昔も今も医療事務は人気資格の1つです。
資格といえば医療事務、医療事務といえば資格というイメージがかなり定着しています。
未経験者が資格を取得して医療事務へ転職、というフレーズはその教材や講座を持っている企業がよく使ううたい文句ですが、現実はそんなに甘くありません。
それを裏づけるかのように医療事務は資格より経験を重視するということも、まことしやかに語られています。
そうなると結局医療事務に資格はいるの、いらないの?ということが、よくわからなくなります。
将来医療事務の職に就きたいと思っている人も、そして現在医療事務員である人も、実際資格って必要なんだろうか?と悩んでいる割合は高いと思います。
ということで今回は、医療事務で資格をとることに意味はあるのか?という疑問点を解決します。
何かこれから資格をとった方がいいのかな、それとも必要ない?と迷っている方はぜひ最後までお読みください。
医療事務における資格取得の意味を知り、これからの働き方を考えてみましょう。
目次
【医療事務】資格取得は意味がない!?得られる3つのメリットと役に立たない2つのケース
結論
資格取得には意味があります。
ただし、それはゴールではなくスタートです。
なぜ医療事務の資格取得は意味がないと言われるのか
端的に結論を言ってしまえば「国家資格ではないから」です。
ありあとあらゆる医療事務の資格はすべてが民間資格です。
ですが中には「診療報酬請求事務能力認定試験」は厚生労働省後援の資格なのでこれを公的資格と呼ぶ人もいますが、れっきとした民間資格です。
医療事務の資格に限らず、診療情報管理士も医療情報技師も医療経営士も施設基準管理士もすべて民間資格です。
ですのでいくらこれらの資格を持っていたとしても、国家資格の有資格者にはなれません。
つまり医療事務は医療機関内において、唯一国家資格の非保持者になるわけです。
よって客観的に自分の能力を証明することはできず、院内ヒエラルキーも下となります。
要するに資格を取得することで受けられる恩恵がないと判断されるいうことです。
そしてまた医療事務は「資格より経験」が重要との認識が、より一層資格取得の意義を薄れさせています。
結局資格なんかなくったって、経験を積んで実力を上げさえすれば何の問題もない、という認識が広まっていることで「医療事務の資格取得は意味がない」という結論に至るのです。
資格を取得することで得られる3つのメリット
資格を取得することで受けられる恩恵がないと判断した人は、当然資格取得などは目指しません。
そんなことは意味がないと思っていますから。
ですがその考えは誤りです。
資格取得のメリットはちゃんとあります。
それは次の3つです。
1.キャリアアップにつながる
2.自己肯定感が上がる
3.給料アップにつながる
1.キャリアアップにつながる
自分の将来像を描き、目標を決め、そこにたどり着くために資格は必要であると判断した上で取得することで、キャリアアップにつなげることができます。
大した理由もなくただやみくもに資格取得を目指すことは避けるべきです。
ですが人生設計の逆算により、今後必要となる知識やスキルの習得のために資格取得を目指すことは非常に理にかなっています。
そのような必要なときに努力ができるスキルを持っていること自体が、昇進やキャリアアップに確実に良い影響を与えます。
2.自己肯定感が上がる
資格取得という行為は自分に自信を与えます。
勉強が苦手という人でも資格を取得することで、「こんな自分でも頑張ればできた」という成功体験を得ることができます。
どんな資格であれ必ずある一定の努力を要しますので、取得できたとなれば自分の自信につながります。
その結果、確実に自己肯定感は上がります。
3.給料アップにつながる
資格を取得して給料が上がるケースというのは2つ考えられます。
まず1つ目は、資格手当がつくケース。
ここは各医療機関によってさまざまですが、診療情報管理士の資格を持っていればプラス1万なんてところもあります。
そこまでの額ではなくても、資格手当を用意している医療機関というのは結構あります。
自院はどうか一度確かめてみてはどうでしょうか。
2つ目は、昇進するケース。
要するに役職手当がつくケースです。
これは資格取得が直接影響するということではありません。
しかし、間接的には影響しています。
つまり、資格取得によって身についた知識やスキルによって、医療事務員としての総合力が上がっているのです。
それによって過去の自分よりも数段レベルアップしているということです。
この場合は資格取得と給料アップにはタイムラグが生じますが、結果的には資格取得が給料アップにつながったということになります。
資格が役に立たない2つのケース
せっかく頑張って取得した資格でも、まったく役に立たない場合というのがあります。
そして実際そうなっている人って案外多いのではないでしょうか。
あなたはそうなってはいませんか?
