量質転化の法則とは?「一人前になるまでは、とにかくやってみろ!」

働き方改革を持ち出すまでもなく今のご時世、生産性を高めよう、効率を高めよう、質を良くしようということが強く言われています。

確かに効率を高めること、質を高めることは仕事においては大切です。

僕も普段からいかに効率性を上げていくかということを重要視しています。

また過去記事では何度もレセプト業務は時間じゃない、質の高さが本質であり残業は不要との持論を主張してきました。

しかし今回はそれとは真逆の話をします。

つまり「質より量が大切ですよ」という話です。

一体どういうことなのか?

それはぜひ本文をお読みください。

量質転化の法則とは?「一人前になるまでは、とにかくやってみろ!」

 

結論

レセプト業務において一人前になるまでは質より量が大切です。

大前提

最初に言っておきますが今回の話は一人前になるまでの人を対象とします。

では医療事務において、はたして一人前とはどの時点を言うのか?

そしてレセプト業務における一人前とはどのレベルの人を言うのかの定義は人によってさまざまです。

ですが今回の場合は、おおよそ経験年数1、2年ぐらいまでとしておきます。

量質転化

量質転化の法則

量質転化の法則とは次のように定義されます。

量的な変化が質的な変化をもたらし、また質的な変化が量的な変化をもたらす。

簡単に言えば

量をこなすにつれて、質が上がっていく。

 

