医事課といってもその仕事内容は非常に多岐に渡ります。
まったく未経験で入ってきた場合、最初覚えることの多さに面食らうかもしれません。
また経験者であっても実務のやり方はそれぞれの医療機関で様々なのでこれもまた覚えるのに苦労する場合があります。
その場合どのように仕事を覚えていくのか、吸収していくのかは人それぞれやり方があります。
ただどういうやり方で進めていこうとも共通するポイントは素直さが最強の武器となるということです。
今回はその点にフォーカスします。
目次
医療事務で素直さは最強スキルの1つです
結論
素直さは最強スキルの1つです。
その根拠は次の通りです。
その1 素直な人は圧倒的に成長が早い
その2 素直な人には教える側のモチベーションが落ちない
その3 素直な人は周りとのコミュニケーションが上手くいく
その4 素直な人は上司や先輩にかわいがられる
理由と根拠
その1 素直な人は圧倒的に成長が早い
医事課というのは人の入れ替わりがかなり激しいです。
辞める人がいれば当然入ってくる人がいる訳ですがどのような人が入ってくるのかはほんとにさまざまです。
年代も職歴もさまざまです。
本音をいえば現場としては即戦力の人材がほしいわけです。
ですがそのような人材にはほぼめぐり会えません。
これは当たり前の話でまったく別の医療機関に行って即戦力となるぐらいの能力の人は、もともといる医療機関で重宝がられているはずで辞めることなどまずないからです。
ですので必然的に多くが未経験者かまたは経験者ではあるが改めて自院での教育が必要になる人となります。
そしてその場合本人の取り組み方、心持ちの差が大きく結果に影響するのです。
パターンとしては4つに分類できます。
・未経験者で素直な人
・未経験者で素直じゃない人
・経験者で素直な人
・経験者で素直じゃない人です。
この中で1番吸収が速いのが経験者で素直な人です。
医療事務の仕事全般がわかっている。
保険請求の仕組みがわかっている。
レセプト点検のポイントがわかっている。
そのようなことはもう習得していてあと足りない、知っておかなければならないことは自院での仕事の流れ、やり方だけであるならば素直に聞いて理解すればもうOKです。
これぞまさしく即戦力な人材です。
しかしながら先ほども述べたようにそのような人が中途採用で入ってくることはほぼありません。
割合として1番多いのは未経験者です。
この中で素直な人とそうでない人では確実に差がついていきます。
基本的に新人であるのに最初から素直じゃない人というのはめったにいません。
というかそんな人は誰も何も教えてくれなくなります。
このような人はほぼいませんが、意外にいるのが返事は「はい」と言っていますがこちらの言った通りにしない人です。
もしくは自分流で解釈して言ったこと以外までしてしまう人です。
極端に言ってしまうと最初は言われたことだけをきっちりとやりきる、ただそれだけでいいのです。
そこに自分の判断を挟む余地はないのです。
最初からそんなことは求めてはないのです。
少しでも早く多くのことを覚えていこうという姿勢は買いますが先走りは良くありません。
着実に1つ1つのことをこなすべきなのです。
このような例は新卒者や未経験者の新人に見られることなのできちんと教育をしていけば軌道修正は効きます。
これよりもやっかいなのが経験者で素直じゃない人です。
はっきり言ってこの人達は伸びません。
そして時間が経過すれば未経験者で素直な人に抜かれていきます。
そして本人はそのことに気づかないという非常に残念な結末を迎えます。
これは捨てるべきものを持ち続けることから起こる弊害です。
その捨てるべきものとは経験によるプライドです。
結局それが邪魔をするのです。
経験は大事ですがそれはあくまで過去のものです。
経験とは活かすもので大事に持っておくものではないのです。
まして医療制度は常に動いていくものです。
日々学んでいく姿勢がなければあっという間に通用しなくなります。
そうはいっても大枠を知っていれば応用は効きます。
保険点数は2年前と違っていてもその解釈が全然違うということはありません。
そういう点ではやはり経験のアドバンテージは大きいのです。
ですが経験者で素直じゃない人の問題はそこではないのです。
問題は自分は経験者であるという過信なのです。
外来係でも入院係でも病棟クラークでも診療情報管理室でも業務内容、仕事の目的はどこでも同じです。
だから例えばA病院の入院係だった人がB病院の入院係に移ってきても何をするべきかは知っています。
あとはそこでのやり方がわかれば仕事はできるのです。
だからこそありがちなのが知っている部分ははしょって聞くというものです。
そしてもっとありがちなのが前の所ではこうしていたという自分流の貫きです。
これらの悪いところは2点あります。
まず、見切りが早すぎるということです。
すべての仕事を網羅した上で効率的に進めるにはどうしていけばいいのかということを考えるのは大切です。
ですがまだ教えてもらっている状態でそれをしてしまうと前の職場と今の職場の違いが分かりませんし比較もできません。
前の職場の良い点、今の職場の良い点というものがまったくつかめません。
そうなるともし今の職場の仕事のやり方のほうが優れていてもそれにも気づけないのです。
それに前の職場では普通にしていたことが実は不要だったってことも分かりません。
ですのでこれは非常に損をしているのです。
そしてもう1点ですがこちらの方が問題です。
それは周りからの信頼感を得にくいということです。
