今回は医療事務に完璧を求めるなということについて述べていきます。
世界を席巻するGAFAの1つであるFacebookのCEOマーク・ザッカーバーグ氏は次のように言っています。
Done is better than perfect.(完璧を目指すよりまず終わらせろ)
まずはとりあえず終わらせろ、終わらせることを優先しろということです。
これはまさしく仕事の本質を言い当てている言葉です。
医療事務においては特に身にしみる言葉です。
その真意はどこにあるのか、そしてその理由とは、というところを見ていきます。
ごまお
目次
完璧を目指すよりまず終わらせろ
結論
完璧主義は捨てる。完了主義を目指す。
完璧主義と完了主義
完璧主義
医療事務と完璧主義
医療事務には多種多様な業務があります。
その中でも中心になるのが保険請求です。
医事課の最大の役割は診療行為をお金に換えることです。
そのために保険証の確認にはじまり診療行為の入力、レセプト点検という業務を正確に行っていく必要があります。
いってみれば医事課とは診療報酬請求についてのプロの専門集団ですので請求誤りや請求漏れがあってはいけないのです。
それらをなくし病院の売り上げを最大化することが医事課に課せられているミッションなのです。
医療事務員であればこのような意識は当然持っています。
しかしここで大切なことは完璧を求めてはいけないということです。
だったらレセプト点検では手を抜いてもいいのか、という質問があるかもしれませんがそうではありません。
レセプト期間が1ヶ月間あるとかだったらまだ完璧を目指すことも許されるかもしれません。
ですが実際は10日間しかないわけです。
限られた時間の中で何を優先させるのか、そりゃもちろん精度とスピードの両方があればそれが最強です。
しかしその精度はどのレベルで良しとするかという明確な基準なんてないのです。
しかも時間が限られているとなれば完璧を目指すということにどれだけの価値があるかという話なのです。
完璧主義は損
そもそも完璧主義は損でしかありません。
なぜなら投下した労力や時間に対してそれに見合う成果が期待できないからです。
例えばレセプト点検をしていて内容的にひととおりチェックは済んだものの、心配でもう1度チェックしてしまうような場合です。
そこで新たなチェック箇所なんてよほどのことがない限り出てきません。
仮に出てきたとしても単に病名整理をしているだけだったり、コメントの表記を見やすくしているだけだったりと本質からずれていることに時間を費やしていることがあります。
そしてそれを始めてしまうとまた違うところが気になってというように無限ループしていきます。
そしてダメなのがやっている本人はそのことに満足しているということです。
請求誤りや請求漏れとは直接関係のない部分に一切時間をさくなとはいいません。
ですがそこにかけた手間ひまはかけた労力に見合う評価をされることなんてほぼないのです。
ですので完璧主義なんて損でしかないのです。
完璧主義はひとりよがり
まず完璧な仕事なんてありません。
仮にもしあったとしてもそれは他者がそう評価するものであって自分で評価できるものではないです。
ですので完璧を目指すという志はいいのですが実際それはムリだということを認識しておく必要があります。
でないとただのひとりよがりになってしまいます。
投下した労力と時間に自己満足しているだけであって中身は全然完璧じゃないのです。
担当者がさんざん時間をかけたレセプトを二次点検に回したらすぐにチェックが入ったとか何箇所も間違っていたとかはよくある話です。
思い込みとひとりよがり、これが1番レセプト点検では危険です。
すなわち完璧主義が1番危ないのです。
完了主義
とっとと終わらせる
完了主義とは文字通り終わらせることを最優先に考えるということです。
質にこだわり過ぎずとりあえず完了させようということです。
しかし、言うは易く行うは難しで医療事務についていえばこれはなかなか大変です。
何が大変かというと行う本人達の意識を変えることです。
医療事務は事務処理上煩雑なことが多いですからどうしても慎重にならざるを得ない部分がありますし、確認作業も大切です。
その中でとっとと終わらせろと言われてもそんなことはムリと思ってしまいます。
ここは一般事務と医療事務との微妙な違いかもしれません。
医事課が相手にしているのは患者、他部署、審査機関、保険者と多岐に渡ります。
全てにおいて間違いのない業務を行おうとすればどうしても時間をかけざるを得ない状況というのがあるのです。
そうは言っても先ほど完璧主義のところでもありましたが投下した労力、時間に見合った仕事をしなければ生産性は上がらないのです。
ここは現場ごとにどう線を引いた上で指導していくかという管理者の手腕に大きく左右されます。
