以前に働きアリの法則、いわゆる2-6-2の法則について書きました。

実際組織が2-6-2に分かれるのであれば、どうアプローチするのが1番良いのでしょうか?
その点を詳しく見ていきましょう。
目次
働きアリの法則をどう使えば組織は上手く回るのか?
結論
意識普通系の人の扱いがポイントです。
働きアリの法則の使い方
意識高い系、低い系、普通系
病院組織というのは「意識高い系」と「意識低い系」の2種類で成り立っているように思われがちですが、実際数として一番多いのは「意識普通系」の人たちです。
たしかに意識高い系、低い系の人は目につきやすいですが、マジョリティは意識普通系の人です。
ですので組織改革を行う場合での一番のキープレイヤーはこの中間層の人たちです。
彼ら、彼女らのエンゲージメントをいかに高めていけるのかが、組織の行く末を左右しているといっても過言ではありません。


ですが僕たち管理職はときとしてそのアプローチを間違う場合があります。
そのありがちな2パターンを紹介します。
1.意識高い系をさらに引き上げようとする
このやり方は上司の怠慢です。
要は管理職が楽をしているのです。
そもそもエンゲージメントが高い意識高い系の人なので、さらにエンゲージメントを高めてもらうようにもっていくことは比較的簡単です。
もっと重要な仕事を任せていけばいい。
そしてその人たちはきっとこちらの期待に応えてくれるでしょう。
この部分だけ見ればとても理想的に思えますが、ここには大きな問題があります。
それはご想像のとおり、意識高い系とその他との温度差が余計に広がるということです。
つまり組織が極端に2極化してしまうということです。
イメージとしては2-6-2が2- <大きな差> -6-2みたいになる感じです。
こうなると結果的に組織全体のエンゲージメントは下がってしまいます。
中間層、下位層の8割の人のモチベーションがまったく上がらない状態になってしまうということです。
ですので意識高い系の人たちばかりにアプローチする管理職は全体が見えていない管理職だということです。
2.意識低い系を排除していく
これは下位層の2割をなくしてしまおうという考えです。
いうなれば全体的な底上げの手段として足引っ張るやつはいらん、という思想です。
ですがこれも間違いなく失敗します。
というかそもそもそう簡単に排除なんてできませんが。
まあ異動を行うとか退職希望時には引きとめないという行いがそれに近い行いでしょう。
ですがたとえそれができたとしても、組織全体の底上げには繋がらないのです。
これはまさに働きアリの法則なのですが、今いる下位層が抜けたとしても新たな下位層は必ず生まれるのです。
結局2-6-2はどこを間引いても2-6-2に戻るということです。
働きアリの法則(2-6-2の法則)
中間層の意識普通系は6割もいます。
だからこの層にアプローチし、エンゲージメントを高めることが組織全体のエンゲージメントを高めことにも繋がる。
そういう論調はよく目にします。
ですがこと医事課だけに限定してみれば、これはかなり難易度の高いミッションだと言わざるをえません。
なぜならこの中間層の人たちはその位置を好んで選択しているからです。
ですのでそれ以上のエンゲージメント向上もパフォーマンスアップも望んでいないのです。
むしろそうなることを良しとしていません。
現状維持がその人たちの最適解なのです。
だから今以上の仕事を任されることも困るし、上の役職に就くことも困るのです。
ですので客観的に見ればすごくニュートラルなタイプなのです。
任された仕事はそつなくこなすが、それ以上もそれ以下の仕事もしない。
もし中間層の人がすべてそんな人であるならば、2-6-2というよりはもはや2-0-8なんじゃないかなって思います。
でもそれならそれで別にいいと思います。
極端な話、0-0-10であっても仕事が回っていれば文句はないわけです。
大事なのは個人ではなくてチーム全体です。
働きアリの法則では下位層の2割のアリも絶対必要なアリだとしています。
普段働いているアリが休む際のバックアップ要員としていてもらわないといけないと。
ですが実際仕事ではそんな人は不要です。
普段働かず、いざというときに働く医事課員なんていりません。
そうではなく全員が同じようなレベルで同じようなスキルを持った状態を目指すべきであり、その方が間違いなく仕事は回ります。
ですのでジョブローテーションは大事だし、普段から自分の分身を育てておくことも大事と前から何度も言っているわけです。
2-6-2の法則は1つの事象として存在するものですが絶対ではない、それぐらいの認識でいいのではないでしょうか。
まとめ
2-6-2の法則を信じようが信じまいが、そのような事象が起こりえることは事実です。
厳密にはそれが1-7-2や2-5-3となっている場合もあるでしょうが、共通して言えるのはどうやったって中間層がマジョリティになるということです。
だったらその中間層である意識普通系にいかにアプローチするか、どう動かしていくかが最も重要なポイントです。
本文でも述べたとおり意識普通系を意識高い系にすることはなかなかハードルが高いです。
だったら意識普通系のままでどう仕事を回していくのか、個々のモチベに頼るのではなくてシステムとしてどう機能させていくのか、そこの舵取り具合が管理職のウデの見せどころなのでしょう。
意識普通系を意識低い系にさせない施策、方法、それを持ち合わせていない医事課のその台所事情はいつまで経っても苦しいままでしょう。