どういうことかと言うと、人の話をしっかり聞かない、自分勝手に判断する、チームの輪を乱す、かたくな、扱いづらい、教えがいがない、などと思われてしまうということです。
これはたとえ自分が一番保険請求に精通しているとしてもそうなってしまうのです。
ここでの誤りは医事課をチームとして見ていないか、もしくは軽んじているということです。
郷に入っては郷に従えという言葉どおりまずはその組織の規律、決まりごとには従うべきなのです。
そこには自分の経験にもとづくプライドは一切不要なのです。
まずは一旦受け入れる。
取捨選択はそれからです。
医事課員としての誇りは持っておくべきですが積んできたプライドなんかは1ミリもいりません。
全部捨てましょう。
なぜ素直な人は圧倒的に成長が早いのかといえばこのプライドがないからです。
いうならばプライドとは水を含んだスポンジのようなものです。
その状態からは更に水を吸収するのは困難です。
水を十分に吸収する為には一度スポンジを絞りきってしまわなければなりません。
そうすることで一気に大量の水を吸収することができます。
素直な人は絞りきったスポンジなのです。
目指すべきはまずその状態なのです。
プライドをすべて絞りきって吸収できる状態にまず持っていくことが先決なのです。
その2 素直な人には教える側のモチベーションが落ちない
これは本人には分からないことですが超重要なことです。
素直な人には教える側が気持ちいいのです。
素直に聞いてその通りに実行してくれる人だともっと教えてあげようって気持ちになるのです。
自分が教えることによって着実に育ってくれることほど指導係冥利に尽きることはありません。
「素直な人に教える→成長→もっと教えてあげよう→もっと成長」というような好循環になります。
反対に素直に話を聞かない人や言った通りにしてくれない人だと教える側のモチベーションは落ちていきます。
仕事なのでそれでも教えますがとりあえず最低限必要なところだけ教えればいいやってなってしまいます。
残念ながらこうなってしまうのです。
指導係だって人間ですから。
その3 素直な人は周りとのコミュニケーションが上手くいく
その4 素直な人は上司や先輩にかわいがられる
これは同じ意味あいなのでまとめておきます。
要は素直に人の話を聞いてそれを行動に移す人は人から好かれるということです。
仕事を円滑に進めるにはなんといっても周りとのコミュニケーションが最重要です。
素直さというスキルがあるだけでそれに一歩近づけるのですから身につけないと確実に損なのです。
注意点
ここまで述べてきたように素直さは大事ですが注意しておくこともあります。
それは完全依存はダメということです。
言われた通りにトレースすることが基本ですが思考はし続けないといけません。
言われた通りにするだけでは単なる思考停止です。
あいまいな所はそのつど確認する、手順の意味を理解する、目的を明確にしておく、などは常に心掛けましょう。
また言われた通りにやってみたが患者さんから怒られた、とか他部署からクレームが来たとなった場合は必ずまず原因分析を行いましょう。
そして、何が間違っていたのかを突きとめましょう。
自分の知識不足の問題なのか、理解度の問題なのか、コミュニケーションの方法の問題なのか、それらを洗い出すことです。
それからそれを整理した上で指導係に相談しましょう。
失敗→すぐ相談ではダメです。
思考し続けることが重要です。
素直さプラス思考することがセットでありマストです。
まとめ
素直さってあたかも性格の問題と思いがちですがこれはれっきとしたスキルです。
それもとても大事なスキルです。
そしてスキルであるからにはこれは習得できるものです。
習得するためにはいらぬプライドは捨てること、これは先ほども言った通りです。
そして更に言うとこのプライドを捨てることとも関係してくるのですが自分のマインドセットをどう作るかということが大切です。
要するにこの先の道のりに対してどういう姿勢でのぞむかということです。
例えば次のような場合です。
10年レセプトを見てきました。
転職先の病院では自分が一番経験が長いです、となった時そうしたらもう教わることはないと思うのか。
それとも経験したことのない診療科のレセプトについてとことん吸収してやるって思うのか。
はたまた全部吸収した上で自分の知識やノウハウをみんなに教えていこうと思うのか。
素直であることで高速で成長するのは新人だろうって思うかもしれません。
もちろん新人は高速で伸びる可能性が十分ありますが、ベテランであっても伸びしろは十分あります。
ですがそれも自分のマインドセットしだいです。
どんなに医療事務に長けていても、優秀であると他人から思われていたとしても自分でそう思った時点で終わっています。
いくら仕事ができる人でもおごった途端にできない人となってしまうのです。
それは医療事務のような業務が非常に煩雑で明確な物差しが使いづらい仕事の場合、その評価は他人の評価となるからです。
確かに査定率などは数字で出ますがそれは医事課の評価とされることはあっても個人の評価まで落とし込むことは難しいのです。
であるならばほぼ上司や同僚の評価が自分の評価となるわけです。
そこに重きを置くのか置かないのか、自分のスタイルを貫くのか貫かないのか、それはその人の判断になります。
これは個人の仕事観、価値観の問題にもなりますが客観的に見て確かなことは、素直さがあることで損することなんてまったくないし、プラスのことしか出てきません。
素直さが最強スキルの1つであることは明かです。
だったらそのスキルを一刻も早く手に入れましょう。
仕事で頼りになるのは仕事ができる人ですが、一緒に仕事がしたいと思うのは素直な人なのです。