以前に「完璧を目指すよりまず終わらせろ」という内容の記事を書きました。

仕事は完璧主義ではなく完了主義を目指せ、という内容です。
とはいっても医療事務は正確性が命の仕事。
早くても雑ならば元も子もない、と感じる人がいても不思議ではありません。
ということで今回は「雑で早い」のと「丁寧で遅い」のはどっちが正義か?論争に決着をつけます。
仕事はスピードと質、どちらが大事なのかを見ていきましょう。
読み終えたあとには、医療事務の仕事の本質って何なのかがきっと見えてくることでしょう。
目次
「雑で早い」VS「丁寧で遅い」【医療事務の正解はどっち?】
結論
正解は「雑で早い」です。
「雑で早い」仕事と「丁寧で遅い」仕事
巧遅拙速
以前のその記事ではマーク・ザッカーバーグ氏の言葉である「Done is better than perfect.」(完璧を目指すよりまず終わらせろ)を紹介しました。
今回は中国の兵法書「孫子」より「巧遅拙速」(こうちせっそく)という言葉を紹介します。
これは「巧遅は拙速に如かず」という言葉で、どんなに上手でも完成まで時間がかかりすぎるよりは、下手でも速い方がいい、という意味です。
要するに「Done is better than perfect.」ということです。
ここで表題に戻るのですが、「雑で早い」と「丁寧で遅い」のはどっちがいいのかといえば、この文脈でいくと「雑で早い」が正解だというのはわかると思います。
ですが本当にそうなのか?断言できる?と疑問に思う人がいても不思議ではありません。
そもそもこの問いでは大事な前提が無視されています。
つまり、雑さ加減、遅さ加減の程度が不明なのです。
いくら早く仕事ができても、とんでもなく雑であればイチからやり直しになるでしょう。
また、遅いといってもその感覚は人それぞれなわけで、どのくらいゆっくりなら遅いとされるかの定義づけがないと一概に早い遅いは言えません。
このあたりの評価基準は、上司がきっちりと事前に示しておかないといけないところです。
とりあえずこの記事では、最低限の定義として次のようにしておきます。
・雑とは7割程度の完成度をいう。一応形にはなっているが、抜け漏れもそれなりにある状態。
・仕事が遅い状態とは、期日ギリギリかもしくは、期日を過ぎている状態。
このように定義するとわかりやすいはずです。
この場合においても、丁寧で遅い方をあなたは選択しますか?
「期日を過ぎるのは論外だが、ギリギリでも期限内であれば丁寧で遅い仕事ぶりでもいいんじゃないか?」
そう思う人がいるかもしれません。
ですがそれだと客観性に欠けます。
それでは自分の視点でしか仕事を見れていません。
そもそも仕事って何に時間をとられるものなのでしょう。
その答えは仕事のやり直しです。
これがあるから仕事って時間がかかるのです。
自分が完璧だと思う仕事ぶりで、そのまま上司や同僚から了承されるのであれば何も問題はありません。
ですがそんな仕事はありえません。
特に医療事務の仕事は正確性、精度が非常に問われる仕事です。
ですので一人で完結してしまう仕事のやり方はとても危ういのです。
それがたとえベテランであっても、自分の目しか通っていないレセプトなんて怖くて出せません。
昔の話ですがこんなことがありました。
当時レセプトを見続けて何十年という大ベテランの担当者がいました。
もう診療報酬でわからなかったらこの人に聞け、と言われるような人です。
そしてその当時一時的に人手不足となり、もうその人の見たレセプトを二次点検しなくてもよくね、というかそんな余裕ねえんだよ、という状況が訪れました。
そしてしばらくの間その人のレセプトは、その人のチェックしか入っていない状態となりました。
この話の流れでだいたいわかると思います。
そうです、あるとき完全に請求もれをしていることがわかりました。
その原因は完全な思い込み、思い違いでした。
それはもう一人違う目が入っていれば防げたミスでした。
そんなみんなが大丈夫だろうと思う人でさえ、間違いは犯すものなのです。
だから医療事務の請求に関しては抜け漏れがないように、入念なチェック体制が必要不可欠です。
ここまで書けば何を言いたいのかわかってもらえるはずです。
「自分の仕事は正確です」というのはあくまで自分の主観なのです。