完了主義だからといって精度が下がっていればそれは本末転倒なわけでそのバランスを上手くとる必要があります。
完了主義は修正が効く
完了主義の1番の利点が早めに終わらせることで他者評価が取り込めるということです。
つまりフィードバックが効くということです。
レセプト点検の例でいくとさんざん時間をかけて自分で見た上でギリギリで二次点検に回すのとひととおりとりあえず見てしまい二次点検に回すのとでは雲泥の差があります。
最終的により精度が高いレセプトはどちらかということになると後者になります。
前者だと下手をすると修正が間に合わないなんてことにもなりかねません。
また修正は間に合ったもののなぜそうなっているのかの理解ができていなかったり、自分で調べる時間がとれていなかったりという場合も出てきます。
これではただ指摘通りの修正をしただけで自分の知識として吸収していない状態となってしまいます。
それならさっさと二次点検に回しておくべきなのです。
そうして十分な時間を残した上で修正、学習することによって次月以降の役立つ知識として蓄積されるのです。
ここの差は想像以上に大きいのです。
完璧主義を捨てて完了主義になるために
これには3つあります。
1.たまに手抜きしたっていい
これは手抜きという言葉が誤解されそうですが、常時100%を目指すな、ということです。
完璧主義を目指すなと同じ意味です。
常に仕事に高い質を求めるのはプロとして当然のことです。
ですが1日中100%の集中力を発揮するなんてことは不可能な訳で大事なのは100%の集中力を発揮するタイミングです。
絶対間違ってはいけない場面、全力投球しないといけない瞬間というのが必ずあります。
そこで力を発揮する為には逆に手を抜く(力を抜く)タイミングも必要だということです。
そうして効果的に集中力を発揮して素早く完了していくすべを覚えていくべきです。
2.時間制限を設ける
医事課の時間制限ではなく自分のです。
自分の中で残っている期限から更に手前で線を引きます。
そうしないとパーキンソンの法則にはまってしまいます。

時間をかけてもクオリティは上がらない、時間の長さよりも密度をもっと意識すべきです。
3.人にもっと頼る
完璧主義者の人は何でも自分でしようとして他人に任せるのが苦手です。
そして危ないのが自分を過信してしまうことです。
完璧主義はひとりよがりだといいましたがまさにそこを避けないとまずいことになります。
医事課の仕事はチームでの仕事です。
たとえ1人1人担当者がいる業務であろうとも全体ではそれぞれ全て繋がっています。
そこでのスタンドプレーは周りへの悪影響でしかないのです。
もっと周りを頼ればいいのです。
それは自分の仕事を手伝ってもらえということではありません。
ひととおりは最低限やるとして、何度も自己確認するぐらいなら他人の目を使えということです。
そうすることで時間は短縮できますし仕事の質も上がります。
仕事に責任感は必要ですがありすぎる責任感は自らをしんどくさせるだけで仕事の質も上げてはいないのです。
ここでも要はバランスです。
どこか肩の力を抜くところをとっておいた方が仕事はやりやすくなります。
まとめ
医事課の仕事は完了主義、これは鉄則です。
どんな業務でもまず終わらせる、話はそこからということです。
精度とスピードは意識づけと訓練で両立可能である、というのが私の持論です。
むしろ時間の制約を設けることによって短時間で高い能力が発揮できると思います。
なので残業してのレセ点検は改善可能だと思います。
そもそも残業して夜にレセプト点検するなどは非常に効率の悪いやり方です。
もう夜になんか集中力は残っていません。
まして完璧なレセプトなんかほど遠い話です。
夜残るぐらいなら朝30分早く来てやった方がよっぽど効率的です。
最近はかなり改善されてきたと思いますがまだレセ期間は残業もやむなしという風潮が根強く残っている医療機関も多いと思います。
ですがそれは思い込みです。
人工(ニンク)が足りていて残業をしないと回らないというのであれば回している管理者の知恵が足りないのだと思います。
私はそうは思ってはいませんが世間では医療事務はブラックだという意見は根強くあります。
その要因に長時間残業があります。
確かに昔はその傾向が強かったかもしれません。
しかし時代も令和となり電子化もどんどん進んできています。
これから先まだ残業が減らないとなると考えられる原因は2つで、1つはあたま数が足りていないというのともう1つは管理者の医事課マネージメントが下手というのとのどちらかだと思います。
そして完璧主義より完了主義という意識づけも大事な要素になります。
ぜひ完了主義な医事課を目指してください。
ごまお