【2021年版】適時調査まとめ【まるっと3分解説】

医療機関で働く者なら誰もが避けたい適時調査。

でも必ずやってくる適時調査。

しかし昨年7月に厚労省は、2020年度の集団的個別指導、適時調査は中止する旨の事務連絡を出しています。

新型コロナウイルス感染症緊急事態宣言解除に伴う 指導・監査等の取扱いについて

これにより今年度中の適時調査は基本的にはありません。(緊急を要する場合には、病院外で実施。)

でもだからといって油断はなりません。

いつ調査が再開されてもいいように、日頃からの備えが大切です。

当院は直近では一昨年に実施を受けました。

その備忘録として過去に一度まとめ記事を作りました。

【3分でわかる】適時調査まとめ【傾向と対策】

今回はそこから更に修正を加え、2021年版としてお送りします。

いずれ来る適時調査の参考にしてもらえれば幸いです。

【2021年版】適時調査まとめ【まるっと3分解説】

結論

 

日頃からの管理と整理が大切です。

適時調査とは?

適時調査と指導と監査と医療監視

まず言葉の整理をしておきましょう。

病院を監督している行政組織が立ち入りで実施する調査や検査には以下のものがあります。

自治体が実施

 

医療監視 : 医療法第25条第一項の規定に基づく立ち入り検査(保健所<特定機能病院は厚生局>)

 

厚生局が実施

 

①施設基準の状況確認のために実施される適時調査

 

②健康保険法第73条に基づく指導

 

③健康保険法第78条に基づく監査

そして

②健康保険法第73条に基づく「指導」には 集団指導・集団的個別指導・個別指導 があります。

また

③健康保険法第78条に基づく「監査」とは以下のとおり

監査は、保険医療機関等の診療内容又は診療報酬の請求について、不正又は著しい不当が疑われる場合等において、的確に事実関係を把握し、公正かつ適切な措置を採ることを主眼とする。(監査要綱)

ですので監査とは、

・診療内容に不正又は著しい不当があったことを疑う理由があるとき

 

・診療報酬の請求に不正又は著しい不当があったことを疑うに足りる理由があるとき

 

・たび重なる個別指導によっても診療内容又は診療報酬の請求に改善が見られないとき

 

・正当な理由がなく個別指導を拒否したとき

という該当すれば一大事という場合に使われるものですので、使い方には注意しましょう。

多くの人がすべてをひっくるめて監査と呼んでいる場合がよくあります。

適時調査概要

概要

・各施設基準に係る届出を行っている保険医療機関が対象

 

・受理後6ヶ月以内と原則年1回を目処に現地調査を実施

(実際は2、3年に1度の頻度)

 

・原則としてすべての医療機関が対象

 

・あくまで施設基準上の調査(診療内容については踏み込まない)

実施要領

適時調査実施要領等(2020年改定版)

改訂版においては、基本的な実施方法については、従来のものと大きな変更はありません。

ですが重点的に調査を行う施設基準の入れ替えを行っています。

これまで重点施設基準とされていた「機能強化加算」や「救急管理加算」等24件が削除されるとともに、新たに「精神科リエゾンチーム加算」「呼吸ケアチーム加算」が追加されました。

また20年度改定で新設された「せん妄ハイリスク患者ケア加算」「地域医療体制確保加算」「婦人科特定疾患治療管理料」「診療情報提供料Ⅲ」等も重点施設基準とされています。

対策のポイント

・変更があった際の届け出がなされているか

 

・院内掲示は基準を満たしているか

 

・届け出の基準や算定要件が満たせているか

 

・定例報告はなされているか

 

・各種書類の状況(看護職員の勤務表・病棟日誌・申請書・許可証など)

調査の流れ

①実施日の1ヶ月前に書面にて通知

②事前提出書類の提出(期限は実施日の10日前)

③当日

事前提出書類(R2.6修正版)

<事前提出書類>

 

1.基本診療料に係る書書類(共通)

 

様式9(「様式9」で届け出る特定入院料を含む。)

 

病棟(治療室含む。)の勤務実績表

 

勤務実績を確認する際に必要な次の書類

 

・勤務実績表に用いている記号等の内容及び申し送り時間が分かる一覧表

 

・勤務形態(日勤、準夜勤、深夜勤など)ごとの勤務時間が分かる書類

 

・会議、研修、他部署勤務の時間及び出席者が分かる一覧表

 

特定入院料を算定している治療室の日々の入院患者数等により看護職員の配置状況が分かる書類

 

病院報告(患者票)【直近1年分】の写し

 

※あとは届け出ている施設基準による

 

