みなさん無知の知という言葉はご存知でしょうか?
ギリシャの哲学者ソクラテスの思想概念です。
英語で言うと
I know that I don’t know anything.(私は私が何も知らないということを知っている)
というように訳されます。
つまり無知であることを知っているという意味で、平たく言えば「自分には知らないことがあるということを自分で自覚している」という意味です。
同じような意味で孔子の論語には
知らざるを知らずと為す、是知るなり
というものもあり、これもまた知らないということを知っていることが大事なんだよってことを言っています。
今回はこの無知の知が仕事で成長するには大事ですよという話です。
目次
自分を客観視できない人はヤバい【無知の知とダニング・クルーガー効果】
結論
無知の知を自覚できない人は成長できません。
無知の知
これは厳密に言うと言葉としては正しくなくて、「不知の自覚」と言った方がいいようです。
どちらにせよ言っていることは冒頭のとおりで「自分が知らないということを自覚する」ということです。
知ったかぶりはダメ!
人間は元来知ったかぶりをする生き物です。
この性質は認知科学者による実験でも明らかにされています。
そのため知ったかぶりをすること自体は何も気に病むことではありません。
しかしそれが癖になり無意識のうちに知ったかぶりをしているようなら注意が必要です。
なぜなら知ったかぶりは人としての成長を止めてしまうからです。
これは医療事務でもありがちなことです。
医事課の業務内容は多岐に渡ります。
当然知らないことは少なからず出てきます。
このとき、なんとなくわかった風でスルーできてしまうことがあります。
たとえば直接自分が関わっていないけれども当事者がわからないので調べていたり、先輩から教えてもらっていたりするのを聞いていた場合。
ここでなんとなく知っている風で自分で納得してスルーしている人って結構いると思います。
対して、自分が次その当事者になるかもしれないと思って一緒になって調べたり、考えたりする人。
この両者ではその後の成長スピードに明らかな差が出てきます。
知ったかぶりは新たな学びのチャンスをみすみす逃しているだけでデメリットしかないのです。
どんなベテランであろうが「自分にはまだまだ知らないことがたくさんある」とつねに感じていないと、もうそこには一切の成長はないのです。
ダニング・クルーガー効果に気をつけろ
ダニング・クルーガー効果という認知バイアスの一種があります。
これは、能力のない人ほど自信にあふれ、本物の実力を持つ人ほど自らの能力に疑いを抱いて悩む、という状態で、この能力のない人ほど自分のスキルを過大評価するという性質を心理学の世界ではダニング・クルーガー効果と呼んでいます。
実際こういうタイプの人は結構いるように思います。
これは無知であるが故その分野での知識量、分析力が不足していて現状を把握できていないのです。
その結果自分を実際以上に高く評価してしまいますが、そのことにも気づけない状態なのです。
ここで無知の知があればこんなことは起こらないのですが。
自分の無知を認められるか
ポイントはここにあります。
無知であることを自分で受け入れられるか否かということです。
ここでひとつしてしまいがちな誤解は、無知は悪とネガティブにとらえてしまうことです。
確かに知らないということは普通に考えればマイナス要素です。
ですがそれ自体は悪でも何でもありません。
悪なのはそこで知る努力を怠ることです。
学習しないことです。
医療事務は専門職です。
それこそ知っていなければならない専門知識は山ほどあります。
その中の基本的事項で中堅、ベテランなら知っていて当たり前ということってたくさんあります。
でも今まで知らなかったという事項が突然出てくることって意外に多いです。
そのときに知った風でやり過ごすのか、素直に知らないことを打ち明けた上で進めるのかが分岐点です。
知った風でやり過ごす人は知らないことがばれるのがかっこ悪い、評価が下がると思っている人です。
ですが本当にかっこ悪くて評価が下がるのはそのあとです。
知った風でやり過ごすということは、そのあとで学習して知識を補充するつもりもないわけです。
その場さえ乗り切ればいいと考えているのですから。
ですがそういう姿勢では必ずあとあと辻褄が合わないことが出てきたり、さらに突っ込まれて質問されるとすぐにほころびが出てきます。
そうなれば、なあんだ知ったかかよ、実際何もわかってねえじゃんとなります。
一度こう評価されてしまうと覆すのはかなり困難です。
そういう人なんだ、という目ですべてにおいて見られてしまうからです。
ですので知ったかぶりは自分の首を絞めるだけなのです。
ここで大切なことは今の自分と向き合う姿勢です。
そして現状を受け入れるマインドです。
これができる人は強いです。
どんどん成長します。
しかし実際はそうできない人の方が多いです。
そこにはひとつ障壁があるのです。
プライドという名の障壁が。
プライドなんかいらない
仕事をする上でプライドって必要なのでしょうか?
そもそもプライドとは誇り、自尊心のことです。
ですがこと仕事をするにおいてはプライド=誇りの同義語ではないように思います。
仕事でのプライドとはある種の傲慢さを含んでいます。
対して誇りには自負という意味合いが強いです。
ですのでプライドは低く、誇りは高くが理想です。
自分と向き合えない人に共通するのは、無駄にプライドだけはあるという点です。
そんなものはいりません。
プロとしての誇りだけを胸にあとはあるがままを受け入れる心が大事なのです。
失敗しないと成長なんかしない
ここを取り違えている人がかなりいます。
それもベテランになればなるほどです。
その人たちは失敗したらいけないんだ、という意識で凝り固まっています。
たしかに病院事務という職業の性格上、間違いは許されないというのは正しいです。
正確であることは正義です。
ですがそれと挑戦しない、変化は望まないというのはまったく別の話です。
実際一切間違いのない事務部門の医療機関なんてどこにもありません。
多かれ少なかれ計算ミス、請求ミスはあります。
それは人がすることなのでありえることなのです。
大事なのはそこではなくて、そのようなことをなくしていく改善、挑戦を日々し続けていく姿勢です。
昨日を超えるパフォーマンスを出すために、今日何をすべきなのかを考えていくことなのです。
それがなく思考停止している人が少なからずいます。
今一度よく考えてほしいのです。
失敗することの何が怖いのか。
そもそも自分が失敗とは微塵も関係ない完璧な人間とでも思っているのでしょうか。
みんな何を怖がっているのかが僕にはわからないです。
こけるのが怖いのでしょうか?
こけたらまた立ち上がればいいんじゃねとしか思いませんが。
これは僕の私見ですのでそんな簡単なことじゃないって言う人もいるかもしれません。
ただここで断言できることは、挑戦→失敗→挫折のプロセスを踏んでいない人が成長し続けるのは難しいということです。
やっぱりメタ認知力が大事
ここまでを整理しますと、自分が無知であることを自覚すること、そのためにはプライドはいらない、必要なのは自分を客観的に見れて受け入れられること、ということです。
これはつまりメタ認知力のことを指しています。
メタ認知力を高めること、挫折を恐れずに挑戦を繰り返せるマインド、この2つがあれば大概の困難には立ち向かえます。
そして乗り越えていけます。
これは自信をもって言えます。
あとこれを信じるか信じないか、やるかやらないかはあなたしだいです。
まとめ
成長するには無知の知は必須です。
他人を評価、批判する暇があったら自分を客観的に評価することに注力しましょう。
仕事で成果を出したいのなら、成功したいのならそれが一番の近道です。
自分を一番知っているのも、一番知らないのも自分なのです。
ぜひ無知の知を身につけましょう。