昔、次のような内容がツイートされていました。
「医事課長がレセプトできない。診療情報管理課長は診療情報管理士を持ってない。だったらあなた達、何ができるの?」
口には出さないけれど、こう思っている人って多いはずです。
あなたも本当はそう感じているのではないですか?
実は僕も若い頃は同じことを思っていました。
でもそれは誤った考えでした。
どこが誤っているのか?その点を説明します。
ぜひプレイヤーとマネージャーの違いを認識してください。
そして仕事における各ポジションの役割を理解できるようになりましょう。
目次
レセプトができない医事課長って何がダメなの?【プレイヤーとマネージャー】
結論
レセプトができない医事課長は、何の問題でもありません。
レセプトができない医事課長
これから話すことはその人の立場、視点しだいで捉え方は180度変わります。
それはプレイヤーかマネージャーかという話です。
本来医事課長は管理職であり、一般的な区分けでいきますとマネージャーにあたります。
ですが現代の法人、企業の組織において、100%マネージャーという立場はそうそうありません。
そこには必ずプレイヤーの要素が多少たりとも入っているもので、プレイングマネージャーもしくはマネージングプレイヤーという人が大部分です。
そしてそのプレイヤーとマネージャーの比率こそが重要なポイントとなります。
医事課における管理職では、そのプレイヤー比率は非常に高いものだといえます。
多くの医事課長、係長クラスが現場の業務も兼任しているパターンは非常に多いです。
そのことはさも当然であるかのように、部下もそして本人も思っています。
ですが本当にそうなのでしょうか?
いいえ、それは違います。
このような働き方は、本当は避けるべきことです。
本来管理職はもっとマネージャーの仕事をしなければいけません。
管理職はマネージメントをするがゆえの管理職なのです。
でもそうはなっていません。
そして部下から見た場合、そんな上司はいらないのです。
要するに現場を知らない、手伝わない上司なんていたところでジャマ、ムダということです。
そう感じるからこそ冒頭のツイートになるわけです。
医事課課長がレセプトできない。診療情報管理課長は診療情報管理士を持ってない。だったらあなた達、何ができるの?
この発信者の方には悪いですが、これは組織をわかっていない人の意見です。
マネージャーにプレイヤーの役割を求めている人の意見です。
私見を言わせてもらうと、医事課長がレセプトできない、診療情報管理課長が診療情報管理士を持っていないことには何の問題もありません。
逆に何が問題なのかが知りたいです。
医業収益を上げることができて、部下の育成ができる上司であれば、レセプトができないことがマイナスだとは思いません。
多くの部下の人たちは上司のとらえ方を誤っています。
つまり管理職は、現場担当者の延長線上にあるポストではないということです。
それとはまったく違う役割を担っています。
実務はあくまで現場レベルで完結させるべきことなのです。
医事課長だから現場担当者よりもレセプトに詳しいなんて幻想です。
というよりもむしろそれはダメなパターンです。
レセプトに一番詳しいのはその担当者でないといけません。
「いやそれはわかる。でもまったくレセプトができない上司ってどうよ?」って思う人も多いはずです。
しかしそれでも同じこと。
レセプトができない上司がいたところで、何の問題もありません。
というかそれが問題だというのであれば、そこの医事課の体制がおかしいのです。
つまり人材育成が失敗している職場なだけだということです。
プレイヤーとマネージャー
自分の上司は医事課の実務経験者上がりか、それとも他部署・他業種からの転属組かどっちがいい?と医事課職員に聞けば間違いなくほとんどの人が実務経験者上がりが良いと言うはずです。
そりゃそうです、そんな医事課の実務経験のない人に来られても現場の負担は減らないし、余計に仕事がしにくくなってしまうと考えます。
僕も昔はそう考えていました。
そして実際、実務のことなどほぼわからない人が上司であった時もありました。
その頃は思ったものです。
