以前にいくつか医療事務と給料についての記事を書きました。


そこでのキーワードは市場価値、役職、転職、業界の生産性、スキルといったものでした。
そしてそこでの結論はかなり厳しいものになりました。
これを読んだ人は思ったはずです。
「やっぱり医療事務は安月給なんだ」と。
でもそこで考えるのをやめてしまったらそこまでです。
大事なのはだったらどうすればいいのかをよく考え、行動に移していくことです。
今回は将来的に医療事務で給料を上げるためにはどうしていくべきなのか?
どう考えていけばいいのか?という点にフォーカスします。
10年後もきっとまだ医療事務をやっているという人、そして給料を上げたいなと思っている人はぜひお読みください。
目次
将来の勝ち組医療事務員になる方法【給料が上がる人、上がらない人】
結論
給料を上げるために必要なことは、未来予測と逆バリです。
原理原則
今回の結論のもとはすごく簡単な原理原則にもとづいています。
つまり給料は需要と供給で決まるということです。
ですので給料を上げるという一点だけを考えるのならば、「需要は多いが供給が足りない分野」で働けばいいのです。
そのために必要なことは未来予測ができる能力と逆バリができる決断力、行動力なのです。
以前の記事で次のようなことを書きました。
将来的に医療事務の求人は2極化していきます。
・一般的な医療事務人材を低い給料で募集
・医療事務をベースにさまざまな付加価値を創造したり、病院経営の向上に寄与できるスキルのある人材を相応の給料で募集
これはすなわち後者が未来予測と逆バリができる人の結果、前者ができない人の結果です。
将来どちらの道を選択するのかはそれぞれの考え方、価値観によって変わります。
しかし、やはり経済的にも精神的にも後者の道を目指すべきです。
未来予測
医療事務の未来予測については以前に書きました。


ここで大事なことは未来を予測すること。
そしてさらに、その未来で必要なスキル、能力とは何なのかを考え準備することです。
要は先読み力と準備する行動力が重要ってことです。
この先確実に必要になってくるのがこの先読み力です。
将来的にどの分野が「需要は多いが供給は少ない」状況になるのかの考察がとても大事です。
逆にいえば、今の時点で医療事務に必要なスキルといわれているものの習得に全力を注ぐというやり方はいい方法とはいえません。
なぜなら、そのようなスキルは医療事務員であれば誰もが習得を目指すスキルであり、一定の供給量に達しているからです。
ですのでその部分の市場価値はもうこれ以上上がらないのです。
つまり給料は上がらないんです。
ここで以前述べた話に戻りますが、そもそも医療事務はそんなに給料が上がる職種ではありません。
それはこの市場の生産性が高くないからです。
もっと簡単にいえば病院が儲かっていないからです。
ここ数回の診療報酬改定における改定率はすべてマイナス改定です。
診療報酬による病院経営の補填という部分は薄れ、医療費削減への政策誘導ばかりが目立つ診療報酬改定の傾向が年々強まっています。
そうした中、全体の約半分の医療機関が赤字経営だと言われています。
公立病院においては繰入金を除けばその9割が赤字です。
さらに労働集約型産業であり、また人件費率が50%を超えている病院経営において一人の医療事務員にはたしてどれくらの給料が出せるか?と考えれば、やはりそんなに多くできるはずがないのです。
そしてまた「医療事務自体が何かを生み出しているわけではない」という見方をする経営陣の病院であれば、医療事務の給料はできる限り低く抑えようと考えても不思議ではないのです。
僕たちはそんな業界にいるのです。
多くの医療事務員の人が思い違いをしている部分がこの点です。
自分の給料を上げるためにはどうしたらいいか、何を頑張ったらいいかという個人的な視点、目標は意味がないのです。
給料を上げるためには病院としての利益を増やしていくほかないのです。
そしてそのために必要なことは集患なのです。
患者をいかに集めるか?
