いい医療事務職員、できる医療事務員ってどんな人って聞かれたら、その答えは人それぞれでしょう。
まず僕たち医療事務員自身が考える「いい医療事務員」と患者側から見た「いい医療事務員」は全然違うでしょうし、他部署から見た場合もまた然り。
それぞれの立場によって医療事務員に求める人物像というのは、まったく変わってきます。
自分ではイケてる医療事務員だと思っていても、第三者から見れば全然イケてないということも多々あります。
あなたは自分のことをイケてる医療事務員だと思っていますか?
というか、そもそもどういう状態がイケてるのかがわからない人も多いはず。
この記事ではいい医療事務員、できる医療事務員とはどんな人を指すのか?その答えを出します。
自分がいい医療事務員、できる医療事務員なのかを確認しながら読んでみてください。
医療事務員として自分に今何が足りないのか?
その答えのヒントがきっとここにあるはずです。
目次
いい医療事務員、できる医療事務員ってどんな人?
結論
俯瞰した目を持ちつつ、行動できる人こそがいい医療事務員であり、できる事務職員です。
「いい医療事務員」ということの意味
ここで大事なことは「いい」という言葉の意味をはき違えないことです。
院内の他部門の人に「いい医療事務員ってどんな人ですか?」って聞けば「頼んだらすぐ対応してくれる」「聞いたらすぐ答えてくれる」という答えが多く返ってくるはずです。
でもそれでは困ったらすぐやってくれるという雑務的な要望に応えているに過ぎません。
それは部分的、瞬間的に使い勝手がいいなんでも屋なだけであって、決していい医療事務員ではありません。
本当の意味でいい医療事務員というのは、診療報酬に精通していて病院経営に寄与できる力を有している人を指します。
病院の経営に関してプロセスから介入していけるのが医事課の強みです。
医療事務員として、そこの強みを強みとして押し出していけるかどうかが大事な点となります。
でも今述べたことは矛盾しています。
病院の経営に介入していこうとすれば、当然他部門の医療職の人たちと折衝していかなければなりません。
そのためには医療職との良好なコミュニケーションが必要です。
相手からよく思われるに越したことはないのです。
であるならば、医療職から見たいい医療事務員とは「自身の業務には口出しせず、頼んだらデータ処理や庶務的業務をやってくれる人」であるわけです。
対して経営者的視点から見れば「収入や費用構造を正しく理解して、医療職と折衝できるスキルを兼ね備えている人」がいい医療事務員です。
この2つは相反するわけではないですが、ぴったり同じ人物像に当てはまるかといえばそれはなかなか難しいです。
経営的観点のみでデータを提示し、ゴリゴリにロジックで突き進んでいこうとしてもそれでは何も動かせません。
仮に説明は聞いてもらえても納得、了承はしてもらえないのです。
そもそも事務職は現場を知らなければいけないので、まず懐に入り込むという意味で、医療者のかばん持ち的な業務というか、うまく雑用を引き取りつつも相手に信頼をしてもらうというプロセスが絶対必要になります。
ただしどこかで線を引き医療職の秘書役ではなく、病院を効率的・経済的に運営する事務職である、という立場をとって動くことが絶対必要になります。
要するに
・正しい立場から、正しい意見を医療職に言えるか
・提案したことを受け入れてもらえる下地づくりができているか
ということ。
ここがとても大事なのです。
医療事務員に必要な力は「俯瞰力」と「提案力」
僕たちに必要なのは俯瞰力と提案力です。
それこそが医療事務員の真骨頂です。
受付、計算、会計、レセプト業務のさらにその先まで網羅できてはじめて真の医療事務員といえます。
そしてその先というのが、医療情報の収集、分析であり、それによる提案です。
よく考えてみれば医事情報や病歴情報などはいわば宝の山といっていいものです。
入力したままなら単なるデータですが、使う側が目的意識をもって活用すれば、これほど有益なデータはありません。
たとえデータはそこにあっても、見えてこない情報や普段は気がつかず活用されていない情報というのはとても多いのです。
それらを可視化し、有効活用できる形にしていく。
それが医師や医療スタッフの補助となり、結果として診療の質の向上やスムーズな多職種協働、地域連携につながっていきます。
情報を有効活用して何かをする、有意義なものを生み出すことこそが今僕たちに求められていることです。
その意味では、病院全体を見渡せる目と他部門に提案できる力、巻き込んでいける力が必要なのです。
まとめ
提案し巻き込んでいける力といっても、それはなかなかハードルの高い能力です。
事務部門から発信する改革・改善といっても、自分の立場をわかった上で相手の土俵で勝負できる力というものが必要になります。
相手を納得させられるだけの知識とデータを持ち、運用も知っていてセッションもできる高いコミュ力が必要なのです。
そしてそれは限られた人しかできないというのではなくて、一担当者レベルにまで教育し落とし込めるかというのが大事です。
この先の病院経営が厳しさを増すのは周知の事実。
その時に十分な牽引力がある医事課であるのかどうか、そこが重要です。
そのためには「いい医療事務員」「できる医療事務員」を1人でも多く育て上げておく必要があります。
そしてその中には、当然あなたも入っておかなければいけないのです。
医療経営と聞けば何か敷居が高いようにも感じますが、それは決して管理職だけが意識していればいいというものではありません。
どんな医療事務員であれ病院経営の一端を担っているという自覚をおのおのが持っていなければ、牽引力のある医事課にはなり得ません。
ぜひ「俯瞰力」と「提案力」を磨いてください。
ぜひ「いい医療事務員」「できる医療事務員」を目指してください。