以前に5人の法則という記事を書きました。

今回はその内容ともかぶっていますが、周りの環境と学習性無力感について話していきます。
目次
最初からダメな人なんていない。ダメになる環境に染まっていくだけ【周りの環境と学習性無力感】
結論
身の周りの環境を整えましょう。そして、自己効力感を忘れずに。
学習性無力感
まず学習性無力感の意味を説明しておきます。
学習性無力感とは
抵抗も回避もできないストレスに長期間さらされると、そうした不快な状況から逃れようという行動すら行わなくなるという状態。
つまり、人は勇気をもってみずから周りの環境に働きかけたところで、ネガティブな状況が何も変わらない、まったく問題が解消されないと認識したときに無気力を学習するということです。
これについてはアメリカの心理学者マーティン・セリグマンが1967年に発表しました。
セリグマンは実際に次のような実験を行いました。
電気ショックの流れる部屋に2匹の犬を入れ、1匹にはスイッチを押すと電流が止まる仕掛けを施した環境、もう1匹は何をしても電流が止まらない環境にする。
この結果、仕掛けがある方の犬はスイッチを押すと電流が止まるということを学習し、スイッチを積極的に押すようになった一方、仕掛けのない犬は最終的に何の抵抗もしないようになってしまいました。
それだけでなく、2匹の犬をしきりを飛び越えるだけで電流から逃れられる部屋に移したところ、前者の犬は早々にしきりを飛び越えたのに対して、後者の犬は何の行動も起こしませんでした。
このように自分が何をやっても結果が変わらないと学習することで、どんな状況に対しても行動を起こさなくなってしまうことを学習性無力感と定義づけています。
要は「どうせムリでしょ」「どうせできっこないでしょ」という思考です。
おそらく学習性無力感という言葉は知らなくても、この「どうせ○○でしょ」っていう考えをする人ってかなり多いはずです。
なんの確証もないのに「どうせムリだ」と思い込むことの学習性無力感によって行動することをやめてしまう医療事務員っていうのは全国25万人中20万人はいるはずです。
これは医療事務に限らずあらゆる職場においておおよそ8割の人は学習性無力感に支配されているんじゃないか、そのように邪推してしまいます。
これは何が原因かというと、とにもかくにも環境です。
人が悪いのではないのです。
そう思考させてしまうその環境に問題があります。
だったらその環境を良くするにはどうしたら良いのかといえば、その明確な答えはないのです。
なぜならそれは個人レベルで明確に認識した上で変えていくことなんて不可能だからです。
誰も積極的に無力感を学習している認識はないわけです。
それはしらずしらずのうちに周りから影響を受け学習していくものです。
だからはっきりとした変えるべき核心部なんてものは見えないのです。
あえて言えば、その職場全体の土壌というかマインドセットがそれに当たります。
ですので極端な言い方をすれば、学習性無力感に満ちている職場を変えようとすれば、その職場ごと全とっかえするしか方法はないということです。
それぐらい学習性無力感というものはやっかいなものなのです。
職場環境
このように学習性無力感というのは周りからの影響によって生み出されているものです。
いわば環境要因によるものと言えます。
結局人は集団の中で生きており、その周りから影響を受けることは必然なのです。
でもそうであるならば、逆もまたしかりです。
つまり、周りがネガティブ思考ならばあなたもネガティブになっていきますが、ポジティブ思考ならばあなたもポジティブになっていくということ。
結局ポジティブもネガティブも伝染するのです。
ただしネガティブの方が感染力は強いですが。
何が言いたいのかというと、学習性無力感は環境要因だとは言いましたが、だからといって職場環境が悪いという外部への責任転嫁はできない、ということです。
なぜならその職場にいることを選択しているのはあなた自身だからです。
つまりすべては無力感を学習してしまうような職場環境を選びそして不満がありつつ妥協しているあなたの責任だということです。
「どうせムリ」いつもそう思っている人はその職場環境で無気力を学習してしまった人です。
そうです、それは学習したのです。
今いるその職場で。
そしてその学習はもうアンラーンも効きません。
なぜならそれはマインドセットへの学習だからです。
「どうせムリ」と考える人を「やればできる」というマインドセットにすることはほぼ不可能です。
そして周りがそんな人ばかりの職場であなたが学習性無力感を回避することもほぼ不可能です。
残念ながらそれが現実です。
まとめ
勉強熱心な人、チャレンジ精神旺盛な人、行動力がハンパない人、心優しい人など周りがすばらしい人であれば、あなたはその人たちから良い影響をもらうことができます。
逆に否定的な人、文句ばかり言う人、行動しない人ばかりが周りにいるのであれば間違いなく悪い影響をもらいます。
それはどうやっても避けられません。
そしてこのようなさまざまな影響を身近な人たちから強く受ける、というのが5人の法則というものです。
であるならばとるべき手段は1つしかありません。
それは周りの環境を整えるということです。
つまり自分を良くしたければつねに良い環境に自分の身を置いておく必要があるということです。
ですがこれは机上の空論です。
ほとんどの人がそうは思ってもそうできない。
なぜなら今の環境が悪いと判断するのであれば、他の環境へ飛び込む勇気が必要だからです。
つまり今の職場を辞める必要が出てくるということです。
大部分の人は当然そんな選択肢はとらないわけで、現状に不満があっても我慢し、そのくせグチ、文句は言い、悪い職場環境にさらに拍車をかけているのです。
そして自覚のないまま学習性無力感を増幅させていくのです。
結局のところ、最初からダメな人なんていないのです。
単にダメになる環境に染まっていっているだけです。
自覚もないままに。
誰だって新人の頃は一生懸命走っていたはずです。
ですが周りを見渡せば誰も走っていない。
そんな中自分1人が走っているのはバカバカしいし、浮いてしまう。
だから自分も歩こう。
そうやって無気力、無力感を学習していくのです。
こんな環境ダメでしょうって言ったところで意味はないです。
だって、みんながみんなそんな高いモチベで働いているわけではありませんので。
「今までどおりで十分」「食べていければそれでいい」そう思う人だって当然います。
医療事務ではそう考える人が多いのも事実。
そして誰もがまさか自分がイケてない人だとは決して思わないのです。
自分がダメな人だなんて思う人はいません。
でも僕から見ればダメな人はいっぱいいる。
まあ、僕が周りからダメな人認定をされている可能性も十分ありますが。
結局僕がダメな人、仕事ができない人と見なすのは能力やスキルの問題ではないのです。
すべてマインドセットの問題です。
学習性無力感にどっぷりつかってしまった人ができない人なのです。
やってもないうちからムリと言ったり、なんでもかんでも否定から入ったり、それらは間違いなく数々の無力感を学習して身につけてしまったマインドセットです。
もし仮に本人にその自覚があってマインドセットすら変えてしまいたいというのであれば、職場を変えることが一番の近道です。
それができないのであれば少なくとも自己効力感を蓄える努力はすべきです。

まあそんなマインドセットを変えようという人はいないのですが。
ですので今回はすべて僕のひとりごととしておいてください。