だから正確性を追い求めることには、あまり意味がないのです。
まして期日ギリギリに上げてこられたところで、もうそれをチェックする時間すらないわけです。
「丁寧で遅い」とは簡単にいえば「仕事が遅い」ただそれだけです。
「丁寧で」という部分には説得力がありません。
仮に本当に自分では完璧と思っている仕事でも、そんなことはありえないということだけは肝に銘じておきましょう。
結局「丁寧で遅い」仕事ぶりにメリットなんてひとつもないのです。
早さは正義
だから「雑で早い」が正解だと言われても、依然として納得がいかない人もいるでしょう。
雑でいいのかと。
適当でいいのかと。
誤解を恐れずにいうと、それでいいのです。
大事なのは早めにフィードバックをもらうことです。
レセプトに関していえば、自分のチェックはとっとと終わらせてさっさと二次点検に回すべきなのです。
なぜならその方が断然レセプトの精度が上げるからです。
先ほども言ったように、自分だけのチェックには限界があります。
バイアスがかかっていたら、何度自分で見直したところで意味がありません。
だって自分は間違ってないと思い込んでいるのですから。
そうではなくて、さっさと自分のすべきことはやり終えてダブルチェックに回すべきです。
トリプルチェックにはほぼ意味はありませんが、ダブルチェックには意味があります。

そしてそのフィードバックはできるだけ前倒しで受ける方がいい。
そうすればやり直しの時間は十分にとれます。
繰り返しになりますが、仕事って何に時間をとられているのかというとそれは仕事のやり直しなのです。
だったらそのやり直す時間を十分にとれる前提で仕事は進めないといけないのです。
ここで定番の反論があります。
「レセプトはとても重要な仕事。そしてすごく高い精度が求められる仕事。少々時間がかかってもそれは丁寧にやるべきではないの?」と。
その質問にはこう答えます。
「なぜ丁寧にすることと、時間がかかることはセットなの?」と。
つねにみんなこう言います。
「きちんとやりたいから」「高い精度を出したいから」と。
そして僕はいつも思うのです。
「スピードを出して、きちんとやればいいのでは?」と。
なぜ丁寧にきちんとやることと、スピードを出すことがいつも真逆のこととしてとらえられているのでしょうか。
そこが不思議で仕方ありません。
結局のところ、スピードを出す、出さないは本人のさじ加減です。
できる、できないというテクニック論ではないのです。
やろうとするか、しないかの意識の問題です。
そしてほとんどの人はやりもしないうちから、正確性とスピードは両立しないと決めつけています。
そんな人に伝えておきます。
あなたは自分で意識してようがしてまいが関係なく、間違いなく仕事で手を抜いています。
アクセルを踏めばスピードを上げることはできるのに、そうしていません。
そしてその理由は明快です。
それが楽だから。
ですので正確に丁寧に仕事をしたいからといって、スピードを上げられないという人は全員給料ドロボーです。
あなたは自分のポテンシャルを使い切っていない。
そして多くの担当者たちは、自分のポテンシャルがどれくらいあるのかさえわかっていません。
レセ期間中だから残業は当たり前。
そう思う時点で自分の実力を把握する努力を捨てています。
なぜレセ期間中だったら残業は当たり前なのですか?
なぜ毎回毎回同じように残業しているのですか?
この問いに明確に答えられないのであれば、あなたはもはや何も考えていません。
考えていないものは仕事とは言いません。
それは作業です。
レセプト業務を作業にはしないでください。
きちんと仕事をしましょう。
そして仕事をするのであれば、早さは正義という意味もわかってもらえるのではないでしょうか。
まとめ
今日からはぜひ「雑で早い」仕事を目指しましょう。
でも雑の意味を取り違えないでください。
決して適当なやっつけ仕事ではありませんので。
それは早々にフィードバックをもらうためのスピード感のある仕事を指しています。
そして「雑で早い」を意識していけば、そのうち「丁寧で早い」仕事の方法が見えてきます。
そうなるまでトライアンドエラーを繰り返してください。
丁寧で仕事が早い医療事務員をぜひ目指しましょう。