この人使えねえ、無能じゃね?って。
でも無知、無能だったのは僕でした。
まさしくプレイヤーとマネージャーの違いを認識できていなかったということです。
ぶっちゃけ、実務経験者上がりであろうと転属組であろうと大差はありません。
どちらもアリです。
そしてどちらにもメリット、デメリットはあります。
「いやいや実務経験者上がりにデメリットなんかないよ」という人、そんなことはないです。
むしろデメリットは結構あります。
それは実務を知ってるがゆえ、医事課を熟知しているがゆえのことです。
つまり医事課の業務とはこんなものだ、実務はこういうものなんだというバイアスが強くかかっているということです。
だから改革しようとする前に、もう無意識に自分でブレーキをかけてしまっている状態なのです。
その最たるものがレセプト残業です。
経験則でいうと、自身が担当者時代にレセプト残業を多く経験したという人こそ、自分が上司になったときにレセプト残業には寛容です。
「まあそれは仕方ないよね」という前提がもう抜けないのです。
ですがまったく医事業務というものを知らない人がやって来たら、「なんでそんなに残らないといけないの?」という素朴な疑問が湧いてきます。
これは「何も知らないやつが好き勝手に言ってくんじゃねえ」という話ではないのです。
その視点はとても重要なのです。
医事課で仕事をしている者であれば当然と思える前提を平気で壊せるぐらいでないと、医事課改革なんて夢のまた夢です。
レセプト残業がなくなる時代なんてまず来ません。
やはり既存の体質、慣習をぶっ壊すには新しい血は絶対混ぜないといけないのです。
だからむしろ実務経験者上がりじゃない方がいいのかもしれません。
プレイングマネージャーという立場は限られた人しかなりませんので、共感は得にくいのですが最後にひとこと述べておきます。
部下の立場から見たら上司って無能が多いと見えてしまうかもしれません。
しかしそれはマネージャーである上司のプレイヤーの部分だけを見て判断しているにすぎません。
だからそれは正当な評価とはいえません。
本当に無能な上司というのは、マネジメント力が低い上司をいいます。
でもその部分は決して部下からは見えません。
要するにあなたの上司への評価は、まったく逆である場合もありうるということ。
レセプトもできて実務をバリバリこなす上司をデキる上司、理想の上司と見ていたら、まったくマネジメントもできない無能な上司である場合も十分あります。
そして案外そのパターンの割合って高いんじゃないかって思います。
ここは自戒を込めて書いています。
さらに優秀なプレイングマネージャーなんてそうそういない、ということも述べておきます。
そもそもプレイヤーとマネージャーの両立なんて不可能です。
個人としての自分の実績とチーム全体の成果の両方を同時に上げることなんて、できるわけがありません。
だったらどちらを優先するのかといえば、チーム全体の成果となるのは当然の選択です。
しかしその状態を部下が見ると、何もできない上司と映ってしまうのでしょう。
ですがそれだとプレイヤーの評価しかしていないのです。
それだと間違った見方しかできません。
極端な話、マネジメントに全振りしている上司がいたってそれはアリなのです。
実務がまったくできない上司であっても、優秀な上司はたくさんいます。
上司の第一優先はマネジメント。
上司はマネージャーだということ。
そこを忘れてはいけません。
まとめ
レセプトができない医事課長は、いて普通です。
そりゃあ、担当者並み、もしくは担当者以上に詳しい人が上司であるに越したことはないですが、それはマストではありません。
それよりも管理職の役割って一体何なのかっていうところをもう一度考えてみましょう。
部下の人はプレイヤー色の強い上司を有能と見ることは避けるべきです。
上司の有能さはそこにはないのです。
また自分が管理職の人はプレイヤーに偏ることは避けるべきだし、そこにやりがいを強く持つことも避けるべきです。
あなたはマネージャーのやりがいを見つけるべき。
みんな管理職を自分の都合の良いように見すぎです。
本来の管理職の役割をバイアスを取り外して見つめ直してみましょう。