【医事課のホンネ】医療事務の経験年数。何年あれば経験者?

医療事務は経験者が有利と言われている職種です。

医療事務求人では経験者優遇という文字をよく見かけます。

それならばその経験者とは、どれくらいの経験年数を指しているのでしょうか?

そして経験者は本当に有利なのでしょうか?

この記事は今後転職を視野に入れている人、またはこれから医療事務の仕事に就こうと考えている人に向けて書いていきます。

最後まで読めば「医療事務の経験者」という言葉の本当の意味がわかるはずです。

【医事課のホンネ】医療事務の経験年数。何年あれば経験者?

結論

 

年数だけでは判断できません。

医療事務の経験者とは?

医療事務は資格よりも経験が重視されるとは、よく聞くセリフです。

しかしこれはかなりぼやけた言い回しです。

資格って一体どの資格のこと?経験ってどの業務の経験?というところが、何も示されていないのです。

そしてまた経験者という言葉の定義が、非常にあいまいです。

もし仮に病院の人事担当者にこの定義の説明を求めれば、10人が10通りの答えを返してきます。

なぜならこれは、病院のその時の医事課の状況に左右されるものだからです。

実際その時点でどんな人材を求めているかで、その評価はまるで違ってくるからです。

たとえば、レセプト要員を探しているのに受付歴5年の人が応募してきても、それは経験者優遇には該当しません。

あるいはDPC病棟の担当者を探しているのに、外来レセプトしか経験がない人が応募してきても、それもまた本来求めている経験者には当たりません。

というわけで経験者を定義するのに、経験年数で一律区切るということはできないのです。

そして実際「経験者優遇」という条件にバッチリ合う人材になんて、めったに出会いません。

ほとんどの場合は医療事務という大きなくくりの中の経験者なだけであって、厳密な経験者ではないのです。

だから経験年数はあまり参考になりません。

経験年数にプラスして何の実務を経験してきたかが重要なのです。

医療事務経験者が優遇されるワケ

経験年数だけでは参考にならないといっても、まったくの未経験者よりは少しでも実務経験がある人の方がいい。

そう思う採用担当者は多いです。

こうなる1番の理由は、育てる時間が短縮できるからです。

未経験から医療事務を始めようとすると、最初は覚えることばかりです。

これは教わる側も大変ですが、教える側はもっと大変です。

現場はつねにカツカツの人数で回っています。

自分の業務を行いながら、まったくの初心者にイチから教えるのにはかなりの労力を必要とします。

ですので現場が最もキツイのは、まったくの未経験者が入ってきた時です。

病院の流れもわからない、保険のしくみも知らない人を放り込まれても「悠長にOJTなんかしてられねえよ」ってなるのです。

それならまがりなりにも半年、1年でも経験がある人の方がよっぽどまし、というわけです。

育てる時間が短縮できる、これはすごいメリットなのです。

だから医療事務経験者が優遇されるのは当たり前の話です。

医療事務経験者のデメリット

だったらやっぱり医療事務経験はあるに越したことがないという結論になりがちですし、現にその意見が多数派です。

しかし必ずしもそうではありません。

経験者だからこそのデメリットというのがあります。

そのデメリットとは、これまでの自分のやり方を変えられない、ということです。

つまり、それまでの学びが足かせになる可能性があるってことです。

最初はビギナーの人も、それなりに経験を積めば自信をつけてきます。

そしてその繰り返しによって自分の中に仕事への信念、プライドが築かれます。

これはとても良いことです。

ですが問題はこの先です。

ある程度経験を積んだ人は次の2パターンに分かれます。

①スキルと経験があり、柔軟な考えを持つ人

 

②スキルと経験があり、固定化した考えを持つ人

この場合転職して上手くいく割合が高いのが①の人で、上手くいかない割合が高い人が②の人です。

そして割合でいくと②の人の方が圧倒的に多いです。

経験を積んだ結果、信念とプライドがあまりに肥大化してしまうと、それは学びにとっては足かせでしかなくなるのです。

「前の病院ではこうしていました」

「こんなところまではやっていませんでしたが」

「この病名でレセプトは通していました」

そういう発言を平気でしてしまうことになります。

これは今までのやり方を否定されることが、今までの自分を否定されているように受け取ってしまっているのです。

それはまったく違うことなのに。

つまり経験と信念が強すぎると、過去のやり方を捨て新しいやり方を取り入れるというマインドがなくなるのです。

これは経験年数が長ければ長いほどその傾向が強くなります。

だから医療事務経験者というのはメリットであると同時にデメリットでもあるのです。

逆にいえばそのデメリットの部分が未経験者にとってはメリットとなります。

医療事務では時として、新卒で入職したり他業種から転職した人の方が経験者より成長が早くなる場合があります。

なぜそうなるのかといえば、その人たちはゼロから医療事務を始めるので、なんとしてもスキルを習得しなければならない、経験を積まなければならないという意識が強いからです。

つまり学ぶことに貪欲なのです。

そしてその姿勢こそが医療事務というつねに変化し、臨機応変さが求められる職種には不可欠なのです。

その学ぶことへの貪欲さがない医療事務経験者では、経験者のアドバンテージなんてあってないようなものなのです。

経験者には経験者なりのデメリットがある。

それは認識しておくべきです。

まとめ

医療事務は何年で経験者と呼ぶのか?

繰り返しになりますが、それは年数だけでは答えられません。

実際にどんな業務をどれくらい積み上げてきたのか。

そのスキルと経験、そこにプラス仕事へのマインド、この3つが及第点に達していなければ真の経験者とは呼べないでしょう。

ですので医療事務の経験年数にこだわってみても、あまり意味がないのです。

年数抜きでも経験者と胸を張れる医療事務員をぜひ目指しましょう。

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