先日書いた記事の続編として今回の記事を書いていきます。

先日の記事では診療報酬点数表の学習方法についてワンメッセージを伝えました。
今回は具体的な学習方法ではなく、診療報酬点数表の使い方、向き合い方について話していきます。
目次
【とことんまで使い倒せ!】診療報酬点数表は2年の命
結論
ボロボロになるまで使い倒しましょう。
自分の血肉にしなきゃ意味がない。
すべては点数表の中に
前回同様今回も紹介しておきます。
月間保険診療の2019年11月号です。
この号では特集記事「診療報酬点数表の“トリセツ”」が組まれていて、こと細かくトリセツが解説されています。
診療報酬点数表の使い方に慣れていない新人から最近あんまり見てないなというベテランまで誰が見ても勉強になる学びの多い特集となっています。
まだ見たことがないという人はぜひ一読ください。
ひとことつけ加えておきますが、僕は医学通信社の回し者ではありません。
ホントにいいと思うからすすめているだけですので。
話を戻しますがそもそもなぜこのような特集が組まれたのかといえば、ウラを返せばみんながみんなその使い方がまちまちだからです。
つまり本来なら診療報酬点数表とは診療報酬制度のトリセツのはずなのに、その難解さゆえに誰もがこのぶっとい本を持てあましているからにほかならないのです。
おそらくですが、みなさん自分なりの使い方を習得しているはずです。
そしてその使い方というのは自分が新人だった頃の先輩や上司から教わった方法のはずです。
自分独自で引き方をマスターしたという猛者はそうそういないと思います。
であるならば今のあなたの診療報酬点数表の使い方というのは、自分の先輩や上司から受け継いだものであるといえます。
そしてその先輩や上司もまた自分の先代から受け継いでいます。
何が言いたいのかというと、自分でつねにアップデートを繰り返す人じゃない限り部署の伝統は受け継がれるということです。
それは多分にして悪しき伝統となっているということです。
そして3年前に先輩から引き方を教わった、点数のとり方を教わったという人は自分の知識を疑ってかかる必要があるのです。
なぜなら1度改定が行われているから。
だからそれは3年前の正しい情報なのです。
今も同じかどうかは現行の制度を確認しなければならない。
しかしそこを疑わない人が結構な割合でいます。
「私は先輩からこう教わりました」「上司からこう聞きました」平然とそう言い切る人がいます。
「いやそれ3年前の情報だから」というツッコミは受け入れないのです。
その人たちはなぜ2年ごとに診療報酬改定が行われているのかという意味をしっかり考えないといけません。
つまりそこから導き出される答えは、2年以上前の情報は大事に持っていてもしょうがないということです。
つねに自分のアタマをアップデートし続けられる医療事務員でなければプロではないということです。
この論理でいくとプロではないベテランって結構多いと思います。
要は昔の自分の知識の貯金でここまで来てる人です。
診療報酬改定だからといって自分が先頭に立って課を引っ張るわけでもなく、もらった資料をなんとなく覚えて、大事な軸は昔の自分の知識とこれまでの経験においている人。
だからいまだに「昔は算定してたよ」とか「以前は請求していなかった」などという理解不能なことを口走るのです。
昔は昔、以前は以前です。
言いたいことはたった1つ。
「経験に頼るな。今の診療報酬点数表を読め!」です。
すべては点数表に書いてあります。
そこを読み解くことです。
去年の知識で今年の算定のことを語ってはいけません。
それが許されるのは改定年の翌年だけです。
だから今この瞬間は去年までの知識や経験で判断してはいけないのです。
今この瞬間は2020年度診療報酬改定の情報をもとに判断しないといけないのです。
でも実際そこまで点数表を読み込んでいますか?
日々点数表を開けて目を通していますか?
