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鍵はやはり医師事務作業補助者【医師の働き方改革】

先日の記事で次回の診療報酬改定においても医師事務作業補助体制加算については追い風となっている可能性が高いということを書きました(⇒⇒⇒医師事務作業補助者の未来ってどうなの?【存在価値はもっと高まる】)が、5月29日に行われた中医協の中でまさしくこのことについて議論がありました。

この議論の内容を見てみるとやはり次回改定も依然医師事務作業補助体制加算が重要項目なのが分かります。

今後どういう方向性でどうのように評価されていくのか、中医協の議論を見ながら考えていきます。

鍵はやはり医師事務作業補助者

結論

医師事務作業補助者の役割、評価はますます高まります。

医師の働き方改革

概要

医師の働き方改革については、すべての医療機関において労務管理の徹底・労働時間の短縮などを進め、2024年4月以降は年間の時間外労働960時間以下を目指す。

もっとも労働時間短縮を進めてもこの上限に収まらない労働が必要な救急医療機関等では暫定的に年間1860時間以下の特例を目指す、とされています。

背景

我が国の優れた医療提供体制は個々の医師の過重労働によって支えられています。

こうした状況を改善する為現在医師の働き方改革が求められています。

2008年の診療報酬改定に合わせて医師事務作業補助体制加算は誕生しましたがこのそもそもの誕生理由が医師の事務作業の負担軽減でした。

創設当初は低かった点数も見直されていき点数アップがはかられてきました。

診療報酬での対応例

・A200 総合入院体制加算

医療従事者の負担軽減・処遇改善を実施している病院でなければ算定することは出来ないことになっています。

逆に言えば医療従事者の負担軽減、処遇改善つまり働き方改革に取り組んでいる病院に対し経済的インセンティブを与えています。

・A244 病棟薬剤業務実施加算

病棟薬剤師が入院患者の過去の投薬・注射、副作用発現状況などの情報収集などを行うことで医療安全の向上を狙うと共に医師の負担軽減の実現をも目指した加算とも言えます。

・A207-2 医師事務作業補助体制加算
カルテ記載など医師でなくても実施可能な業務について医療クラークを活用し医師の負担軽減を図ることを目指す加算で医療現場では有用であると高く評価されています。

中医協の議論

5月29日の中医協総会では次のような意見がありました。

診療側委員の意見

届出病院について

医師事務作業補助体制加算は医師の負担軽減に大きな効果があることは認めるものの中小病院ではまだ届出が少ないという現況をふまえ背景を詳しく分析した上で施設基準緩和などの対策をとってはどうか。

コストの補填について

夜勤スタッフの確保のために人件費が高騰し病院経営はますます厳しくなっているのを鑑み、全病院に共通する入院基本料の引き上げなどを検討すべきではないのか。

支払側委員の意見

医師の働き方改革を診療報酬でサポートする場合業務効率化を阻害する要因の排除(例えば過剰な書類の整理など)を念頭に置くべきで、入院基本料の引き上げや加算創設・増点などではない。

働き方改革は、①トップ(院長等)のマネジメント改革②医療従事者の意識改革③業務の効率化という順で進めるもの。

診療報酬はだれが負担しているのかを考えるべき。

政策誘導

診療報酬改定の機能というのは大きく分けて2つあります。

まず1つ目は経済的評価です。

物価や人件費等の変動というマクロ経済動向に合わせて医療機関の経営を補填するというものです。

2つ目は技術的評価です。

これは医療技術を相対的に評価するということです。

そして最近の改定においてはこの前提に加えて成果主義、政策誘導的な意味合いがとても強く押し出されたものになってきています。

厚労省はまずハシゴをかけ高めの点数で誘導してきます。

そしてそのミッションが終了となればそのハシゴは外されます。

そしてまた次なるハシゴをかけてきます。

そうして厚労省が目指すゴールへと導いて行きます。

ここでの捉え方の間違いは今から医師事務作業補助者を増やしていってもやがて改定で点数のハシゴ外しがあるのではないか、ということで何も手を打たないということです。

前回の改定で50点プラスとなった同加算ですが今後も点数が上がるという保証はどこにもなくいつかは逆に下がっていくかもしれません。

ですがそう考え何もしないということには2つのミスがあります。

まず1つは政策誘導であるハシゴはその設定点数が高めなのでまずそのハシゴに上がりそこで収益した方が得策であるということです。

そうして更にその収益を次の投資に回していくべきなのです。

そしてもう1点は同加算においてまだハシゴは外れないということです。

医師の働き方改革という課題を国が本当にどうにか改善したいというならば医師事務作業補助者をもっと増員したいと考えるのが当然なのです。

そうする為にはまだ当分ハシゴはかけ続ける必要があると判断せざるを得ないのです。

成熟期、衰退期で分けるのであれば同加算はまだ衰退期までは達していません。志はまだ半ばなのです。

ですので次回改定でも依然高い評価をされますし、当分はその風は吹き続けることになるでしょう。

採算性

医師事務作業補助体制加算の点数単体で採算を考えて採用を見送るという場合もあるかと思いますが、同加算はそういう性質のものではありません。

前回の記事にも書きましたが機会損失コストを考慮しないとこの加算の本質には迫れません。

この加算のみで1人分の人件費が出なくてもそれはいいのです。

医師の事務作業が軽減されてその分医師が診療に専念出来、生産性を上げることが目的であり本質なのです。

逆に言うと時給の高い医師に書類や代替性の効く作業をさせていることこそが採算性を無視した行為なのです。

医師事務作業補助者を採用している場合としていない場合でどちらがコストパフォーマンスがいいかということは誰の目にも明らかでしょう。

教育と育成

医師事務作業補助者の重要性は多くの医療関係者が感じています。

そしてそれを活かすも殺すも院内での教育と育成にかかっています。

医師事務作業補助体制加算を届け出たもののあまり成果が上がらない場合というのもあります。

これは業務を明確にせずとりあえず医師事務作業補助者の頭数だけそろえて届け出たケーズに見られがちです。

資質に乏しい職員を配置した上で十分な教育を行えていないとなると本来の目的とはかけ離れたものとなってしまいます。

また教育、育成面を考えるとやはり病院にとっては常勤雇用が望ましいといえるでしょう。

業務が限られているのならば非常勤でもいいかもしれませんが教育を受けた後に責任を持って業務にあたってもらおうと思えば長期に渡って安定的に雇用するのが病院にとっても当人にとっても好ましいです。

しっかり教育をし時間をかけて育成した人材こそが病院にとっての財産であり、医師の負担軽減を実現する為に最も効果的な人材です。

教育、育成体制の構築と待遇改善は2大重要要素であり1医療機関にとどまらず業界全体で考えていくべき課題でしょう。

まとめ

医師事務作業補助者は日本の医療を支える、存在価値が高い職種です。

病院にとってはなくてはならない存在になり得ますし、また補助者の方にはより一層の自己研鑽によるレベルアップをはかり、医師の働き方改革の立役者となる今後の働きを期待しています。

 

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