もう突き詰めればこの一点に尽きます。
だから「自分はこれだけ頑張っているのになぜちっとも給料があがらないんだ」という嘆きもズレているのです。
今自分が担当している業務をいくら頑張ったところで、病院全体として高い成果が出ていなければいつまでたっても給料は上がりっこないのです。
逆バリ
いくら自分の担当している業務を頑張ったところで給料は上がらない。
だったらそんな全力を出さず適当に流していても給料は同じ。
そう考える人が出てきてもおかしくありません。
現にそういう人もいます。
いかに手を抜くか、いかに楽に儲けるか。
案外そんな人たちは多いです。
そしてその人たちには一体何が足りないのかいえば、前述した未来予測、先読みの力と逆バリの思考です。
需要と供給の関係でいくと医療事務で給料を上げるために必要なことは希少性と貴重性です。
要はどれくらい付加価値があるかってことです。
ただ単に医療事務ができますという何の付加価値もない状態では給料は上がらなくて当然です。
「いや私はレセプト業務を10年しています」「診療報酬改定を5回以上経験しています」という人でも、そんなのは付加価値とはいいません。
そんな人は全国にごまんといます。
全然希少性も貴重性もないのです。
ですが医療事務でスキル向上、自己研鑽といえばみんなこぞってレセプトスキル、保険請求ノウハウの向上を目指します。
これはこれで立派なことです。
ですがこれでは給料は上がりません。
なぜなら、それはみんなが目指すことだから。
希少性、貴重性を求めていこうとするのならば必要なことは、みんなが目指していない分野のスキルの習得です。
つまり逆バリです。
ですが本流がわかっていてこその逆バリなのです。
ここで大切なことが未来予測の力です。
この先の医療事務の仕事像を予測し、そして将来的に需要が大きくなる分野を選定、選択することが必要なのです。
しかしここはある意味リスクであったりもします。
なぜならそれはあくまで予測であり絶対ではないからです。
予測どおりにいくことの方が少ないかもしれません。
僕の予測では10年後にレセプト業務はほぼなくなっています。
レセプトに割くマンパワーのリソースは、今の比ではないくらい縮小しているはずです。
ですがこれもあくまで勝手な予測なので、10年後でも今と大して変わらんという状況かもしれません。
ですが僕はそう仮定して、そこから自分なりに導き出した答えから逆算して今行動しています。
誤解を生む言い方かもしれませんが、レセプト業務を昔ほど重要視していません。
医療に精通している、診療内容を十分理解しているということはもちろん大事なことではあります。
でもこれが病院経営の改善につながっていなければ、それは医療事務員の単なる自己満足であり効率の悪い働き方です。
要はリソースの使いどころの問題です。
これからの医療事務員はもっと病院経営という視点を強く意識しなければいけません。
与えられた仕事をこなすという医療事務員には何の付加価値もないわけで、もっと仕事をしないといけないのです。
作業ではなく仕事です。
絶対必要なのはクリエィティビティです。
「医療事務は何かを生み出すわけではないから給料が低い」
この認識は間違っていますが100歩譲ってこのとおりだったとしたら「何かを生み出す医療事務は価値が高い」ってことです。
多くの人が医療事務員像を固定化しすぎています。
レセプト、保険請求、接遇、ホスピタリティ、コミュニケーションetc。
それらはあくまでこれまでの医療事務員像です。
10年前と現在とではやってる仕事は本質的には変わっていません。
まあだんだんとテクノロジーが進んできたよねってくらいの感じです。
ですがここからの10年は過渡期です。
コンピュータ化の波が一気にやってきます。
そのとき「みんなと同じだから大丈夫」とならないのはわかってもらえるはずです。
みんなと同じだと危ないのです。
これは仕事に関わらず何でもそうで、物事においてまずは逆バリで考えるってことはかなり重要です。
そうしないと人って深く考えないからです。
みんなと同じというのはすごい安心感です。
そしてその時点で思考停止です。
その先を考えることをやめてしまいます。
こうなると間違っていることでも安心感を優先し、周りに従ってしまうということが起こります。
それを避けるためには、まずは逆バリで考えるというクセをつけておくことです。
たとえそれが間違っていてもやるべきです。
大事なことは自分のアタマでまずは考えるということ。
周りは関係ない、自分の意見を持つということが大切です。
医療事務の給料を上げたいと思うのならば、それこそ自分独自の思考を持つことです。
自分の希少性、貴重性を高めたいと考えるのならば他人との差別化は絶対必要です。
そのためには逆バリの思考も絶対必要なのです。
まとめ
未来予測と逆バリの視点でいくと僕のおすすめは掛け合わせの医療事務です。
医療事務のスキルと他分野のスキルが掛け合わさると圧倒的な希少性、貴重性となります。
ですのであと必要なのはどの分野を攻めるかということです。
これは自分で分析して判断するほかありません。
もしかしたら将来的にそんなに需要が大きくならない分野かもしれない。
それはリスクです。
ですがリスクをとらない人に成功なんて来ません。
逆バリのリスクをとるからこそ、将来的に給料が上がる可能性もあるのです。
選ぶ選ばないは個人の自由です。
ですがこのまま進んでも苦しくなるだけで好転することなんてまずないです。
だったら今自分のこれからの軸をしっかり決めておきましょう。
将来のキャリアプランは明確に持っておかないといけません。
そしてそのための準備は着々と進めていくべきです。