2.特掲診療料に係る書類

  1. 心大血管疾患リハビリテーション料、脳血管疾患等リハビリテーション料、運動器リハビリテーション料、呼吸器リハビリテーション料、障害児(者)リハビリテーション料、がん患者リハビリテーション料を届け出ている場合(様式44 の 2)
  2. 精神科ショート・ケア、精神科デイ・ケア、精神科ナイト・ケア又は精神科デイ・ナイト・ケアを届け出ている場合(様式46)

3.保険医療機関等の現況

 

4.入院案内(入院のしおり)

 

5.組織図及び平面図

 

6.掲示物の写し(写真可)

 

「施設基準等」「入院時食事療養費」「保険外併用療養費」「保険外負担」の掲示

当日準備書類

実施日1ヶ月前書類の中に「当日準備していただく書類」として記されています。

当日準備書類(R2.6修正版)

厚生局担当者数

3名

実施時間

13時から16時まで(調査結果の説明に要する時間は含まない)

調査方法

書類による確認調査及び院内視察

面接調査は3班に分かれて進行(事前に施設基準ごとで分けられ通知されている)

1つの机に厚生局担当者1名、病院側2名程度の形で進行

調査内容

厚生労働省のホームページに調査書が公開されています。

適時調査実施要領等 [調査書]

これをすべてチェックしてつぶしてください。

もうそれのみです。

完全にチェックシートどおりに聞かれます。

準備しておく書類、算定根拠となる資料等必要なものはすべて調査書を読めばわかります。

書いていないことは聞かれません。

調査書には

・重点的に調査を行う施設基準

 

・重点的に調査を行う施設基準以外

の2種類ありますが、後者については当院の調査時には一切触れられませんでした。

実際そこまでの時間的余裕がありません。

ですので、当日準備していただく書類に沿ってしっかり準備しておけば大丈夫です。

院内掲示

掲示物は注意しておかないと、抜け漏れている場合があります。

掲示が必要なものは以下の点です。

・保険医療機関である旨

 

・DPC/PDPS算定病院である旨

 

・入院基本料に関する事項

 

・地方厚生局長への届出事項

 

・明細書発行状況

 

・保険外負担に関する事項

 

・入院時食事療養に関する事項

 

・施設基準や診療報酬の算定要件にかかるもの

 

・医療法上必要な掲示事項

<チェックポイント>

以下にこの掲示きちんとある?というところを上げておきます。

チェックしてください。

・DPC/PDPS算定病院に関する掲示

 

・明細書の発行状況に関する掲示

 

・保険外負担に関する掲示

 

・保険外併用療養費に関する掲示

 

・施設基準ごとに掲示が指示されているもの(主なもの)

後発医薬品使用体制加算、病棟薬剤業務実施加算、栄養サポートチーム加算、医療安全対策加算、感染防止対策加算、患者サポート体制充実加算、緩和ケア診療加算、外来緩和ケア管理料、院内トリアージ実施料、地域包括診療料、ニコチン依存症管理料、回復期リハビリテーション病棟入院料における病棟実績 等

その他

■各地区ごとに適時調査指摘事項がまとめられているので事前に頭に入れておきましょう。

適時調査における主な指摘事項(令和元年度実施分 北海道厚生局)

適時調査における主な指摘事項(令和元年度実施分 東北厚生局)

適時調査における主な指摘事項(令和元年度実施分 関東信越厚生局)

適時調査における主な指摘事項(令和元年度実施分 東海北陸厚生局)

適時調査における主な指摘事項(令和元年度実施分 近畿厚生局)

適時調査における主な指摘事項(令和元年度実施分 中国四国厚生局)

適時調査における主な指摘事項(令和元年度実施分 九州厚生局)

まとめ

 

全体的な印象ですが3時間しかないので、スケジュールはかなりタイトです。

ひとつの施設基準にそんな長々と時間はかけません。

事前に提出書類は十分読み込んできていますし、どこを重点的に見るかというのは決めています。

本文中に書きましたように、基本的に調査書どおりに進めていきますので、事前にしっかり読み込んでおきましょう。

中には適時調査だからといって過剰に反応して身構える人もいるかもしれません。

ですが本来施設基準を届け出るに際しての、当然あるべき書類や体制の調査、確認ですので、普段からきちんと整理されているのであれば何ら怖がる必要はありません。

適時調査だからといって急に準備、確認を始めるのではなくて、日頃からの管理、整理をしっかりしておくべきです。

この先調査がいつ再開されるかわかりませんが、いつ来られても大丈夫なように日々の準備を怠らないようにしておきましょう。

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