そのレセプト残業は本当に必要ですか?【医療事務と残業論】

現在レセ期間真っ只中。

連日業務に追われっぱなしという人も多いことでしょう。

さて医療事務において残業は、昔からある切実な問題です。

レセプト残業という言葉が普通にあるように、レセ期間に残業するのは当たり前という風潮はいまだにかなり強いです。

結局のところ個人のマインドセットを変えていかない限り、残業は減っていきません。

しかしながらその行為は非常に難しい。

ですが言い続けることで今すぐには無理でも、少しずつ影響を与え変化させていくことは可能です。

そのためにはやはりなぜ残業をなくそうとしているのか、そしてまたなぜなくならないのか、という根本を理解してもらわなければなりません。

あなたのそのレセプト残業は本当に必要ですか?

実際はやる必要のない残業を、あなたはしている可能性があります。

今回の記事を読むことによって、ぜひそのことにぜひ気づいてもらいたいと思います。

そのレセプト残業は本当に必要ですか?【医療事務と残業論】

結論

 

レセプト残業は必要ありません。

レセプト残業の原因

僕は一貫してレセプト残業不要論者です。

【医療事務のウソ】レセプト残業なんてホントはいらない!

ですがレセ期間の残業は仕方なしという空気はいまだ強く、そう思っている人の方が多数派です。

なぜ昔のままレセプト残業は今も残り続けているのか?

その原因は組織と個人の両方にあります。

そして組織の問題点としては、「上司」や「同調圧力」などが挙げられます。

上司が無能

以前に上司が無能だから残業がなくならないという主旨の記事を書いたことがあります。

そこでは管理職の問題点として、コミュニケーションの問題とマネジメントの問題を挙げました。

基本的に残業問題は、個人レベルと管理職レベルの二軸で考える必要があります。

その中でも管理職レベルの問題は、なかなかに根深いと考え当時記事を書きました。

結局のところ、無能な上司というのは存在します。

ですがそこでも書いたのですが、管理職が長けている能力はリーダーシップ力、マネジメント力、コミュニケーション力、保険請求能力など人によってバラバラです。

そして明らかにコミュニケーション能力、部下のマネジメント能力が劣っているという人というのは実際いるものです。

というわけで、そのもとで働く部下の残業時間が減らないのは至極当たり前の話です。

部下は上司を選べませんので。

つまり何が言いたいのかというと、残業の問題は個人で解決できる部分と解決できない部分があるということです。

そしてすべてを改善していこうというのは無理な話で、自分が取り組めて成果が見込める部分にのみコミットすべきなのです。

そこでは上司や周りの思考や行動を気にする必要は、まったくありません。

チームの問題を担当者個人が解決することなど不可能です。

あなたは一個人として自分のタイムマネジメントに気を配ればいい。

逆にいえば上司が残業容認派であるならば、もう諦めてくださいということです。

残念ですがその上司が替わらないかぎり、そのチームから残業がなくなることはありません。

同調圧力

職場の空気感、これは非常に大きな影響を及ぼします。

特に上司の働き方は強く影響を与えます。

上司が残業を良しとしていて、みずからも残業をいとわない人である場合、その職場は全体的に残業しがちな職場となります。

逆に上司が残業はしないという思いが強ければ、職場全体が残業しない方向へ進みやすいです。

そしてえてして僕より上の年代の人は残業を良しとはせずとも、悪しきものという見方もしていないという人が割と多いです。

そこには自分の過去の経験を重ね合わせて見る傾向が強いです。

「毎晩夜遅くまでレセを見ていたなあ」

「あのときの経験が自分を成長させた」

という思いが美化された成功体験として残り、もうその呪縛からは逃れられないのです。

ということで時代は違えど、やり方は違えどレセ業務には残業があるもの、必要なものという認識を刷り込まれています。

このような場合その部下はたまったものではありません。

要するに上司が残っているから帰りにくいという状況がそこから生まれます。

この状況は別に誰も気にせず帰っていけば何の問題もありません。

ですが一人でもその状況に躊躇し帰らない部下が出てくると、それを感じとった他の人もまた残るという同調圧力と化していきます。

そしてそれはもはや同調圧力に屈して残っているだけという、まるで仕事とは関係のない状況を生んでいきます。

これの怖いところは、当人は同調圧力に屈しているとは強く認識していないところにあります。

帰りにくいなという思いは持ってはいるのでしょう。

しかし、それを上回る理由づけを自分で行います。

「自分としては予定のところまでは進んでいる。でも先輩達はまだ残っている。ということは自分でできていると思っているだけで、全然できていないのかもしれない。それならもう一度見直そう」

「ベテランの人がまだ続けるということは、自分が定時に帰りそれでレセが見れていないとなれば、何のいいわけもできなくなる。少なくともベテランの人が続けている限り自分も残ってやらなきゃダメだ」

これは日本社会の組織に所属する人たちが抱く悪しきマインドです。

僕たちは非常に序列を気にします。

組織とは完全なる縦の関係です。

伝統的に年功的な性格が強く、組織というコミュニティ内での経験値がモノをいうところです。

特に医療事務においては、完全なる経験値の世界です。

簡単にいえば、レセプト業務を何年してきたかで序列が決まります。

レセプト経験2年目より10年目の方が圧倒的に上位です。

その中で「10年目の人が残業をしているのに、2年目の人がおいそれと定時に帰るわけにはいかない」と多くの人は思っているわけです。

そんな気づかいは何の意味もないことなのに。

何の意味もないことなのにそういう行動をとってしまう、それが同調圧力の恐ろしさです。

そう思うとすべての発端はそこの上司にあります。

上司が残業容認派なのと残業否定派ではそこの職場は正反対の組織になってしまうということです。

そしてその職場の同調圧力の空気を壊すことは個人では不可能です。

これはもう、どうしようもないことなのです。

個人レベルのマインドセット

組織の問題はもうどうにもできませんので、放っておきましょう。

ですが個人の問題はあなたしだいです。

改善する余地は十分あります。

ということであなたに質問なのですが、なぜ残業をするのですか?

