「私が抜けたら仕事が回らなくなる」と頑張る人がたどる末路

当ブログで何度も書いてきたことですが、医事課の病院内ヒエラルキーは低いです。

というか最底辺です。

するといろんなデメリットが生じるわけなのですが、その中の1つが人事面です。

詳しく言えば人材難に陥りやすいということです。

なぜならそこには金銭的リソースは投入されないからです。

組織は高額な給料の医師や看護師などはおしげもなく資金を突っ込むくせに、低賃金の医療事務には一銭も無駄にはしないというぐらいギュウギュウに切り詰めてきます。

ですのでそんな低い賃金で募集したところでいい人材なんて集められません。

というかそもそも人が来ません。

もうちょっと一般的なそれなりの給料でなら人も来るでしょと思ったことは1度や2度ではありません。

でもそんなことは起こらない。

よってなんかつねに人材難っていう状況は医事課あるあるです。

そしてそのような状況で出てくるのが「私が抜けたら仕事が回らなくなる」と感じて頑張る人、疲弊していく人たちです。

今回はその人たちがたどる末路、そしてとるべき道は何なのか?というところにフォーカスしていきます。

「私が抜けたら仕事が回らなくなる」と頑張る人がたどる末路

結論

あなたは思考できない人になる。成長できない人になる。

人がとれない

冒頭にも言ったように医療事務ではいい人がなかなかとれません。

そしてとれたとしても、その定着率は高くはありません。

これは世間一般の医療事務という仕事に対するイメージと実際の業務内容に大きなギャップがあることが一番の原因です。

「思っていたのとは違った」

「忙しすぎる」

「人間関係に耐えられない」

そういったことで辞めていく人はあとを断ちません。

ですのでつねに人が足りないという医事課も珍しくありません。

僕のところもここ1年ぐらいは安定的に人数は足りた状態で回っていますが、その前の2年間ぐらいはつねに人が足りないという状態で回していました。

入って来る人はいないのに辞める人だけが増えていくというような日々もありました。

そのときの状況は次のようなものです。

人がとれない(欠員1)→仕事が回らない→一部の担当者が回らない仕事を肩代わりする

 

→それでも回らない→違う担当者も応援に入って仕事を肩代わりする→応援に回っている者全員が疲弊してくる

 

→その状況に危機感を感じた他のメンバーが辞める→さらに人が減る

 

→それでも人がとれない(欠員2)→一層仕事が回らない

 

→残されたメンバーでさらに仕事を肩代わりする→残されたメンバーがさらに疲弊する

 

→残されたメンバーの中からも愛想をつかして辞める人が出てくる

 

→人がとれない(欠員3)→つづく・・・

これはまさに悪夢です。

この負のスパイラルは止めようがありません。

この例は極端ですが(実話ですが)、人がとれなくて足りないという状況は医事課において、いつなんどき起こっても不思議ではないのです。

我慢しすぎる人

上記の例を見ると1つ気づくことがあります。

それは人には職場を抜けるということに関して2通りの考え方がある、ということです。

それは

・自分に火の粉がかかる前に周りのことなど考えずにさっさと辞めることができる人

 

・周りのことを考え、自分が抜けたときのことを考えると辞められないと思う人

の2つです。

これはどちらが正しい、間違っているということはありません。

どちらにも長所、短所があります。

そしてここでピックアップしたいのは

周りのことを考え、自分が抜けたときのことを考えると辞められないと思う人

です。

こう思える人って人間としてはとても素晴らしいです。

他人の気持ちに寄り添える優しい人でありますし、とても責任感が強い人であるとも言えます。

ですがこの思考は諸刃の剣です。

この優しさがあまりにも強すぎると「我慢しすぎる人」になってしまいます。

そして我慢しすぎる人はその責任感の強さがあだとなって、もうその状況からは抜けることができなくなります。

ただただ「私が抜けたら仕事が回らなくなる」という思考だけに支配されていくことになります。

一時的な我慢というのは人は耐えることはできますが、永続的な我慢を許容できる人間なんていません。

それは確実にストレスとして蓄積されていきます。

別に「私は今の職場に骨をうずめるんだ」という覚悟をしている人ならいいんです。

あなたが納得しているのであればそれでいいです。

ですが「ホントは仕事がきつい。でも周りの人のことを思うと抜けるわけにはいかない」と思っている人がいるのであれば少し考え方を変えてほしいと思います。

「私がいないと回らない」「だから頑張る」は誰のためにもならないのです。

そのようなモチベーションでは自分も職場も不幸になる、そのことに気づきましょう。

具体的にはどのような不幸があるのか?

ここでは2つあげます。

それは

・「自分がいるから回っている」という思いだけに縛られ、自分のノウハウや経験則頼みの視野の狭い人間になってしまう(自分の不幸)

 

・スキルが継承されないので組織のリソースにならない(職場の不幸)

ということです。

はっきり言って「自分がいるから回っている」って考えはものすごく傲慢です。

そしてほとんどの場合そのような考えの人は仕事ができない人です。

まず、自分の仕事を客観視できない時点でできない人です。

次に、自分で仕事を抱えている状態がいいと判断している時点でできない人です。

最後に、人に自分の仕事を教えられない時点でできない人です。

ですので「自分がいるから回っている」なんて考えは一切持たないようにすべきです。

その考えはあなたから思考力を奪ってしまう。

そして思考力がない人は成長力もなくなるのです。

あなたがいなくても回る

それでもなお、今の状況で自分がいなくなったら仕事なんて回らんだろう、職場は困るだろうって思っている人はいるはずです。

ですがそんな心配はする必要はありません。

間違いなく仕事は回ります。

職場は困りはしますが、回らないってことは起きないのです。

結局のところ、チームは窮地に立つと進化するのです。

突然ぽっかり空いた穴を埋めようと周りが躍起になるのです。

それが組織というものです。

つまり「私が抜けたあとこの職場は大丈夫だろうか?」という心配なんて必要ないということです。

そこを危惧しているのはあなただけであって、周りはそんなことはこれぽっちも考えていないということです。

あなたは自分自身で思うほど優秀な人ではないし、反対に残された職場はあなたが思うほど無能ではない、ということ。

自分がいなくなっても職場は回る。

だからいついかなる状況であっても、あなたには辞めるという選択肢はあるのです。

医療事務において、誰にも代替不可能な仕事なんてありません。

自分が大事に抱えているノウハウや経験則にはそれほどの価値なんてないということをよく自覚しておくことが大切です。

またそれぐらいに思っておいた方が自分の重荷にもならないし、気持ち的にも楽でいられます。

まとめ

僕も昔、自分がいないと医事課が回らないという傲慢な気持ちでいたときがありました。

でもその感覚は完全にひとりよがりなものです。

お前は何様なんだとそのときの自分に言ってやりたいです。

自分は組織の一員であって、それ以上でも以下でもないのです。

もっと謙虚な気持ちで仕事にのぞみ、つねに俯瞰しておく必要があります。

 

「私が抜けたら仕事が回らなくなる」と頑張る人がたどる末路とは、仕事ができない人に成り下がるということです。

もっと人を頼ってください。

もっと人に教えてください。

もっと人を育ててください。

そこができてないくせに、「私が抜けたら」なんて考えている時点でおこがましいのです。

いつなんどき自分が抜けても平然と回る職場、そんな体制をつくるために今あなたに足りないものは何なのか?

えっ、足りないのものはないって言い切るそこのあなた。

そんなことはないはずです。

だって、足りないのものはないって言える人なら「私が抜けたら仕事が回らなくなる」なんて言葉は出てこないでしょうから。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。