レセプト業務にプライドを持ってはいけない2つの理由

仕事に対してプライドを持つことは、良い場合と悪い場合があります。

一概にどちらが正解とは言い切れません。

ですがレセプト業務においては言い切れます。

「プライドなんか持っちゃいけない」と。

ですが「むしろレセプト業務にこそプライドを持っておくべきなのでは」と感じている人もいるのではないでしょうか。

今回はその人たちに向けて書きます。

なぜレセプト業務にプライドを持ってはいけないのか?

その理由を知ることで、プライドがどれほど仕事の障害になっているかを知りましょう。

最後まで読み進めれば、レセプト業務にプライドを持ってはいけない理由がわかるはずです。

レセプト業務にプライドを持ってはいけない2つの理由

 

結論

 

そのプライドがあなたの成長と生産性を落とさせています。

レセプト業務にプライドを持ってはいけない理由

理由その① 成長しない

プライドとスキル

病院の収入が診療報酬請求によって成り立っている以上、保険請求業務、すなわちレセプト業務は超重要です。

それは確かです。

そしてそのレセプト業務に携わる医療事務員のレベルしだいで、病院収入は大きく変動する。

それも確かです。

だからレセプト担当者はそれ相応の高いレセプトスキルを有しており、レセプト業務は医事課のエース業務である。

このような言い回しはよく聞きます。

ですがこれは違います。

しかしながら、多くのレセプト担当者はそう思っているふしがあります。

そしてその経験が長ければ長いほど、総じてレセプト業務に高いプライドを持っています。

これは別にその人たちを批判しているわけではありません。

自分の仕事にプライドもモチベも何もない人に比べれば、よっぽど優秀です。

ですがそのプライドは何の役にも立たないということは、認識しておく必要があります。

もっといえば、あなたのレセプトスキルは現状のままで、いつまで通用するのかを知っておく必要があるということです。

レセプトスキルの昔と今

レセプトスキルはどうやったら伸ばせるかといえばそれは経験です。

場数を踏んで吸収していくしかありません。

点数表を読み込むことはもちろん重要ですが、それだとインプットだけで終わります。

仕事はアウトプットしてなんぼです。

そのためにはいろんなケースを経験し、経験値を貯めていく必要があります。

昔は歩く点数表みたいな人がゴロゴロいました。

もうレセプトを見続けて数十年とかいう人です。

その人と自分との圧倒的な差が何から生まれるかというとそれは経験でした。

その人は経験を踏まえた上で点数表を読み込んでいるので、自在にアウトプットできるのです。

点数表の文字と自分の過去の経験がリンクしているからこそ、記憶として残っているのです。

最初は本当に驚いたものです。

よくそこまで知っているなあと。

でも今となってはわかります。

経験したから身についているだけであって、別に覚えようとして覚えているわけではないのだと。

そしてそれは逆にいえば、自分の経験してきた所に関してだけ詳しいのです。

要は自分の病院の施設基準については詳しく、自分の病院の手術手技には詳しいのです。

なぜ詳しいか、それは経験してきたから。

ただその一点です。

経験したから知っている、それだけです。

だったら現在でも経験を積めばいい、長くレセを見続ければいい、と思ってしまいがちですがそれは間違いです。

だったら昔と今は何が違うのか。

それは情報化社会の波であり、AI・ICT化への流れです。

昔は確かに歩く点数表の人のアドバンテージは大きかったのです。

例えば点数表にない手術手技の算定方法とか査定の情報とか、それらは知っていなければ本当にわからなかったのです。

だからこそ歩く点数表の人が重宝がられたのです。

豊富な経験に裏打ちされた確かな知識というものを、その人たちが持っていたからです。

しかし今やググればほとんど探せ出せます。

記憶しておく必要性はもうありません。

一人の豊富な経験など比較にならないほどの、膨大な情報にふれることができます。

もうそこには経験から得た知識というアドバンテージはありません。

唯一あるアドバンテージは、レセプト業務がどういうものか知っているという経験だけです。

ですがその経験は3、4年もすれば誰でも得ることができます。

そして最も認識しておかないといけない点は、レセプト業務がいずれなくなるという現実です。

これは憶測ではなく実際そうなります。

なくなるというのは誤解を生む言い方で、正確にはAIに置き換わるということです。

ここは賛否が分かれます。

「そんなのはまだまだ先」

「私は逃げ切れる」

