下よりも優れたスキル、能力を有していなければならないなんて思わなくていい。そして周りもそういう見方はすべきでない。管理職は実務担当者の延長線上にあるポストじゃない。両者は対等の関係。管理職で偉そうな人は外見だけ気にするただのマウンティング上司です✨
— トシ@医事課の思考 (@ijika_no) May 28, 2020
新年度が始まってしばらく経ちました。
読者の方の中には所属する部署にて新しい管理職が生まれたところもあるでしょうし、またはまさにあなた自身が新任管理職になった場合もあるでしょう。
今回は管理職っていうものをいろいろ深掘っていきます。
目次
部下よりも豊富な知識、優れたスキルを持っているのが管理職ではない
結論
部下よりも高い俯瞰力を持っているのが管理職です。
ピーターの法則
これについては以前に記事にしました。

またスペシャリスト、ゼネラリストについても先日記事にしました。

これらを総合すると次のようになります。
Aパターン
実務で結果を出す
↓
上司に評価され昇進する
↓
管理職として結果を出す
↓
上司に評価され昇進する
Bパターン
実務で結果を出す
↓
上司に評価され昇進する
↓
管理職としての能力、スキルが足りない
↓
その位置で終了
もうこのどちらかしかありません。
そして病院事務職でいうと、スペシャリストとして育ってきた人よりもゼネラリストとして数多くの経験をしてきた人の方がより昇進していく傾向があります。
結局上層へ行けば行くほど病院経営、病院運営に長けた人材が必要なのでどうしてもゼネラリストにならざるをえないのです。
であるならば、早い時期からさまざまな職種を経験していることは有利に働くことはあっても不利には働きません。
一担当者としてスペシャリストとして、結果を出し評価されてきた人であっても、上を目指すのであればどこかでゼネラリストに転向する必要はあるのです。
そしてもう一点ポイントがあります。
それは管理職とは管理職の能力を評価されて登用されているわけではないということです。
これはどうしてもこうなるのですが、管理職は管理職になった時点からそのスキルを学んでいきます。
ですので管理職になる一歩手前はバリバリの実務担当者なのです。
その時点でリーダーシップやマネジメントやコーチングなどを教わる機会などほぼないわけです。
というか多くの人はそんなことは知らないまま管理職となります。
まして病院事務職となればその分野に明るい人などそうそういません。
今でこそMBAホルダーや医療経営士といった人たちが増えてきましたが、それでもまだまだ数は少なくそんなものには興味のない人やそもそも「それ何?」っていう人も多いです。
ですので言ってしまえば、リーダーシップを発揮したことがない人がリーダーとなり、部下育成ができない人がリーダーになるのです。
そうです、誰もが新任管理職の時点では管理職のスキルはないのです。
ですので管理職になった直後にパフォーマンスを発揮することはどだいムリなのです。
そしてその後、研修やら自己研鑽でそのようなスキルの学習機会があればまだ伸びてはいきますが、その機会すらない人はもう管理職としてのパフォーマンスを出すことはないのです。
そしてその位置が自分の最終キャリアとなる。
これがピーターの法則です。
これはホントにそのとおりです。
極論すれば医事課長歴10年の課長は無能ってことです。
もし有能であればその位置からは抜けているという話です。
まあ10年も同じ役職であれば本人も自分の能力の限界値はもう感じているのでしょう。
だから今さら学ぶことはしない。
そしてただただパフォーマンスは下がっていくばかり。
世間ではそんな医事課長も多いのかもしれません。
これは自戒を込めて述べています。
管理職かくあるべし
もう先が見えた管理職に対して新任管理職のやる気は十分です。
この4月に新しく管理職となった人であれば現在もそのモチベは十分高いはずです。
しかし老婆心ながらひとつ注意点を述べておきます。
それはあまり気負わないことです。
そして、管理職は部下よりも優秀でなくてはいけない、と思わないことです。
つまり、管理職は部下よりも豊富な知識、優れたスキルを持っていなければいけない、という思い込みをしないことです。
管理職かくあるべしなんてものはないのです。
これはなぜこう強く述べているのかといえば私自身がそうだったからです。
管理職かくあるべしと思っていたからです。
そして空回りしていたからです。
このことはあとから見返すとわかります。
でもその時点において自分ではまったく気づきません。
先ほども述べたとおり、新任管理職は管理職の能力を評価されて昇進しているわけではありません。
ですので管理職というポジションに対する自信がまだないのです。
だからその自信のなさを打ち消すために管理職かくあるべしという姿を描いてしまうのです。
そして自分は仕事ができるんだということを思いたいのです。
だから部下よりも豊富な知識、優れたスキルを持っていなければいけない、という自己縛りをしてしまうのです。
ですがそんなことはない。
単に立場が上下の関係なだけであって、それ以外は対等です。
むしろ実務に関しては部下の方が上なんてことは普通にあることです。
そんなところにプライドなんか一切いらない。
逆にわからないことは教えてもらうぐらいの気持ちがないとダメです。
というか実務については部下の方が上じゃないと意味がない。
管理職は現場担当者の延長線上にあるポストではないのです。
それとはまったく違う役割を担っています。
だからすべての面において部下よりも優れていなければならないなんてことは思わなくていいのです。
管理職かくあるべしという幻想は捨てましょう。
俯瞰力
管理職かくあるべしというものはないですが、管理職ならこの能力は持っていないといけないというものはあります。
それは俯瞰力です。
当ブログではつねに出てくるメタ認知力ってやつです。
実務担当者と管理職との能力で顕著に差があるのがこの部分です。
これは実務担当者が劣っているとかという話ではなくて、ポジションの違いによって視点が変わってくるということです。
つまり管理職の方がより高い視点から見下ろすのでその分メタ認知は効くということです。
ですので見る視点は高いくせにメタ認知の程度が実務担当者と一緒ではマズイのです。
ここの能力だけは確実に引き上げておく必要があります。
まとめ
中間管理職という言葉のとおり、その位置はまさしく板ばさみです。
誰も好きこのんでそのポジションを取りに行っているわけではありません。
しかしステップアップしたいなら、経験を積んで成長していきたいなら管理職は避けてはとおれないポジションです。
日本のシステムだとそのポジションはときには雑用係かと思えることすらあります。
上からの指示には従い、下からの意見は吸い上げる。
そしてその調整にリソースを使う。
ときにはその存在価値を疑い、ときにはその意味を問い直す。
とても大変なポジションだといえばそうですが、とてもやりがいのあるポジションだともいえます。
その意味づけをするのは自分自身。
管理職の役割を理解した上でぜひ目指してほしいと思います。
そのためにスペシャリストからゼネラリストへと軸をずらしていくことも大事なことです。
ごまお