医療事務の人材育成は失敗している!?【保留と放置と置換】

医療事務は離職率が高い職種です。

離職率が高いということは、それだけ人は育っていないということです。

これは育てる側の問題なのか、それとも育てられる側の問題なのか?

どちらにせよ、多くの医療事務の人材育成は上手くいっているとは言い難いでしょう。

年代が均等に分かれている職場の方が少ないと思います。

あなたの職場は上手くベテラン、中堅、新人と分散していますか?

新人が育つ土壌となっていますか?

今回はなぜ人材育成が上手くいかないのか、そしてその結果どういうことが起こっているのか、という点について見ていきます。

たとえ今あなたが育てられる側だっとしても、いつかは育てる側の立場になります。

ぜひ医療事務の人材育成について考えられる人になってほしいですし、本記事はそのきっかけにきっとなれることでしょう。

医療事務の人材育成は失敗している!?【保留と放置と置換】

結論

 

人材育成に失敗している医事課に未来はありません。

医療事務の人材育成が上手くいかない理由

理由は次の2つです。

・長期の育成計画にそもそもなっていない

 

・OJT担当者の質のばらつき

長期の育成計画にそもそもなっていない

これは離職率が高いことと関係しています。

つまり人数的な余裕がないために、目先の補充に注力せざるをえないという状況になってしまうからです。

本来なら腰を据えて数年単位で育てたい人材だとしても、急な欠員発生による担当者変更というものがたびたび起こります。

たとえば3年である程度のレベルの入院係に育てようとしていた矢先、外来担当者が相次いで退職し欠員が埋まらない場合、やむを得ずその人を外来担当に回すという手段をとる場合があります。

この場合当分の間は、入院係育成という計画は止まることになります。

そしてそのあともその状況が続けば、いつしかその計画は消えてしまうこともあります。

まずは最優先すべきなのは現場。

目の前の現場が回っていないのに、3年後の理想を掲げても意味がありません。

医療事務ではこのようなことが起こりがちです。

3年はおろか正直1年先の状況もはっきりとは見えません。

たとえマイルストーンをきっちり設定していたとしても、そのとおりにいく確率は高くはないのです。

これは人数的に少ない中小の医療機関にありがちなパターンです。

人数的に苦しければ苦しいほど、どうしてもその場しのぎ的な人材活用になってしまうということです。

OJT担当者の質のばらつき

これは極論すれば、育てる能力がない人までもOJT担当者になっているということです。

そもそも僕たちは教え方、育て方を誰からも教わっていません。

だからいざ自分がその立場になった時何を頼りにするかといえば、それはそれまでの自分の経験です。

そして物の捉え方はすべて主観。

自分を客観視できる人などめったにいません。

その結果どういうことになるかというと、優秀な師匠についた弟子は育ち、無能な師匠についた弟子はまったく育たない。

つまり育成結果はすべて師匠に依存するということです。

OJT担当者の質がバラバラである限り、人材育成が上手くいくはずがないのです。

人材育成の期間

広い意味でいえば人材育成の期間は永遠です。

どんなに経験を積んでも、知識を蓄えてもさらにその上を目指すべきなので、育成は受け続ける必要があります。

誰もがみんな上司から与えられる様々なミッションをクリアしながら、徐々に階段を上がっていきます。

そういう意味では、どこまでいっても育成対象なのです。

ですが通常仕事で育成期間といえば新人の期間を指します。

つまり今すぐには成果も出ず戦力とならなくても、将来を見越して大目に見る。

多少の間違いや不具合は、想定の範囲内としている期間です。

そしてその期間をどれくらいを適当と見るのか、これが非常に難しい。

これは業務内容にもよるし、人にもよります。

医療事務でも数ヶ月やればいけるというものと、レセプトのように数ヶ月では無理というものまでいろいろあります。

しかし上司や教育係の認識の差異による期間の長短はあれど、おおよその育成期間は決められています。

そしてそこを過ぎればビギナークラス卒業となるのですが、本当の問題はここから始まります。

人材育成とジョブローテーション

医療事務においてジョブローテーションは必要です。

ですが実際はつねに欠員が出ていてそんな余裕はないというところや、過去からまったく担当を異動させていないことで今さら人を動かそうとすると現場からの拒否感が強く、なかなか踏み切れないという職場もあるはずです。

しかしそういうところこそジョブローテーションはすべきです。

ずっと欠員が出ているところならば、間違いなく人が定着しないということが起こっています。

そしてそのような職場は、少なからず定着しにくい空気感というものがあります。

その空気感はなぜ生まれているのかといえば、固定化された組織にあります。

流れない水が腐るかのごとく、固定化された医事課も腐るのです。

しかしその渦中にいる人たちは、そのことには決して気づきません。

欠員が生まれている原因に、自分たちが関係しているとは1%も思っていない。

どうしてそんな傲慢な考え方ができるのかといえば、仕事に慣れきっているからです。

長年同じ仕事をずっと行っているからです。

そして勘違いをするのです。

今持っている仕事が自分の仕事であると。

受付なら受付、クラークならクラーク、外レセなら外レセ、入院係なら入院係と。

しかしそうではありません。

それはあくまで今受け持っている担当に過ぎないのです。

ですがその人たちはそんな認識が希薄です。

なぜ組織は定期的に異動を行う必要があるのでしょうか?