「まだ5年、10年は安泰」

そう思っている人は多いです。

確かにまだ当分は安泰かもしれない。

しかしそこがポイントではないのです。

ポイントは今自分が持っているレセプトスキルを維持することで、やれる仕事は確実に減っていくということです。

そして新たなスキルを身につけようと思わないマインドセットでは、できる仕事はなくなっていくということです。

もしくは、仕事はあっても給料は決して上がらないということです。

これは当たり前の話で、付加価値のないものが高く評価されるわけがないのです。

そして誰でもできるような仕事では、給料は買い叩かれて当然です。

誰でもできる仕事とは、つまり今行っている医療事務の仕事ということです。

今まではレセプト業務は誰でもできる仕事ではないということで、それなりの評価をされてきました。

ですが今後は、レセプトスキルが高いというメリットがそんなに活かされない時代へと入っていきます。

僕は何もレセプトスキルを否定しているわけではなく、それ一本でやっていくには厳しいと言っているのです。

診療報酬に詳しい、あらゆる請求に詳しい、診療内容に詳しい。

それは素晴らしいスキルです。

ですがレセプト業務にその力が100%発揮できるかといえば、もうそんな状況ではなくなってきているのです。

そのスキルはもっと他の何かに使えるはずだし、その活かし方を考える岐路に僕たちは立たされているのです。

そういう意識を持てるのかどうか、問題はそこなのです。

レセプトへのプライドが成長を妨げているのです。

理由その② 生産性が落ちる

レセプト担当者にはレセプトは重要、きちんと時間をかけるべき、何をもっても最優先というある種のレセプト信仰といえるものが根強く残っています。

そして担当者は自分の仕事にプライドを持ってのぞんでいる。

それは一見するととてもいいことのようにも思えます。

ですがそれは行きすぎるとただの固執になってしまいます。

レセプト依存といってもいいでしょう。

要するにレセプト至上主義です。

レセプトのためなら残業もやむをえない。

レセプトをしないといけないから他の仕事はできない。

レセプトを長年見ているからそれなりのスキルは身についている。

そういう考えは極度のレセプト依存症です。

その人たちは周りが見えていません。

確かにレセプト業務は大事ですが、それは医事業務の一つに過ぎません。

別にあなたがレセを見ているから、病院が回っているわけではないのです。

そんなたいそうなものではない。

そんなに自負するもの、気負うものでもないのです。

例えばなんですが、もし仮に自分の点検がノーチェックだったとしてどれくらい査定されると思いますか。

個人的な見解ですが、外来レセプトならそんなにひどくならないはずです。

それくらいレセプトチェックツールは優秀です。

使い方を徹底的に詰めればもはや目視点検はいらない、そういう時代です。

入院レセプトではまだそのハードルは高くも感じますが、本質は同じです。

一枚にかける時間が長ければ長いほど、その点検効果は薄れていきます。

つまりレセプトに多大な時間を投入するやり方は、もう時代遅れということです。

仕事とは生産性の視点がないと意味がありません。

そしてレセプトこそが、最も生産性の概念がないといけない業務です。

だからインプットを増やしてアウトプットを増やすという従来の方法ではダメなのです。

インプットを減らしつつ、同じアウトプットもしくはそれ以上のアウトプットを出す方法を模索しなくてはいけません。

そのためにはレセプト業務のプライドが邪魔なのです。

レセプトにはそれ相応の時間をかけるべきという発想を捨てるべきなのです。

そのプライドが仕事の生産性を落とさせているのです。

まとめ

 

繰り返しになりますが、レセプト業務はもちろん大事、でもそこに執着してはいけないということです。

レセプトスキルを身につけることはすばらしいことです。

だったらそこにさらに付加価値をつけていくにはどうすればいいのか、何をすべきか、そこを考えていくべきです。

そして今後、人が行うレセプト業務は縮小していく、それは頭に置いておくべきです。

そこを見すえた上でこれから自分は医療事務のどの分野を強化していくのか、そのビジョンは持っておきましょう。

今担当している仕事に真摯に取り組むことはもちろんですが、その先の二の矢、三の矢は用意しておくべきです。

現状維持で乗り越えられるほどこの先は甘くありません。

レセプト業務の無駄なプライドにこだわっている暇はないのです。

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