自分では一生懸命進めているつもりなのに、仕事が遅くなってしまうと悩んでいる人は多いものです。
皆さんは自分の仕事の進め方が、早いと感じていますか?それとも遅いと感じていますか?
医療事務で仕事が早いというのは、手が早い(入力が早い、読み書きが早い)や判断が早い、臨機応変さということを指すことが多いです、
たしかにこれはスピードという点ではわかりやすいのですが、この部分で圧倒的な差がつくことはありません。
では一体何で差がついてしまうのでしょうか。
仕事が遅いのには、他のもっと根本的な原因があります。
その原因を把握し改善していくことが大切です。
そこをしっかり押さえた上で、仕事のスピードアップを図りましょう。
目次
あなたの仕事が遅い原因と今すぐできる1つの対処法
結論
仕事を早く進めるコツは、アウトラインを作成することです。
仕事が遅い原因とは
仕事が遅くなる原因は、さまざまな要素が重なり合っている場合が多いですが、ここだけはマストで対処すべき点というのがあります。
それは「仕事の目的を理解していない」という点です。
つまり、なぜこの作業が必要なのか、何のための仕事なのかということを理解していないのが、仕事を遅らせている最も大きな原因です。
目的を理解していないと、やらなくてもよい作業をしてしまっている場合があります。
また逆に、やらなければならないことをしていない場合もあります。
その結果本来の目的とは関係のない仕事をすればその分の時間がかかり、やるべき仕事を飛ばしてしまえばやり直しの時間が必要になり、どんどん仕事が遅くなっていきます。
手が早いとか判断が早いというのは、その次の段階のものです。
まずは仕事の目的を理解することが真っ先にすべきことです。
ここができていないと、もうお話にならないのです。
仕事を早くするための対処法
では仕事の目的を理解するためには、何をすべきなのか?
その答えが、アウトラインの作成です。
アウトライン作成
アウトラインとは
アウトライン(outline)とはout(外の)とline(線、境界線)がくっついたのが語源で、輪郭線、大まかに描いた線画という意味を持つ言葉です。
そこから外郭・輪郭という意味を持つようになり更に概要・あらすじという意味もあります。
今回の指しているアウトラインとは、仕事の輪郭、概要、あらすじという意味です。
つまりアウトライン作成とは、実際に仕事に手をつける前に仕事の全体感を詰めるということを指しています。
アウトライン作成のメリット
アウトライン作成のメリットをひとことでいえば、仕事のやり直しを大幅に減らすことができるということです。
突き詰めると仕事が早い、遅いの差が生まれる大きな要因は、膨大な小さなやり直しの量です。
つまり時間がかかる人というのは、仕事の段取りが悪くてこの小さなやり直しがたくさん発生しているということです。
見直してみたら、間違っていたのでやり直す。
上司に確認してもらったら、上司が思っていた結果ではなかったのでやり直す。
関係部署に確認してもらったら、指摘が入ってやり直す。
そんなやり直しの繰り返しで、思うように仕事が進まないっていうことありますよね。
だからこのやり直しにかかる時間を最小限にすれば、早く終わるのはもちろん、その分質を高めることに時間を使えます。
このやり直しの時間を最小化するためにしないといけないのが、アウトラインの作成なのです。
アウトライン作成のポイント
ではアウトラインを作成する際のポイントを知っておきましょう。
具体的には次の3点を行います。
①目標設定:得たい成果は何か?
②現状課題:目標設定のための課題を具体的に示す
③対応策 :課題をクリアするための具体的な策を示す
ここで入院係における例を1つ挙げてみます。
入院係の担当者が上司より、入院費の概算表を新しく作りかえるようにと指示を受けます。
ここの入院係では長らく古い概算表を使っていて、点数も最新のものを反映していない状態でした。
ここで仕事が遅い人は、元の表を開いて古いと思う箇所を修正していきます。
即仕事に取りかかっていて、問題はないように見えます。
しかしこれは1番避けるべきやり方です。
簡単な仕事に見えてもいきなり手を付けると、膨大なやり直しにあとあと苦しみます。
まずすべきことは、アウトラインの作成なのです。
その手順は先ほどの3点で詰めます。
そしてこの中でも最重要なのが①目標設定(得たい成果は何か?)です。
では今回の担当者が、上司から依頼された概算表の作りかえのケースの目標設定は何でしょうか。
誤りやすいのは「古い概算表を新しくすること」と設定してしまうことです。
これは目の前の目標です。
そうではなくて目指すべきは、そのもう一段上にある「本当に得たい成果は何か」という点です。
これは依頼した上司側から見るとよくわかります。
上司が本当に得たい成果は「信頼性の高い概算表にすることで、患者の助けとなり役に立つこと」です。
しかし、ここの目標設定で、陥ってしまいがちなことが1つあります。
それは曖昧な言葉での定義づけです。
目標設定は、誰が見ても同じ解釈ができるほどの具体性が必要です。
この例でいうと「信頼性の高い概算表」という部分が具体性に欠けています。
この部分をしっかり深掘りできるかどうかで、仕事の善し悪し、スピードの早い遅いが決まります。
というわけで、ここをしっかり具体的にしていきます。
信頼性の高い概算表とはどういうものなのか。
たとえば「最新の診療報酬にのっとっていて正確である」「疾患ごと、入院期間ごとの概算が把握できる」などが考えられます。
ここはできる限り具体的にします。
次に設定した具体的な目標を、達成するための現状課題を洗い出します。
現状課題としては元にするデータが古い、あらゆる疾患は網羅できていない、入院期間の長短に対応していない、みたいに挙げていきます。
最後に課題をクリアするための対応策を考えます。
ここでは「元にする点数データを最新のものにする」「自院の疾患を網羅したものにする」「入院期間の長短に対応するため期間別で細分化する、もしくは1日当たりの概算額を割り出しておく」などが考えられます。
ここまでするとするべきことが明確になります。
そしてここまで文章化ができれば、これを上司に示しフィードバックをもらいます。
ここで指示した上司のイメージとズレがないかを徹底的に詰めます。
これをすることによって、やり直し時間の最小化が可能になります。
1番良くないのが、最初に指示を受けてから上司と何のすり合わせもないままに、自分なりの完成形まで持っていってしまうことです。
こうしてしまうと、完成形がとんでもなくズレていたということにもなりかねません。
大事なのはアウトラインの作成、そして事前のフィードバックなのです。
まとめ
アウトライン作成については今回は概算表を題材にしましたが、これをレセプト作成に応用すればどのような方法があるでしょうか。
これはいろんな方法が考えられますが、共通して言えることが1つあります。
それは得たい成果が何なのかをとことんまで追求することが、スピードと質両方の向上につながるということです。
本文でも述べた通り目標設定の定義を具体的にすること、最終的なゴールが何なのかを明確に示しておくことがもうすべてです。
そこさえ間違わなければ、仕事を早くかつ正確に終わらせることができるようになります。
レセプトでいえば最終的なゴールは、診療行為を最大限に収益化し、なおかつ査定されない請求を行うということです。
この認識をしっかり持っておくことが大切です。
そうでないと、残業してレセプト点検という状況がヤバいとは思えなくなります。
病院収益の最大化を目的とするのならば、自らの残業代を発生させているようではダメなのです。
更に言うなら、残業してもしなくても査定額が変わらないのであれば、残業して行う点検には意味はないのです。
それはただの自己満足に過ぎません。
仕事とは結果がすべてです。
そこを追求するためには、アウトラインの作成は必須のプロセスです。
ぜひ取り入れて、今日からあなたの仕事を早くしましょう。