就職前に取得した医療事務資格だけれど何の役にも立っていない人、診療報酬請求事務能力認定試験の有資格者だけれどレセプト業務をしていない人、診療情報管理士だけれど全然関係ない部署にいる人、そんな人って多いはずです。
ここで大事なことは、先ほども言ったように人生設計の逆算です。
大した理由、目的もなく漠然と資格取得を目指すことはおすすめできません。
資格取得にはそれなりの費用、それなりの時間を要します。
年に1回しか試験がなければ、その1年は資格勉強にかなりのリソースを割くことになります。
でも資格を取ったものの、その後一切そこで学んだ知識、スキルを使う場面が来ないとすれば取った意味って何?ってなってしまいます。
ですので重要なのは、目指す資格の選別です。
確固たる目的もないのに取得を目指すことはただの時間のムダです。
いろんな資格を持っているということは、それだけ勉強を頑張ったという証でもあるのでそれは素晴らしいことには違いありませんが、時間の使い方としてはもったいないです。
やはりある程度の将来像を描いた上で、逆算して今自分に必要な資格が何なのかを考えましょう。
次に、資格が役に立たない2つのケースを挙げておきます。
その2つとは以下の場合です。
1・希少性がない資格、実務につながらない資格
2.取得がゴールとなっている資格
1・希少性がない資格、実務につながらない資格
そもそもなぜ資格取得を目指すのかといえば、専門的な知識やスキルを手にいれるためです。
そして有資格者とはその専門的な知識やスキルを持っている人の証となります。
つまり資格とは周りとの差別化をしてくれるものです。
自分にある種の付加価値を与えてくれる武器ともいえます。
となれば周りとの差別化をはかれない資格では、意味がないということです。
要するに希少性がない資格では取得する意味はないのです。
希少性の定義があいまいですが、少なくとも知識ゼロから始めて2,3ヶ月程度の勉強でいとも簡単に取得できるような資格では武器にはなりえないということ。
もっと突っ込んだことをいえば、レセプトの知識を問うような資格試験を合格したところで、何の希少性もないし何の差別化もできない、ということです。
いまだに薬価の計算をしてレセプトを作成させる試験を普通に行っていますが、もうそんな試験内容は実務に直結していないということに気づくべきです。
いや試験元は気づいているはずです。
レセコン全盛のこの時代に、手書きレセプトのスキルなどほとんど意味のないことを。
その試験に合格したところで、実際に仕事上で薬価を計算してレセプトを手書きする場面など二度と訪れません。
つまりこれは試験に合格するためだけの勉強です。
「いやいや、基礎をわかっておくことは必要で、レセプトを手書きできないようではダメ」という人がいるかもしれません。
でもそんな基礎なら資格を取らなくても座学だけで間に合います。
極端な話、仕事に就いてから勉強しだしても十分間に合います。
なぜそんな実務で使わないスキルを資格試験の問題にするのか?
なぜその問題が解けることが能力の証明になるのか?
そんな資格証を持っていたところで、現場では何の評価もされていないということを認定試験の主催団体は知っているはずです。
だからこれは確信犯です。
本当に有資格者の価値を考えているのであれば、誰にでも取れる資格にはしません。
でないと希少性は担保できませんから。
それをしないということは結局は営利目的に過ぎないということです。
医療事務資格は確認できるだけで30以上あります。
それらすべては取得する意味はありません。
別に趣味で取る分には構いません。
ここでいう意味がないとは、希少性がなく差別化できない資格、実務につながらない資格ということです。
取得のための勉強には十分意味がありますが、資格取得で何が変わるかといえば何も変わらないというのが現実です。
2.取得がゴールとなっている資格
取得のための勉強には十分意味がある、これは確かです。
ですが取得することがゴールではないということは、しっかり認識しておきましょう。
資格って取得することはもちろん大事ですが、もっと大事なことはそれをどう活かすか?ということ。
そういう意味では、まずなぜその資格を選んだのか?目指したのか?という点が明確になっていないといけません。
その意味では前述した人生設計の逆算という話と同じことです。
資格は持っていることがすごいのではありません。
その取得に費やした時間によって、何の知識を手に入れ、どんなスキルを身につけたのか?
そして、それを活かしてどんなアウトプットができるのか?
どんな仕事ができるのか?
そこを問われています。
資格取得はそこがゴールではないのです。
そこがやっとスタートなのです。
資格を取得するということの本質
ここまで進めてきて改めてうかがいます。
資格は意味がないのでしょうか?
ここまでくれば答えはわかると思います。
その答えとは「その質問自体には意味がない」ということです。
なぜなら意味があるか、ないかなんてことは、人によってまったく変わってくるからです。
将来の展望、人生設計の逆算からみて、今資格取得が必要だと考える人には意味があることであって、この先の自分のキャリアにおいてそんなものは必要ないと考えれば、それは意味がないことです。
結局「医療事務」「資格」とググった結果「意味がない」という情報に行き着いて、「ああ、意味がないのか。だったらやめておこう。」と考えるようならばお話にならないのです。
まず直すべきはその思考です。
意味があるのか、ないのかを決めるのはあなた自身。
高学歴な人、難関資格を取得した人って何がすごいのかというと「計画的に努力を継続できる」ことがすごいのです。
だからこそそんな人は、仕事においても緻密で継続して努力できる割合が高いのです。
この努力を継続するということは本当にむずかしいです。
まして働きながらとなると、仕事と両立して資格取得を目指すなんてかなり大変です。
でもだからこそ資格勉強には意味があります。

資格取得を目指すも目指さないも、あなたの自由。
資格に意味を見出すも見い出さないも、あなたの自由。
今自分はどんな将来像を描いているのか?
明確なキャリアプランはあるのか?
その部分は今一度自分にしっかり問うてみてください。
まとめ
社会人になって資格取得を目指すことって本当に大変なことです。
でもそれはとても素晴らしいことです。
たとえ資格試験に落ちたとしても、勉強した時間は無価値ではありません。
勉強時間を確保するための時間管理能力、計画的に持続して勉強できるようになるための習慣化能力、一定時間勉強を続けるための集中力。
これらは決して形として残せるスキルではありませんが、訳のわからない資格証よりかははるかに価値があるものです。
そしてそれらは目には見えなくても、一緒に仕事をしていればすぐにそのスキルの高さに周りは気づきます。
一枚の資格証などでははるかに及ばない高い仕事スキルを身につけることだってありえます。
だからどんどん挑戦してほしいです。
資格を勉強することで手に入るのは、資格そのものだけではないのです。
これは若い人だけに言っているのではありません。
何なら僕と同年代の人たちにも聞いてほしいです。
学ぶことに年齢なんて関係ありません。
何歳であろうと僕たちは学ばなければならない。
いくつになっても貪欲に吸収していく、その気持ちだけは忘れずに持ち続けたいですね!