レセ期間中の担当者にこの質問を投げれば「はあ?」という反応が返ってくるでしょう。

もしくは「現場のことを何もわかっていない」と判断されるかもしれません。

そういう反応になるぐらい担当者は麻痺しています。

何にか?

レセプト残業自体にです。

もうこれは昔から続く固定化されたマインドセットです。

それは昔の紙レセの時代ならまだ許されたマインドセットだったかもしれない。

でもやり方も考え方も昔から変化してきて今があるのに、なぜマインドセットだけは固定化されているのでしょうか。

つまりそこには、誰もが抱く医療事務像があるということです。

レセプト業務はこうあるべし、みたいな思い込みが存在しています。

それがベストな方法ならそれでいいんです。

ですが誰も違う方法を試さない。

スピードアップを目指さない。

精度とスピードは両立する、というのが僕のレセプト業務論です。

むしろ査定率に大して影響しないのであれば、スピードはどんどん上げていくべきです。

レセプトの生産性を上げる方法はそれしかない。

時間をかければかけるほど、生産性は落ちていく。

でもそもそも担当者に生産性の概念はありません。

時間をかけてしっかり見ていくのがレセプト。

おおむねその理解で統一されています。

でもそこが違うのです。

あらゆる削れる時間は削って、できる限り見る手間を省き、定時帰りの中、行うのがこれからのレセプト業務です。

そこに必要なのは深い知識でも高いスキルでもなく、レセプト業務に残業は不要というマインドセットを持つことです。

この話を現場のことをわかっていない上司が言う理想論と捉えるか、そうではないと捉えるか、そこが分かれ目です。

やってはいけないウソ残業

ウソ残業とは文字通りウソの残業です。

つまり、やる必要のない残業ってことです。

これはレセ期間である、ないに問わず発生してくる問題です。

要するに「お金のためにやってるんじゃないの?」「時間調整のためにやってるんじゃないの?」と見えてしまう残業ってことです。

もしかしたら本人は本当に頑張って必死に残業しているのかもしれない。

でも本当に頑張ってやっていて残業しているならば、段取りが悪すぎます。

「時間内にもっと効率的にできる部分があったんじゃないか?」

そんな振り返りがそこにはあるのでしょうか?

僕にはどう見ても行き当たりばったりにしか見えません。

結局残業仕方なしというマインドセットがあるから、そうなっているのではないでしょうか?

あと意図的に残業している人にも一点言っておきます。

いわゆる生活残業している人ですね。

その人たちはこう言うかもしれません。

「医療事務の基本給だけじゃ生活が苦しい。言うても数時間の残業。毎月少しくらいの残業代があってもいいじゃないか。」と。

これは給料の捉え方がそもそも間違っています。

今より多くの給料を貰おうとするならば、積み上げるべきはあなたの付加価値です。

残業時間を積み上げている場合じゃない。

それは余計にあなたの評価を下げる行為です。

目先の1万円を追うばかりに、将来の3万円を捨てているのと同じです。

たとえば、残業をなくしたことで今までより1万円給料が減ったとします。

しかし残業しなくなったことにより早く帰れるようになり、毎日1時間の学習時間が確保できました。

それにより新たな資格を取得しました、新たなスキルを身につけました。

その結果、資格手当がプラスされました、役職手当がプラスされました、となればどうでしょう。

この先2年間はマイナス1万円だったとしても、その後はプラス3万円に転じることは十分可能ってことです。

しかしこの先もずっと残業を続けていくならば、給料はいつまで経ってもプラス1万円のままです。

それだけならまだいいですが、いつまで経っても残業が減らないあなたの評価はずっと落ち続けます。

評価も給料も一向に上がらない医療事務員に成り下がってしまうのです。

ここで1番大事なのは仕事の生産性です。

その概念がない人が仕事で評価されることはありません。

そして生産性を高めようとするならば

いかに少ないインプットで、より多くのアウトプットを出すか

これが最重要です。

レセプトに置き換えるならば、いかに少ない点検時間でどれだけ査定されないレセプトを作成するか、ということです。

だったらウソ残業なんてやっている場合ではありません。

レセ期間だろうと時間内で終わらす。

その気概がないと話にならないのです。

まとめ

 

今回の内容はまったく刺さらない人もたくさんいるはずです。

理想論を長々語ってんじゃねえと。

無理なものは無理なんだと。

ですが認識していてほしいことが一つあります。

今のままの仕事のやり方はいずれなくなります。

それは遠い未来のことでもなくなってきています。

そして大事なことはそうなったとき、生産性を上げる努力をしてこなかった人は淘汰されるということです。

やはり高めておくべきは市場価値です。

そこを意識せず仕事をしているのであれば、それはとても危険です。

もし自院の医事課では自分が一番レセプトが見れると思っている人がいるのであれば、そういう人こそ外に目を向けてください。

あなたは全然大したことはない。

上には上がいる。

だったら今よりもっと生産性を上げていかないといけない。

前月の点検時間からさらに短縮できるか、そういった意識づけが大事です。

あなたの仕事のマインドセットをぜひ変えてください。

やらないでいいわけはやめましょう。

まずは行動すること。

すべてはそこからです。

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