以前に医療事務経験者が有利なんてウソですという記事を書きました。

今回はウソシリーズの第2弾ということで「中途採用経験者が即戦力なんてウソです」ということを話していきます。
目次
【村社会の壁】中途採用経験者が即戦力なんてウソです
結論
村社会の壁は分厚いです。
中途採用経験者の苦悩
僕は一度転職しています。
15年前に今いる病院に中途採用者として入ってきました。
その時点ですでに医療事務員として7年ほど経験を積んでいましたので、それなりにやれるという自負と期待を持って入ってきたものでした。
ですがどんな組織でもそうですが、突然外部から入ってくる人は最初は異物でしかないのです。
特に病院というところは閉鎖的という点では飛び抜けていますから、中途採用者には厳しい世界です。
そもそも、基本的に組織とは村社会です。
そして医療機関とはその最たるものです。
その中の医事課だけを見ても完全なる村社会なのです。
それは極めて閉鎖的な空間です。
だからこそベテランであればあるほど井の中の蛙となっていく構図がそこにはあります。


さて、僕自身もう記憶も薄まってきていて思い出すのも難しいのですが、15年前当時のことを振り返ってみました。
そしてその当時自分が何に苦労してたのかなって考えてみると、いくつか出てきました。
・病院独自のローカルルールの理解
・組織の意志決定プロセスの流れの理解
・評価軸のわからなさ
つまりはこの病院組織の価値観がわからないということです。
もはやスキルうんぬんとは関係ない話です。
そして確かにスキルうんぬんで困ったという記憶はないのです。
もう7年も経験を積んだあとでしたので、医療事務で知らない、わからないってことはほぼありませんでしたし、たとえわからなくても調べればできることばかりでした。
逆に苦労したことは調べようがないことばかりです。
要はその村のルールがわからないということです。
つまり村社会に順応できないことがきついということです。
今でも覚えているのが、最初の周囲からの拒絶がひどかったです(笑)。
もうみんな斜に構えているのが感覚としてわかりました。
最初僕は完全な異物だったのです。
もう完全にできあがっている強い人間関係、共同体の中に全然入っていけませんでした。
まして新人ではなくて7年の経験者です。
周りからすれば、お手並み拝見となるわけです。
ですがそこで即戦力になったかといえば、そうではなかったのです。
そもそもこの村のルールがわからないのです。
できるはずがない。
そして周りからすればそれは至極当たり前のことなので教えるという前提がない。
なぜならそれは知っていて普通のことだから。
知らない方がどうかしてると思っているから。
ですので最初は相当風当たりが強かった記憶があります。
僕は社交性も協調性も欠けた人間なので、それこそ良いコミュニケーションがとれるようになるまでには、かなりの時間がかかりました。
つまり村社会の村人と認定されるまでがだいぶ長かったということです。
苦悩する時間は結構あったのです。
中にいるとわからない
残念ながら組織とは村社会です。
ここはゆるぎません。
ですがその組織の中にいる人は自組織がそんな閉鎖的な組織であるとはつゆとも思っていません。
中にいる人にとってはそれが普通なのです。
僕のように転職してきた人であっても、一定期間が過ぎれば同じこと。
そしてそうなったが最後、もうフラットな感覚というのは持てなくなります。
というか「フラットな感覚=村社会の常識」というとんでもない感覚を持ってしまうことになります。
要は「うちの医事課の常識は世間の医事課の常識」だという間違った認識をしてしまうのです。
結局、中にいては何もわからないのです。
まさに「井の中の蛙大海を知らず」なのです。
僕も正直世間の医事課の常識とかなりズレているなという認識はあります。
ですがこれはもうどうすることもできない村社会の宿命ともいえるものです。
他病院と交流を持ったり、外部研修に出かけたり、学会に参加してみたりという行動は少なからず「大海を知る」チャンスにはなるでしょう。
ですがそれは一時的なものです。
どうしても村社会のマインドセットを捨てたいと思うのであれば、選択肢は1つしかありません。
それは村社会を出ることです。
つまり、今の職場を辞めること。
でもそんなことはできるはずもない。
もし仮にできたとしても、自分で起業しない限り、またどこかの村社会には属す必要があるのです。
だから村社会からは出られないのです。
だったら自覚しておく必要があります。
・自分のマインドセットは村社会ベースなのだということ
・村社会は外部からの新規参入者を強固に拒む組織である
ということをです。
まとめ
中途採用経験者が即戦力なんてウソです。
これはそのとおりです。
そこには村社会の分厚い壁が立ちはだかるのです。
本来中途採用経験者は即戦力のはずです。
でも組織自体がその芽を自覚なしにつぶしているかもしれないということです。
でもキツイ言い方かもしれませんが、それでつぶれてしまう人ならその程度の人ということです。
ですのでどのみちどこかの組織に所属して働こうとするのであれば、村社会のルールには従うしかありません。
でも逆に見れば、中途採用経験者であればネックはそのルールだけなのです。
スキルは十分通用するはずです。
わからないのはローカルルール。
だったら地道にローカルルールを拾い上げ、村社会になじむことで中途採用経験者の実力は花開くはずです。
そこまで待てるか、いらんプライドを捨てられるか、前職で学んだことをアンラーンできるか。
中途採用経験者が即戦力になるための道のりはなかなかに厳しいですね。