ネットなどで医療事務はブラックだという意見、記事は探せば山ほど出てきます。
はたして実際はどうなのでしょうか?
現場の者としてこれまでの経験をふまえた上で話していきます。
目次
医療事務はブラックって本当?【医事課長が解説します】
結論
ブラックではありません。
ブラックだと思う人は転職してください。
ブラックとされている理由
医療事務がブラックとされている理由には次の3つがあります。
それは「給与」「労働時間」「人間関係」です。
給与
給与の安さ。
これは否定しません。
基本給自体が低く抑えられている上に、たとえ資格をもっていても資格手当がつくケースは少ないです。
残念ながらこれは事実です。
労働時間
レセ期間と呼ばれる保険請求の事務処理を行う期間に集中する残業。
1枚1枚レセプトをすべて点検していた時代は確かに長時間残業は当たり前でした。
僕も20代の頃は普通に22時、23時ぐらいまで残業してました。
人間関係
病院という特殊な職場環境が生む独特な人間関係。
女性比率が高く、おまけに医師、看護師、薬剤師などプライドが高い職種が多数。
他部署からのクレーム、患者からのクレームも少なくなく、その対応に追われることも多々あります。
ほかにも要因はいろいろあると思いますが、簡単に言ってしまえば投下した労力に見合う給料ではない、と見なされているということです。
それゆえブラックだと判断されているのです。
ブラック3要因の検証
それでは上記で挙げたブラック要因は本当にそうなのか?というところを検証します。
まず給与ですが、上で述べたとおり医療事務は安いです。
ですが年2回のボーナスはきちんと出ますし、福利厚生もしっかりしてます。
あと、なぜ安いのかは考えればわかります。
医師、看護師、薬剤師、放射線技師など医療機関で働く他のスタッフはほとんどが国家資格を有しています。
何年もかけて勉強し専門の知識、技術を習得しています。
対して医療事務の資格は通信教育や教室受講などで短期間でとれます。
まして、資格がなくてもできますし特別な能力や技術は必要ありません。
ですので医療機関で行う事務というだけです。
「いやいや、医療事務だってそれなりの知識やスキルは習得してないと仕事なんてできないよ」「誰でもできる仕事ではないです」と思われる人もきっといることでしょう。
ですがここで問題なのは、実際はそうではなくても周りからはそう思われているということなんです。
そして医療事務をもっと高待遇にすべきだという認識には至っていないということなんです。
だから医療事務で給与を上げたいのであれば、自分の付加価値を高めていくほかないのです。
医療事務というカテゴリー自体の給与水準が上がっていくということは残念ながら今後もありません。
よって自分単体の価値を高めていかなくてはなりません。
その方法は次の3つです。
1.役職者を目指す
当然給与アップします。
2.専門スキルを身につけて転職する
診療情報管理士、医療情報技師、医療情報システム管理者等いろいろあります。
どれも医療事務の資格ほど簡単ではありませんがなれるかどうかは努力しだいです。
3.他のスキルとかけあわせる
たとえば、経営、会計のスキルを身につけてコンサルとか、IT技術を習得してソフト開発とか、かなりハードルは高いですが、不可能ではありません。
次に労働時間ですが、確かに昔はレセ期間の残業はひどかったです。
しかし、時代は変わり今やレセプトチェックソフトを使えば大幅に点検時間を短縮できます。
当院の現状でいえば、レセ残業はありません。
あと休みですが、うちでいえば当直はありませんし土日祝日、年末年始もきちんと休めます。
最後に人間関係ですが、こればっかりは本人しだいと言わざるをえません。
職場によって合う合わないというのは確かにあるので、耐えられなければ辞めましょう。
我慢してまで続けることに見合うだけのメリットはありませんので、さっさと辞めて次に進んだ方がいいです。
まとめ
医療事務はブラックなのか?
僕はそうは思いません。
それでもブラックだと言う人がいるのなら、この職種を選択しなければいいだけの話です。
以前にこの仕事をしていて「ほんと医療事務ってブラックだよね」とか「底辺だ」みたいなことをSNS上でつぶやいている人を見かけたりもしますが、そんな人たちはそもそもの見立てが甘すぎます。
給与を確認した上で入職しているはずなのに給与が安い、仕事がきつい、はただの甘えです。
自分はこんなに頑張った、我慢した、と思っていても実際まわりからはそう見られていません。
そこにはメタ認知が一切効いていない。
もっと自分を客観視すべきです。
そもそもなぜこの仕事を選んだのか?
医療事務は給与は安いが、それでいて患者さんへの対応や他部署との連携も大事で大変な仕事です。
それでも長く続けている人は誰しも自分なりのやりがいを感じそこに居場所を見つけ、誰かの役に立っているのです。
その部分をすっとばして、表面的なところだけを見ていても物事の本質はわかりません。
要は自分の考え方しだいってことです。
医療事務を自分の仕事として選んだのなら、まずはとことんやってみるべきです。
でも実際はそれもできず辞めていく人が大半です。
それでブラックだと言われても、いやいやあなたにはそれを語る資格はないよ、と僕は思ってしまいます。
えらそうなことを言っていますが、しょせん僕もこの世界しか知らない世間ずれした社会人です。
僕の常識が世間の非常識になっている可能性が十分にあることもわかっています。
それでも今回の話は現場の声として知っておいてもらいたいです。