それはそうしないと間違いなく腐るからです。

「慣れ」を通り越して「だれ」になるからです。

医療事務員がだれてしまうと非常に問題です。

なぜなら、真っ先にその影響が患者に及ぶからです。

以前に紹介した記事の内容の例も代表的なだれた医療事務員の姿です。

【残念な現実】患者と医療事務員の非対称性問題

患者側から見ると明らかに横柄で理不尽な対応に思えることでも、だれた本人からすると毎日のルーチンの一部に過ぎません。

そういうひどいことでも平気で起こってしまうのです。

すべては特定の業務を長くさせていることで起こる弊害です。

ですのでジョブローテーションは絶対必要です。

これ抜きで人の成長などあり得ません。

人材育成のその後

ここまでは主に人材育成失敗の原因が育てる側にある場合を見てきました。

組織構造や教育係の質などの問題は間違いなく育てる側の問題です。

ですが逆に教わる側に問題がある場合も当然あります。

では次にその場合の起こる結果を見ていきます。

次に示すのは成長も変化も望まず、どんなフィードバックをしても変わらない人に対して上司がとる行動です。

保留

保留はレベル1です。

経過観察の期間です。

この期間はまだいろいろとフィードバックを与えます。

いろんな話し合いも行います。

まだマインドセットしだいで十分伸びる可能性があると上司は見ています。

ですので期待も含んだ保留です。

置換

置換はレベル2です。

置換とはつまりもうはずしてもいいと思われているということです。

もう無理だろうと考えられているレベルです。

放置

放置は最終段階でレベル3です。

これは上司も部下も悪いです。

ですが世の中に放置する上司がいないとは言えません。

放置する上司というのは必ず存在します。

そしてこれは完全に主観の問題です。

上司は放置しているつもりはなくても、部下からするとほったらかされていると感じる場面というのはあります。

逆に明らかにその人をもてあまし、意識的に放置している上司もいます。

上司には上司の言い分があり、部下には部下の言い分があります。

ですがなぜこうも上司と部下がかみ合わないのかといえば、お互い主観でしか物ごとを見ていないからです。

自分を客観視できていないからです。

育成期間、保留期間の時期にしっかりとフィードバックを受け、自分と向き合える人は置換や放置というフェーズには絶対いきません。

ですが一度でもそのフェーズに入ってしまうと、そこから抜け出すことはほぼ不可能です。

なぜならもう上司のバイアスをとり除くことはできないからです。

そこまでいってしまうと何をやっても評価は変わりません。

必ず結論ありきで見られてしまいます。

だからそうなる前にぜひ自分で気づき、軌道修正しないといけません。

まとめ

医療事務に必要な能力って何?っていう質問にはいろんな答えがあるはずです。

保険請求能力、接遇能力、コミュニケーション能力など・・・。

でもその答えになかなか入ってこないのが人材育成能力です。

そもそも人材育成とは上司や先輩が行うものであって、個々の医療事務員には必要ないものという認識をしている人の方が多いはずです。

しかしそれは違います。

冒頭でも言ったように、たとえ今あなたが育てられる側だっとしても、いつかは育てる側の立場になります。

必ずなります。

その時にあなたは優秀な師匠になれますか?

部下や後輩のポテンシャルを引き出せる人になれますか?

これは「成り行きでなってしまったから、じゃあやろうか」では絶対できません。

普段から意識していなければ、やろうと思ってできる代物ではないのです。

そしてこの時必ずないといけないのが俯瞰力です。

つまり自分を客観視する力です。

それがないとポテンシャルある部下や後輩をつぶしかねません。

 

この先医療事務員が問われる能力は専門的なスキルはもちろんですが、それ以上に人間的なスキルが問われます。

これから15年後レセプト業務、計算業務、会計業務が残っているかといえば、もうほとんどなくなっているでしょう。

そこはもう人が行う業務ではないでしょう。

AIができる分野はどんどんAIに置き換えられていきます。

しかし逆にAIに置き換えられない分野は、今よりその重要性は増します。

つまり人にしかできない分野です。

それは受付業務だったり、分析業務だったり。

保険請求の能力がどこも似たりよったりとなれば、医療機関間で差別化できる所はそんな人間力が問われる所になります。

だとすれば15年後そんなデキる医療事務員がいる医事課は、評価の高い医事課となるでしょう。

反対にデキる医療事務員を作ってこなかった医事課は、何の特徴もない平凡な医事課で終わるでしょう。

大事なのは長い期間をかけて医療事務員を育て上げるということ。

将来を見据えた人材育成を行うということ。

でもこれは非常に困難なことです。

これは本文で延べたように、医療事務は長期育成が難しい側面があるということと、そもそも人材育成をみんな重要視していないという理由だからです。

そしてもうひとつの大きな理由は、医療事務は離職率が高いということ。

そう言われれば言われるほど、バイアスによって余計に辞めやすい土壌が生まれていると感じます。

医療事務はブラック、給料も安く長期間は働けない。

そんなバイアスを持った新人ならば、いくら熱心に教えた所でどこかで辞めます。

育て上げることなど、どだい無理な話です。

どうやったって医療事務の人材育成は失敗しているんじゃないか?

そう思わざるを得ない状況がここにあります。

あなたはどう思いますか?

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です