医療機関では施設基準上実施してないといけない研修があります。
それに対して職員の教育のために行われる研修というのもあります。
今回は後者について思うところを述べていきます。
目次
【研修のホンネ】1回こっきりの研修で何が身につくのか?それは役に立っているのか?
結論
1回こっきり型ではなくて継続ステップアップ型にするべきです。
院内研修
まず研修といっても院内の研修と院外の研修とがあります。
今回は院内の研修についてのみで述べていきます。
その前にまず研修って何のために存在しているのか、ということを明確にしておく必要があります。
知識を得るため、知見を広めるためだけでは不正解です。
それプラス研修により受講者の行動が変わり、成果が上がってこそ研修の効果があったといえます。
つまりインプットのみで終わっている研修ではその存在価値は低いのです。
アウトプットまでできてこそ、十分に意味のある研修といえます。
これを前提に考えると院内の研修と院外の研修ではこの時点ですでにアウトプットの期待値にひらきがあるのです。
要はわざわざ足を運んで聞く研修なのか、それとも勝手に講師が来て行ってくれる研修なのかというその差です。
わざわざ足を運んだのに得るものゼロでは何をしに行っているのかわかりません。
ですので外部にわざわざ行く研修というのはある程度のアウトプット期待値が担保されています。
対して院内で行われる研修ではそんなものはありません。
何もせずともどこにも行かずとも予定された開催日に実施されて終了する研修。
参加必須であれば「めんどくさいけど、まあ1時間だけ我慢するか」ってなもんです。
もうそこにはアウトプット期待値なんてものはほぼありません。
ただ聞いているだけ。
もしくはただ座っているだけ。
それを研修と呼んで良いのかどうかも怪しいのです。
瞬間的研修
当院でも年に数回外部講師を招いての職員研修が実施されます。
テーマは接遇や労務、危機管理などさまざまです。
ですがどれもその1回限りの研修です。
そしてその講義内容は講師の方ごとでいろいろですが、場合によってはホントに話を聞いているだけということもあります。
100%インプットってことです。
これは勉強でも読書でもやったことがある人はわかると思いますが、100%インプットで身につくことなど絶対ないです。
そこには必ずアウトプットがないといけません。
勉強なら過去問をする、模擬試験を受けるなどがアウトプットですし、読書ならその内容を人に話す、記事にするなどがそれに当たります。
そうすることで記憶に定着し行動につなげることが可能になります。
ですので必要なのはアウトプットなのです。
アウトプットのない研修ならやる意味がないのです。
しかし実際はそんな研修は多いです。
そしてそもそもインプットすらままならない、そこまでたどり着いてもいない研修も多いのです。
もはや「わかった風な研修」です。
その場ではわかった感じがするだけで実際は何もわかっていない研修です。
エビングハウスの忘却曲線そのままに研修翌日にはもう7割は忘れているような研修です。
そんな状態では行動が変わり成果が上がるわけがないのです。
ホントにその場だけで完結しているのです。
そのような瞬間的研修って結構あるのです。
そしてみんなそれが普通って思っています。
満足度アンケート
この瞬間的研修では毎回同じ状況が出てきます。
それは研修終了時の満足度アンケートです。
研修の満足度を「とてもよい-よい-どちらでもない-よくない-まったくよくない」の5段階で評価するというよくあるやつです。
このアンケートでは間違いなく「とてもよい」か「よい」にしかマルがつきません。
これは当然のことで、研修直後はわかった風だからです。
そして講師の話が面白くてモチベがちょっと上がったわという人であれば、99%の確立で「とてもよい」にマルをつけます。
このアンケートは一体どういうつもりでとっているんだろうっていつも思います。
もう予定調和なのです。
だったらアンケートじゃねえじゃんって思うのです。
このアンケートはホントに意味がないのです。
まとめ
満足度アンケートでは「とてもよい」が多数で講師の方は満足して帰っていくのでしょう。
ですが、研修を受けた私たちはその研修の場で満足しただけで終わっていてはダメなのです。
せっかく大事な時間を割いて受ける研修です。
忘れてしまっていてはもったいないのです。
1つでも何かを得て今後の自分の行動に活かさないとその研修の時間はまったくのムダとなってしまいます。
とはいっても、1回こっきりの研修から何かを得てアウトプットにつなげろと言われてもそれはなかなか難しいのです。
なぜなら研修内容の記憶は研修の時間が終われば消えてなくなるからです。
だからホントは研修直後のアンケートではダメなのです。
ある一定期間を置いてから「あの研修から何を学び、今どう活かしているのか?どうアウトプットしているのか?」という問いを投げかけた方がよっぽど有益なのです。
たとえ瞬間的研修でわかった風だったとしても、あとから想起することで記憶の定着もはかれ、アウトプットにもつながりやすいです。
ただそれでも1回こっきりではやはり厳しいです。
冒頭で述べたとおり受講者の行動が変わり、成果が上がってこそ役に立った研修といえます。
ならばインプットは何度も繰り返す必要があるのです。
本を1回読んだだけでその内容を理解し、行動につなげていくことなんてほぼ不可能です。
何度も何度も読み返し覚え、そして理解する。
そしてそれを自分の行動につなげていく。
研修もまったく同じことで何度も何度も同じ毛色の研修を受けることによって人は理解し習得します。
そこまで行ってはじめて成果につながる行動がとれるのです。
よって研修はすべて継続ステップアップ型の研修にすべきです。
1回こっきりの研修ではただの主催者の自己満、講師の自己満に過ぎないのです。
あなたのところの研修は1回こっきりの研修ですか?
それとも継続ステップアップ型の研修ですか?