人を育てるのってホントに大変です。
今年の私の目標の中で大きなものの1つが人材育成なのですが、これは本当にうまくいかないものです。
そして人を育てるといったとき、必ず出てくる論点がほめて育てるか、叱って育てるかということです。
今回はこの点を深掘っていきます。
目次
あなたはほめる派?叱る派?【ピグマリオン効果とゴーレム効果】
結論
大事なのは普段の対応です。
ピグマリオン効果とゴーレム効果
最初に言葉の意味を説明しておきます。
ピグマリオン効果
心から期待をかけると相手がその期待に応えてくれる、という心理効果
ゴーレム効果
相手に見込みがないと思っていると実際その通りになっていく、という心理効果
心理学におけるピグマリオン効果の実証実験に次のようなものがあります。
実験ではある小学校の生徒たちに知能テストを受けさせました。
後日、担任の教師にだけ「伸びしろがある」とされる生徒たちの名前が伝えられます。
そして「伸びしろがある」とされた生徒たちは実際に成績を伸ばしていきました。
しかし実は「伸びしろがある」という情報はまったくのデタラメでした。
それはテスト結果に関係なく実験者側がランダムに選んだだけでした。
ではなぜ「伸びしろがある」と担任教師が聞かされた生徒たちの成績は向上したのか?
考えられるのは「この子たちには伸びしろがあるんだ」と担任教師が信じ込んだことにより該当生徒に対しての接し方が変わったということです。
教師の期待が生徒たちに良い影響を与えたということです。
つまり教師が期待をかけた生徒の方が学力的な成長が大きいということの証明です。
このことからわかるとおり、指導者の振るまいは教えられる側に対しとても大きな影響力を持っているのです。
そしてこのピグマリオン効果と真逆なのがゴーレム効果です。
それは他人に対して悪い印象をもって接することによって、その人が実際に悪い成果の方へ向かってしまうということです。
つまり上司がポジティブな評価をして接している部下は成長し、反対にネガティブな評価をして接している部下は成長しないということです。
これはわかる気がします。
上司が部下に対して「この人は伸びないだろう」と思っていると、期待されていないことを部下は察知します。
これは言葉では説明しにくいのですが、なんとなくわかってしまうものなのです。
みなさんにもそういう経験はないでしょうか?
私はあります。
あまりにも上司の自分に対する言動が否定的なものばかりになると、「自分は期待されていないんだな」と感じゴーレム効果が発動しモチベーションもパフォーマンスも落ちました。
これはやはりそう伝わるのです。
だからたとえ上司は部下の働きぶりに不満があっても「やる気あるの?」みたいなもの言いは絶対避けるべきなのです。
その言葉は確実にゴーレム効果を発動させ部下のパフォーマンスを下げてしまうのです。
ですので少しでもピグマリオン効果を発動させるために上司は前向きな言葉を粘り強くかけ続ける必要があるのです。
ほめておけばいい?
だったら叱らずにほめればいいんですね、と思う人もいるでしょうがそうではないのです。
確かにほめることでピグマリオン効果が発揮される場面もあるでしょう。
ですが叱ることでもピグマリオン効果が発揮される場面もあるはずです。
つまり重要なのはほめるのか、叱るのかという二元論ではないということです。
先に結論を言っておくと、ほめようが叱ろうがそんなのはどっちだっていいのです。
その行為によって受け手側が期待されていると感じられることが大切なのです。
つまり重要なのはそのほめる場面、叱る場面ではなくて、普段の接し方だということです。
普段一切しゃべってこない上司があるとき突然に「よくやったね」とほめてきたり、反対に「ダメじゃないか」と叱ってきたらそれをされた部下は「・・・?」となってしまいます。
「普段ほったらかしのくせに自分の都合のいいときだけ話しかけてくるんじゃねえ」と思うわけです。
つまり、ほめるも叱るも同じことなのです。
普段から「私は期待されている」と部下が思えていればどちらの手段をとろうがピグマリオン効果となるのです。
ですので何でもかんでもほめておけばいいということではないのです。
大事なのは普段の対応です。
日頃から相手にこちらが期待していることを感じさせるようなポジティブな言動を私たち上司は心掛けるべきなのです。
まとめ
あなたはほめて育てる派、叱って育てる派のどちらですか?
私見ですが現代の主流はほめて育てる派なのでしょう。
叱って育てるのは育てきらない段階で辞めていく人が多く難易度が高いです。
でもどちらにせよ、重要なのは普段の承認ってことです。
日頃の対応から自分は期待されていると感じてもらわないことには、どちらの手段をとっても結果は変わりません。
ピグマリオン効果発動しまくりの部署にするためには、普段からどういう接し方をすべきなのか、上司の人はよく考えてみましょう。