中にはレセプトLOVEみたいな僕から見たら変人(すいません)みたいな人も存在するので、熟知してらっしゃる人もいるとは思いますが、大半の人はそこまで精通はしていないと思います。
だったらだからこそ診療報酬点数表のトリセツを熟知しましょう。
あんなぶっとい1600ページあまりある本をイチから読んで理解しようとすれば1日終わっちゃいます。
だから、そこには自分なりの工夫が必要です。
点数表をより短い時間で理解するテクニックがいるのです。
My 点数表
「診療報酬点数表の“トリセツ”」には「My 点数表」の作り方というセクションがあります。
まとめると以下のとおりです。
①見出し部分にインデックスシールを貼る
②点数表の中に、付箋をまとめて貼っておく
③目次に略語等を記載する
④必要な部分をコピーもしくはまとめて、ルーズリーフノートに貼り、自分だけの点数表を作る
⑤点数表刊行後、通知等が出た場合のカスタマイズ
詳しくは記事をご覧ください。
ここに出ているのはあくまで一例です。
大事なことはこの項目なのではなくて、自分流にカスタマイズするということです。
つまり自分で理解できる形に変えるということです。
ここで1つ言っておきたいことがあります。
それは「どんどん本に書き込んでください」ということです。
たまに思うことがあるのですが、みなさん点数表をすごくキレイに使っていますよね。
それは商売道具なのだからキレイに使って何がいけないの?と言われればそうなのですが、僕はそれは逆だと思うのです。
商売道具だからこそキレイに使ってたんじゃダメなのではないかと。
要はそれはあくまで道具なのであって答えではないのです。
答えはあなたが出さないといけない。
だったら本のキレイさ汚さは何ら請求に影響を及ぼさないということです。
そして影響を及ぼすのはあなたの判断なのです。
だから、My 点数表を作ることは大事でもそれに躍起になってはいけないのです。
そこは本質じゃない。
本質はあなたのアタマを鍛えることにあります。
診療報酬点数表から読み取ったものを自分の血肉として蓄えることにあります。
そこが肝です。
だから極論すればMy 点数表すらも不要。
ルーズリーフノートにまとめていようがいまいが、事務連絡をファイリングしていようがいまいが、そんなの関係ないです。
血肉にできていなければファイリングしていても意味がない。
いざというときに使えない道具ばっかり増やしてもそんなの作るだけムダです。
だから見栄えなんかどうでもいいのです。
ボロボロの書き込みまくった他の誰も読めないような点数表であっても、それを見ることであなたが正確な答えを出すことができるのであればその使い方は合っています。
というかむしろそうすべきです。
みんなあまりにもキレイに使おうと気をつかいすぎです。
もっと汚く使っていいのです。
どんなにキレイに使おうが2年限りの命です。
2年経ったらまた新しく買い換えるのです。
だったらそれに見合う使い方をすべきです。
どんどん引いて、どんどん書き込んで、どんどんアウトプットする。
そういう使い方をしてあげなければ点数表がかわいそうです。
そしてなによりあなたにマイナスです。
ボロボロなのはそれだけ調べた証拠、インプットした証拠。
ぜひボロボロに使い倒してください。
まとめ
My 点数表を紹介しておきながらなのですが、僕は①から⑤までは何もしてないです。
確かに若い頃はインデックスシールを貼ったり、ノートをまとめたりなどはしてました。
そうやって僕はこの本の内容を覚えようとしてました。
でも内容を覚えても仕方ないのです。
というか覚えられるわけがない。
だったら何のためにこの本を使うのか?
それは精度の高い請求をするためです。
もうその一点につきます。
ですのでインデックスシールを貼ったり、ノートをまとめることでその精度が上がるというのであればやればいいですが、僕にとってはそれは精度とは関係のないことなのです。
というかいつからかそうなったということなのでしょう。
だから今の僕が新人に点数表の使い方を教えようとすれば苦労すると思います。
なぜならそれはわかっている前提のことまでこと細かく説明しなければならないからです。
だったらやっぱりまずはMy 点数表を作らせると思います(笑)。
読むだけに終わらず自分の言葉で腹落ちし理解させるような方法を探すと思います。
今日伝えたいことはたった一点です。
自分の血肉にできるような使い方をしてください
そして血肉にしようとするのであれば点数表だけ見ていてもダメなのです。
中医協での議論、医療制度改革の展望、厚労省の通知、事務連絡など見るべきところはいくらでもあります。
そんなところまで追えない、できないという人はプロの医療事務員失格です。
それはできていて普通です。
いやそれはハードルが高いと思っている人がいるかもしれませんが、そんなに高いハードルではないです。
むしろハードルは下がっていきます。
なぜなら、それらを知ることは全体の流れを理解することにつながるからです。
診療報酬点数表がなぜ初心者にはとてつもなく難解な代物なのかというと、それは全体像を把握していないからです。
なぜこの点数なのか、なぜこの算定要件なのかということがそこからだけでは読み取れないからです。
つまりプロセスを知らずして結果だけを見せられているからです。
そりゃなんのこっちゃわからないでしょう。
だからこそプロセスを知ることが大事なのです。
全体の流れを理解することが大事なのです。
これは歴史の勉強と同じです。
ただ単に年号を覚えろと言われてもそれはかえって覚えづらいのです。
だって流れがわかっていないから。
経緯も知らないまま年号だけ覚えてても何の役にも立ちません。
これと同じことが診療報酬点数表にも言えるのです。
どういう社会情勢の中で、国は医療制度をどの方向に進めようとしているのか。
中医協では今どういう未来の展望が語られているのか、議論されているのか。
その結果どんな事務連絡が発出されてくるのか。
その流れ、できごとと点数表はつながっています。
だから全体像が見えてくると点数表も見えてくるのです。
点数表の1箇所だけでは絶対見えてこない、わからないバックボーンというものがあります。
そこを知っている人と知らない人とでは、指導料1つでも見えてるものが違うのです。
理解している深さが違うのです。
僕も若い頃は「解釈を読みなさい」と口酸っぱく言われました。
ですが診療報酬点数表だけ読み込んでもすべてはわからないのです。
というか読み込む労力に比例して理解度も高まるというようにはならないのです。
それは何度も言いますがパックボーン、土台をしっかり理解していないからです。
そしてそれは点数表だけで完結しているようでは決してわかるレベルまでは到達できないのです。
点数表はあくまで点の集まりにすぎません。
その点の集まりを線にしていくにはプラスアルファのインプットが必要なのです。
そのプラスアルファの労力を惜しまないでください。
診療報酬点数表を使い倒し、プラスアルファのインプットを追加し続け、それらの知識を自分の血肉とできた人だけが医療事務のプロフェッショナルといえるのです。