質が上がれば、量をこなせるようになっていく。

という意味です。

ですので仕事においても最初は重視すべきは質より量ということです。

レセプト業務の質と量

そもそも新人でいきなり質の高いレセプト点検なんてできるはずがありません。

まずレセプト点検のポイントがわからない。

保険も大事、負担金も大事、請求内容も大事、コメントや症状詳記も大事、とどこも重要ポイントにうつります。

確かにすべて重要です。

ですがだからといってすべて同じ割合でチェックしていたらいくら時間があっても足りません。

そこは当然メリハリの効いた点検スタイルが求められます。

しかしそれを習得する技術なんてないのです。

たとえ人に教えられても、自分で経験して覚えていかないことには身につきません。

ですので「量質転化の法則」となるのです。

とにかく最初は量をこなして経験値を積むしかないのです。

努力の質を高めようとしたら、最初は圧倒的な量をこなすことが必要です。

本来レセプト点検というものは延々と時間をかけて行うものでもなければ、かけた時間に比例して精度が高まるようなものでもありません。

かえってありあまる時間によりパーキンソンの法則にはまってしまうことさえあります。

医事課の生産性とは? 【パーキンソンの法則】

ですのでレセプトの精度を上げるためには、逆に点検時間を減らすことだって視野に入れてもいいほどです。

つまりレセプト点検の肝はその質にあります。

ですがそれはあくまでビキナークラスを卒業したレベルからの話です。

そこに至るまでは圧倒的に量をこなすことをおススメします。

というか量をこなすしかレベルアップの手段はありません。

そうして量を質に転化していくのです。

今でこそ効率至上主義、レセプト残業不要論者の僕ですが新人の頃はとりあえず量をこなしていました。

要領とか効率とかは一切無視です。

とりあえずかたっぱしから見ていく、それのみです。

ですがさすがに最初の数ヶ月はチンプンカンプンでした。

すべてが断片的ですべてがバラバラの点にすぎません。

ですので毎月わからない部分が出てきます。

2次点検に回せば、はじめての指摘事項が大量に返ってくるということの繰り返しです。

そしてそもそも指摘事項の意味すらわからないので聞きにいくのですが、その説明さえもよくわかりません。

2次点検者は経験10年以上のベテランです。

当然であるかのような知識と専門用語、知ってて当然よ的な指摘内容のオンパレードです。

ですが僕にはさっぱりわからない。

残念ながらその状況を劇的に解消するすべなんてないのです。

量をこなし経験値を積むことによって、だんだんと話している内容も理解できていきます。

そしてどこを重点的に見るべきなのか、どこに注意すべきなのかが見えてくるのです。

ある時点で急激に断片的だった点の数々がつながりはじめます。

そしてそれらが線となりはじめた時、レセプト点検の本質がわかってき、また興味もわいてくるのです。

だからそこまでは圧倒的に量をこなすべきなのです。

ですが途中で挫折してしまう人は、まずそこまでたどり着いていないのです。

線につながるまではとにかく量をこなして続けないとレセプト点検っておもしろみがないです。

おもしろみといってもピンとこないかもしれないので言いかえるとやりがいです。

つまり、レセプトをすることのやりがいがわからないのです。

それがわからないと、その仕事はただしんどいものとしか受けとめられないのです。

ですのでレセプト業務がしんどい、イヤという人はその地点から進んでいないのです。

そこから抜け出すにはまずは経験値なのです。

圧倒的に量をこなす。

最初はそこにつきるのです。

ただこなすだけじゃダメ

量をこなせば質はどんどん上がっていく、これはそのとおりです。

ですがこれには条件があって、必ずフィードバックが必要です。

ただどんどんレセプトを見ていったところで、それでは点検したという事実だけが蓄積されるだけで、そのことを経験値を積むとは言いません。

そこには必ず、学び→吸収→次回に活かす、というフィードバックがないといけません。

一歩進むごとに改善点を見出して、問題を解決しながら量をこなすことが大切です。

2次点検で先月指摘されたことと同じ点を指摘されるようではダメなのです。

それではその点の内容を自分のものとして消化できていないということです。

そこには自分なりの吸収、整理がきちんとなされていなければいけないのです。

スピードも必要

「最初は圧倒的に量をこなせ、となるとビギナークラスだととんでもなく時間がかかるんですが」という人がいるかもしれません。

ですがそれは本質からずれています。

前述したパーキンソンの法則とかぶりますが、レセプト点検は時間をかけてやるものという考えは捨てるべきです。

これは新人、中堅、ベテランのすべてに言えますが、レセプト点検は時間をかけて行うものと認識している人は多いです。

というかほぼそうなんじゃないでしょうか。

これは完全にレセプトバイアスです。

つまり、レセプトは時間をかけた方が精度が高いものに仕上がるというバイアスです。

これは完全に間違いです。

そしてこれは私の意見ではなく結果として出ている事実です。

レセプトの点検時間と査定率には何の相関もありません。

むしろ時間をかけている方が精度が落ちています。

なぜか?

それは長い時間の中、低い集中力で見ているからです。

そして自分は十分にレセを見たという満足感だけで仕事をしているからです。

そこにはスピードも質も両方高めていこうという意識もなければ、前月よりも高いアウトプットを出そうという意識もありません。

そこに自分の伸びしろを見つけようという気持ちは薄いのです。

それを改善するために絶対必要なのが「タイムリミット」です。

それも余裕のリミットではなくて、高い集中力が発揮できるギリギリのリミットです。

言い方をかえれば、スピードを意識せざるをえないリミット設定にしてしまうということです。

これは明確に線を引くべきです。

そのために必要なことは数値設定です。

レセプト点検をしている人で、自分のレセプト1枚当たりの平均点検時間を認識している人ってどれぐらいいるのでしょうか。

これは必ず出すべきです。

でないと明確な線なんて引けませんので。

まだまだなんとなくでレセプトを見ている人は多いはずです。

通常業務をしながら見ている人も、レセプト専業で見ている人も、スピードはあまり重視していないのではないでしょうか。

それよりもとにかく精度が一番大事と思って時間をかけている人が圧倒的に多いと思います。

何度も言いますがそれは単なる思い込みなのです。

まとめ

 

レセプト業務のビギナークラスはまずは質より量です。

質を考えるのはその先で十分です。

そして量重視でも質重視でも、スピードの意識を持つことが大切です。

レセプト業務で精度、スピードの両方を高めていくことは十分可能です。

できないという人はやろうとしていないだけです。

ぜひ挑戦してください。

あなたのマインドひとつでレセプト業務はガラッと変わるはずです。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。