今回は「医療資源を重点的に活用する外来」について見ていきましょう。
目次
【2022診療報酬改定】第2ラウンドを見る【中医協ウォッチ⑨】<医療資源を重点的に活用する外来>
結論
外来機能報告制度をもとに「医療資源を重点的に活用する外来を地域で基幹的に担う医療機関」を明確化していきます。
医療資源を重点的に活用する外来
来年度(2022年度)から「外来機能報告制度」がスタートします。
そしてこれを踏まえた「紹介状なし患者への特別負担徴収義務拡大」の議論がこれまで進められてきました。
「紹介状なし患者への特別負担徴収義務拡大」については、①対象病院の拡大 ②特別負担額の増額 ③増額分が「公的医療保険の負担を軽減する」しくみを新たに導入します。
制度の大枠
(A)「一般病床・療養病床を持つ医療機関」(病院・有床診療所)に外来診療に係るデータを都道府県に報告することを義務付ける<外来機能報告制度>
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(B)提出された外来診療データをもとに、各地域で「医療資源を重点的に活用する外来を基幹的に担う病院」を明確化する
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(C)「医療資源を重点的に活用する外来を基幹的に担う病院」へは、かかりつけ医等からの紹介受診を原則とし、紹介状を持たない患者からは特別負担を徴収する
ここでポイントとなるのは「医療資源を重点的に活用する外来」とは一体何を指すのか?ということです。
ここがわからないと「対象病院の拡大」の対象そのものがわかりません。
ですので次に定義と基準について見ていきます。
定義
「医療資源を重点的に活用する外来」の定義としては、次の3項目です。
・医療資源を重点的に活用する入院の前後の外来(例えば、Kコード(手術)や1000点以上のJコード(処置)などを算定する入院の前後30日間の外来)
・高額等の医療機器・設備を必要とする外来(例えば、外来化学療法加算、外来放射線治療加算を算定する外来や、550点以上のDコード(検査)・Eコード(画像診断)・Jコード(処置)を算定する外来など)
・特定の領域に特化した機能を有する外来(診療情報提供料Ⅰを算定した30日以内に別の医療機関を受診した場合、当該「別の医療機関」の外来)
基準
そしてその基準とは
・初診のうち上記の割合が◯%以上
・再診のうち上記の割合が◯%以上
となります。
この基準値をどの程度にするのかは、今後の議論を待つ必要があります。
なお、「医療資源を重点的に活用する外来」は国の基準に合致したからといって強制的に指定されるものではありません。
あくまで任意の届出制となります。